日常下
連続更新47日目!
ほんの少し早くなった!
「断乃君!右側から行って!僕は左側から行く!」
「了解!」
断乃と呼乃田は交差する様に走り出してそれぞれの位置に着くと足に魔力を溜めた。
「「魔速!!」」
特に蹴り足に魔力を集中させた事もあり2人の移動速度は地面を蹴った瞬間に体がブレて見えるほどにまで速くなる。
2人は自分自身に合う大剣とも太刀とも取れる大きな剣を振り下ろした。
協会から先日の東京の警備の追加報酬としてオリジナルの剣の作成を最優先でする権利も貰った。
呼乃田と断乃はその権利を直ぐに使い自身の身長、体重、手足の長さ重心バランス何から何まで調べ上げて特注での作成を依頼する。
それぞれ特徴的な武器で呼乃田は持ち手50㎝、刀身150㎝の自分自身より長い剣だった。
対して断乃は一応双剣とも大剣とも弓とも呼べなくもない多重機構で正式名称不明の武器である。
形態は三つあり一つ目は刀身が馬鹿みたいにデカイ双剣、次は柄の部分を連結させて刀身の裏全てが持ち手の大剣。
最後は大剣の状態のまま刀身が移動し弓の形になるの魔力の弦が出来る。
そんなクセのある武器をカストレア相手に感覚を掴もうと兎に角振るう。
慣れない武器を振るっているとはいえ魔力を身体能力の強化に全て回した2人を軽くあしらう実力は本物だった。
「仮主よりそこのコノダとやらの方が根本的な体術、剣術の腕は上か……だが能力の理解度はまだ仮主の方がある。
完全な実力は仮主は負けるがやはりその能力を持つだけあって理解する速度が徐々に早くなっているな」
「そりゃあ毎日毎日アンタと能力の無しのガチンコ模擬戦闘してれば嫌でも理解する。
最初は能力使わずにただ全力で模擬戦闘をするだけで成長するのかも思ったが体の最適な動かし方は魔力操作に通ずる物があって驚いたよ。
おかげで偶にあるモンスターの処理の仕方もかなり効率的に正確に出来るようになったし?こう言うのも少し癪だが俺の夢にまた一歩近付いた。
ありがとう、カストレア」
「……僕も夢というほど大層な物じゃないけど今ある目標にかなり近付いた。感謝するよ」
「……」
2人の真正面からの感謝カストレアはどう答えればいいか分からず黙ってしまう。
沈黙を誤魔化すために数ある武器の1つである槍を『カツン!』と鳴らして注目を集めた。
「御託は良い、まだ模擬戦闘の時間内だ」
軽く息を吐くと2人に告げる。
「さっさとかかって来い」
ザワッッ
鳥肌が立つ
その瞬間から呼乃田と断乃は意識が切り替わり目の色が変わる。
断乃に至っては義眼が魔力によって本当に色が変わりその身体能力に影響を及ぼす。
「《共鳴 : 深紅》」
「《共振 : 蒼空》」
それぞれの魔力が目から立ち上がると姿がブレる。
ガギンッ!!
「ぐっ!!!」
「ちぃ!」
「私を倒すにはそもそもの能力値が全く足りないな」
「具体的にどれだけ?」
「今のままの成長速度なら50年あれば私を追い抜けるんじゃないか?」
「「ごじゅっ?!」」
人間にとって50年という歳月は半生以上もある。
それだけ費やしてやっと超える程度しか強くならない。
その事を聞いて2人は思わずビックリしてしまう。
「ならアンタの想像する成長速度より遥かに早く強くなって魔狩人を引退するまでに追い抜いてやるよ」
「断乃君がそれだけの目標を立てるのなら僕は30歳までに君の実力を追い抜こう」
「…………はっ!その大層な言葉はまずこの模擬戦闘でしっかりと実力を示してから言うんだな」
断乃、呼乃田とカストレアの二対一の模擬戦闘がまだまだ加速していく。
☆
二対一の模擬戦闘から4日が過ぎこの日は珍しく緊急のモンスター駆除がない限り完全休日となっていた。
真梨達と約束していた事もあり予定より20分遅れて起床した断乃は慌て気味で出発の準備をしている。
軽くランニングをして汗を流し、遊びに行くとき専用の服に着替えて朝ごはんを急いでかきこんだ。
途中喉を詰まらせた時の反応を見て断乃の親はもの凄く笑わっていた。
「それじゃお父さん行ってきまーす」
「魔狩人協会からお金入ったからと言って散財するなよーー」
「それ専用武器作った事知ってて言ってるよね?!もう遅いよ?!?!」
「あははははは!!!」
「全くどんな時にでもふざける癖なくそーぜ」
「断る」
「けっ!まぁ行って来るよ」
「お土産よろしくーー」
「へいへい」
家を出て皆で集まると約束していた駅まで走って行くとそこには既に皆がいた。
それに加え
「何でさっきまで家にいたカストレアがいるんだよ。いつ来た」
「転移」
((((出来るの?!))))
カストレアの転移の一言で半葉の特徴的な能力である転移の希少性が薄れた事を感じた。
「それで今日は何をする?」
「それ言えばそうですね?無難にカラオケ行ったりゲーセン行ったり……後は女子が行きたそうな?服屋?」
「サンセーー!久しぶりに服買いたーーい!風波ちゃんも良いよねー?」
「え、えぇ願ったり叶ったりです」
「よし決まりだーー!早速行くぞー!」
やたらテンションの高い想離が駅の中に歩いて行くと呼乃田が声を掛ける。
「まだ券買ってないよ」
「あやっ」
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