プレゼント
連続更新62日目
太刀の見切り斬りが何故か出来る様になり楽しいです。
「ゼロ・デュオ!」
空中に飛んだ断乃の姿が消えてモンスターの背後に双剣を振り抜いた状態で現れる。
次の瞬間モンスターは体をクロス状に切断され絶命した。
周りを見るとカトレアが自身に何重ものデバフを積み重ねした状態でさえモンスターを圧倒している姿が見える。
(前言ったゴリラさ訂正、バケモンレベルだわ。少なくとも素の身体能力を6割以上削ってアレだろ?)
鬼神の如く攻撃を避け一方的に武器で斬り付ける姿が見えた。
(俺完全に引退するまでに勝てるビジョンが見えないのなんなん?)
「ふっ!!!!」
カトレアは切れ味の全くない最早鈍器とも言える魔力の込められた太刀をモンスターに叩きつける。
数瞬遅れてモンスターが爆殺四散した。
「……えっぐ」
「ふぅ、デバフを念入りにして戦うのさやはりスリルがあって良い」
滴る汗を払いながらカトレアが断乃に歩み寄った。
「仮主、タオルはないか?」
「持ってるけどカトレア持ってないのかよ?」
「荷物は全て仮主に預けただろ?」
「……そう言えばそうだったな」
全てのモンスターの掃討に成功した事を確認すると念の為隠してあったバックを探し出しカトレアの使用するタオルを取り出して手渡す。
「助かる。……ふぅ、む?飲料か気が利くな仮主。気遣える男は女にモテると聞いたぞ、さては意中の女がいないな」
「いませんけど何か?!余計はお世話ですわよ!!」
動揺と怒りにより何故かお嬢様言葉が混ざる。
深呼吸をして落ち着くと魔狩人協会にメールでモンスターの処理を終えた事を伝えた。
「これで少ししたら魔狩人協会の人と清掃員の人達が来るだろうね」
「ならば汗で汚れたこの服も何とかしないとな」
「は?着替えなんて預かってないぞ?」
「??誰が着替えると言った?」
「え?」
「む?」
変な沈黙が流れる。
カトレアは「まぁいいか」と黙ってしまった断乃を放っておき背を向けると指先にほんの少し魔力を込めて鳴らした。
パチンッ!
もの凄く綺麗な音がなると一瞬で今の今まで着ていた服が別の物へと変化する。
軍服系統の服である事には変わりはないがデザインがかわり戦闘に使用されるというより礼服の印象を断乃に与えた。
「そんな服も持っていたんだな」
「まぁな。昔仕えていた主と過ごす日は基本的にこれだった。この服は気温調節や防刃に防塵、防魔まで出来るしデザインにも優れたものだからお気に入りなんだ」
「この国のトップと会う服としても全然良さそうなのはやはり作り手が良いんだろうな」
「ほう?良く分かっているじゃないか」
褒められて気分が良いのか自慢気に襟をヒラヒラと主張させる。
「……ふふふそうだ仮主にも服をプレゼントしようか?」
「え?マジで?いや、でもカトレアは女だろ?持ってる服もカトレアの基準なんじゃ……」
「そんなもの私の技量があれば余裕で弄れる!こう見えてもこの服の製作に1枚噛んでいるんだ」
キラリと歯を輝かせる決めポーズをしながら説明すると断乃はなるほどと納得した。
「どんなデザインのやつ?カトレアの戦闘服基準のやつ??」
「私は亜空間に同じ服を予備の予備の予備の予備の予備の予備の予備の予備の予備の予備……そこそこ予備を貯めているからな!
1枚くらい仮主用に仕立てた所で何も問題はない。幸い背もさほど変わりないしな」
2人は同時に互いの身長を確認する。
僅かながらに断乃がカトレアより目線が下だった。
「負けた……」
「そうがっかりするな仮主。私達は元々背の高い種族なんだ。仮主と同じ程度女にさほど珍しくない」
慰めのつもりか何気ない自身についての初出しの情報も伝えるがかえってそれが断乃にとって大ダメージとなった。
「ガッハ!!!俺と同じ女性が沢山……俺170はあるのに……」
余りの悔しさに膝をついた。
それを見たカトレアは思わず動揺する。
「そ、そんなに気にする事か?」
「昨今世界的にも日本的にも背が高くなって来てるから今まで平均的だった身長が低いと思われつつある……」
「その、なんだ……仮主」
「何?」
「私は別に私より背の低い男だからって……気にしないぞ?」
「慰めは要らないやい!!!」
一連のおふざけをしていると魔狩人協会の車とモンスターの死体処理を担当する業者の車が来た。
「これだけの……あ、貴方は」
「お久しぶりです。職員さん」
車から降りて来たのは断乃達が東京に行った時にそれぞれの控え室まで案内してくれた職員だった。
「え?東京にいるはずじゃあ……」
「色々あってこちらに転勤して来たんです。転勤して2日目初仕事がこんな惨状の対応、そして貴方の対応とは……これからずいぶん苦労しそうですね」
「いや〜それを言われると何も言えないっす」
「高校一年生なのに既に並の魔狩人より稼いでいらっしゃるでしょう?」
「並がどれだけかは分かりませんがかなり」
お金の話のため重要な部分は濁す。
「将来どれだけ化けるか楽しみです。それでは清掃に移りましょう」
職員は清掃業者の人に指示を出していく。
そして周辺状況とメモの為歩き出した。
「あ、護衛しますか?」
「モンスターはいないと思いますが?」
「念の為です」
「なるほど、ではお言葉に甘えて」
断乃、カトレア、職員の3人はモンスターが来た方向へと歩き出した。
明日も頑張って更新だ!!