戦略召喚
連続更新82日目!
何とか投稿!
想離の召喚したドラゴン型の従僕の咆哮が響く。
火を吹きカトレアの移動を制限しようとするが容易に避けられている。
他にも人型であり対人戦に特化した従僕を複数召喚していて波状攻撃を仕掛けていた。
「ソウリ!!魔力の残量はどれだけだ?!」
「まだ半分も減ってないよカトレアちゃーーん!!!」
数十体も従僕の攻撃を会話をしながらも避ける。
ダーケン、呼乃田、断乃クラスの実力の存在ならばこの程度は割と出来たりするがやはりそこは年季の差なのかカトレアはまだ髪の毛一本にすら触れさせていない。
「ドラゴン型の従僕、騎士型、幽霊型、馬型、人馬型、鳥型、人鳥型……ここまで多種多様な従僕を召喚し尚且つ正確に指示できるのは舌を巻かざるを得ないな。
一体一体の個体の実力はさほどでもないがそれを補うかの様な圧倒的な数の暴力!正に一長一短を表しているな!」
本人にとっては攻撃を避ける事がゲーム感覚なのか笑いながら次々と追加させる従僕の攻撃を避ける。
だが何もしないという訳ではなく。偶然ヒットしそうになった個体にだけ一撃で沈める反撃をしていた。
「ん〜カトレアちゃんに武器出させるまでには行かないかぁ〜。そこそこ苛烈な攻撃だと思うんだけどなあ……」
「数の暴力としては一級品と言った所だが従僕選びが少し下手に感じるぞ」
「それは何ーー!!!!」
少し離れた所でカトレアと会話をしているからか自然も声が大きくなる。
「まず言える事はただ強い個体を投入してるだけだな。最初の少数の時は戦略もまだ考えられていて良かったな。
だが数が増える度に命令が雑になりしまいには今から召喚するやつはただ私に向かって「矢を番え撃て」としか命令出来ていない。
まだ召喚の練度が低いと言ってしまえばそれまでだが大雑把に役割を与える事も出来るはずだぞ!!」
「戦略は良かったんだ、なら頑張って戦略を立てて見る……か」
おもむろに想離が「解除!!」と叫ぶと殆どの従僕が影の中へ消え、使用済みと書かれたカードホルダーへと向かって行く。
「すぅーー……《戦略召喚》ッッ!!」
声に今までよりも濃密な魔力を込めて従僕をカードから呼んだ。
上半身が裸だが騎士の兜を被った人型モンスターの従僕が3体、そして盾を持った大柄な人型モンスターの従僕が5体、更には翼人型モンスターで弓を強弓を持つ従僕が10体召喚される。
たらーーー……
想離にとってもたったこれだけの数の召喚でかなりの高負荷なのか鼻血が垂れて来た。
(私の考えた戦略、戦術を埋め込んで擬似的な自我を持たせたからあったま痛い!早々に決着付けないとねっ!)
「行け!!!」
命令すると上裸の従僕が一斉にカトレアへと飛び掛かり剣を振るう。
そして直ぐに離脱すると盾を持つ従僕が全方位からカトレアを囲む。
「ふむ?」
「そのままやれ!」
命令が下る。
上裸の従僕は散開すると盾の隙間から突撃して向かいの盾の隙間へと飛ぶ。
その際に剣を当然突き立てる。
「無理矢理避けさせるか……だが」
上へと跳躍する。
だが
「ほぅ!この為の翼人の従僕かっ!」
楽しそうにはしゃいだ。
その視線の先には強弓を構えカトレアに狙いを定めた翼人の従僕がいた。
一斉に矢が放たれると魔力も使用されているせいもあり銃弾レベルの速さで発射される。
ドシュッ!
およそ矢を放つような音ではない音がする。
全ての矢がカトレアの身に触れる刹那
キンッ
音が鳴る。
その瞬間には全ての矢が真っ二つになっていた。
「えっ?!それって断乃君の《絶対切断》じゃ?!」
「仮主の《絶対切断》とは違う。これは私が装備している指輪の特殊アイテム固有の力だ。発動させるか普通に迎撃するか迷ったのだが気分でこちらにさせて貰った」
「カトレアちゃんそれずるくなーい?!」
「ずるくない。それとちゃん付けをやめろ」
まさかの魔導具の使用による迎撃に想離は思わず愚痴を溢すがカトレアは意に返さない。
手加減しながらも地面に着地した瞬間から目的は従僕の殲滅へとシフトする。
「ふっ!」
一撃で凹む大盾
その瞬間に時間差で上裸の従僕が前後から襲い掛かった。
ガキンッ!!
ここで遂にカトレアの武器が解禁される。
それはいつも使用していた長剣とは違い禍々しい見た目も形の二振りの短剣。
そのカッコよさに見学している男子勢は涎を垂らす勢いで見ている。
真梨や呼乃田も例外ではなかった。
「ここからギアを上げる。ソウリ、お前の《戦略召喚》の限界を見せてくれ」
☆
ドサッ
「ぶへーー疲れたーー!!!」
地面にだらしなく横たわりながら想離が模擬戦闘の感想を漏らす。
「今の模擬戦闘を見てて思ったのですがやはりソウリは魔力量だけならこの世界の水準から見てもトップクラスだと思うぞ」
「基本的にカード召喚だから消費魔力は極小だけど命令に魔力を使うからね。
今の模擬戦闘で使った最後の『命令』はすっごい疲れたよ。今までで間違いなく1番疲れた!」
「か、カトレア!!その短剣見せてくれ!」
この後カトレア短剣コレクションの披露、そしてダーケンの異空間操作による気候変化で軽く雪合戦で遊びその日は終わった。
あと少しで寝るー!