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連続更新71日目!!


まぁまぁ!



ボボボッ!


拳1発1発が砲弾の如き重さを持ちながらそれをマシンガンの様に連続して放つ。

断乃ダーケンは顔面に迫る拳を首を傾げ上体を逸らし一歩だけ下がる事で全て避け切る。


(……この体では少し速いな。やはりこの少年には今より遥かに強い鍛錬が必要そうだ)


地面が隆起し鋼鉄の槍が突き上がった。


「ふむっ!」


双剣・トンファーを左右に斬り払うと数十の欠片に変わる。


「ちっ!化け物め!!」


また地面が隆起すると今度は1つではなく20個の鋼鉄の槍が突き出し更に槍の途中で分岐し断乃ダーケンを狙う。


「おっとこれはリハビリとしては中々キツいなっ?」


先程よりも大きく動きネルバの攻撃を避ける様になり精細さも欠き始めてくる。


「どうした!!私に引導を渡すんじゃ無かったのか!!!その程度の動きで私を殺せると思うな!!幾ら魔力が多かろうとまともに扱えなければ意味はない!」


地面からの鋼鉄の槍と拳、そして不可視の衝撃波による攻撃、更にはネルバ自身の接近して戦うこの戦法はゴリゴリのインファイトな為か肉体の全盛期より遥かに劣る断乃の体では断乃ダーケンにとって不利となっていた。

しかし明確な一撃を貰っていないのは数百年、下手をすれば数千年単位で培って来た経験に裏打ちされた実力による物だからだ。


断乃はまだしっかりとは知らないがネルバやカトレア、ダーケンは悪魔族という種族だ。

本来ならば絶対に交わる事のない存在だがこの世に神剣が現れ次元がほんの少し歪んだ事により完全別世界の存在が流れて来た。

その世界で彼、彼女らの寿命は少なとも平均で500年は生きる。

寿命平均は単純な魔力量や実力といった明確な物ややや曖昧な物で大体推し測れた。


故に身体能力時代は断乃のままだが能力はダーケンに準拠し魔力量も断乃の5倍は悠に有る。

それだけを聞くと身体能力が低いだけだと思うだろうが、こと悪魔族の戦いに於いては致命的




なはずだった。

しかしネルバの目が捉えた現実は違う。


「何故だ……」


精細さを欠いていた断乃ダーケンの動きに鋭さが戻り始める。

決してネルバが手加減している訳ではない。

経験によって攻撃コース、ネルバの思考を推測、そしてもはや短時間ながら未来予知とも言える精度の勘が断乃の体で再現出来始めているのだ。


「馬鹿なっ……攻撃は更に苛烈にしているのに……くっ!経験と勘だけで圧倒的に絶望とも言えた身体能力の差を埋めてるっていうのか?!」


バキンッ!!


膨大な魔力を拳をに込め限定的に力を強くした断乃ダーケンが地面から隆起した鋼鉄の槍と拳を防ぎ握り潰した。


「なっ?!」


「……やっと体に慣れて来た。鈍った勘にお前の攻撃は最高のリハビリだよ。」


断乃ダーケンは断乃の記憶を探り多重機構の心剣の使い方を理解すると双剣・トンファーを普通の双剣に戻し今度は大剣にする。


大きさは大剣のはずだが持ち方は短剣のそれだった。

全身に一切の狂い無く均等に纏わせた魔力は断乃ダーケンの身体能力を補助し大剣をごく普通のナイフレベルの重さに感じさせる。


「お前の番は終わり、次は……我の番だ」


全身に纏う魔力の均等さはそのままに纏わせる魔力量を今より遥かに多くする。

途中で特級の五色と屋久と同等の身体能力になりそこから爆発的に上昇して遂にはカストレアを余裕で超える身体能力になった。


「お前相手にはやや過剰だが、良いリハビリを提供してくれた礼として我の片鱗を拝む権利をやろう。

 その栄誉に咽び泣き……我に相手をして貰った誇りを胸に抱きながら死ぬが良い」


大剣を持ち上げネルバに向けると一言告げた。


「……もしお前の家族がこちらの世界にやって来た場合は保護してやる」


「?!」


明らかにダーケン個人としての判断にネルバが驚愕する。

ネルバとしては願っても無い申し出だが急な為半信半疑である事は否めない。


「それは本当……なのか?」


「初代オルナ家当主として誓おう。故に安心して散るが良い」


「…………」


ダーケンの言葉にネルバは無言を貫き通したが拳を構える事で返答をする。


「ふっ、覚悟を決めた男の顔は実に良いな。見た目は借り物故男だが中身を女と言う事を踏まえればそうだな……我がまだ令嬢だった頃ならば惚れていたな」


そこまで言うと断乃ダーケンも大剣を構えた。


「我の技で沈む誉れ……受け取るが良い」


ジャリ


地面を踏み締める


「アブソリュートーーーーー」


ネルバが接近し拳を振るう。


「ーーーーーオルナ」





理解出来ないでいた。

最期だからと知覚にさえ全神経を集中させて技を見ていたがネルバには理解出来なかった。


「これは、凄いな……ゴフッ?!」


咳き込むと同時に大量の血を吐く。

倒れたネルバの周りにはどう見ても致命傷だと分かる血が流れている。

背中が地面についている為見えないがネルバの背中全体が抉れ空洞と化していた。


「それはオルナ家の……ゴブッ、秘伝……か?」


「一応我が編み出した技だ。家名を付けているから特別感があるだろう?」


「違いない。……所で」


「聞くな。お前はただ安心して眠れば良い」


「ありがとぅ……ここ十数年手紙すらさせて貰えなかったが……今はいい……最期に安心出来て……本も………………だ」


ネルバは力尽きその生涯に幕を下ろした。


「……勇ましい男は嫌いじゃないぞ、ネルバ」









土曜日凄い良い天気らしい!!!

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