壊れゆく
連続更新31日目
遅くなりました
放課後
急に多くなったモンスター及び魔獣の処理に断乃達だけでなく他校の有力な生徒達も駆り出される様になっていた。
そして断乃が足りない魔狩人の人員の代わりに当てられた地区では比較的強い個体が多いが数体紛れている。
ここより更にキツい状況の地区では呼乃田や間鵞廼、半葉が配置された。
「影柴さんよろしくお願いします」
「よろしく頼む。一応という形だが名前で呼んでくれ。道真だ」
お互いが握手を交わすと戦える魔狩人協会の人が話しかけて来た。
「この地区では貴方達が要だと言う事を忘れないで下さいね。私も格好から察しているかもしれませんが戦わせて頂きますので心配はご無用です。
さて、山の方から急に気配が現れましたね。住民の皆さんは私が守るので貴方達は好きな様に暴れて下さい。ですがなるべく住宅の損壊には気を遣って頂けると助かります」
言い切ると2人にバフを掛けて住民の元へ戻って行った。
「道真さんあの山の上にいるモンスター降りて来ませんね」
「ある日を境に急激に統率の取れた行動、出現位置から考えて知能があると考えるのが妥当。
もしくは各地で起こるモンスターの出現、魔獣化の増加を裏で操っている存在がいる可能性だとかな」
「テレビでも陰謀論がチラホラと目にしますからね〜。お、動き出した」
2人の目線の先の森の木々が揺れ動く。
ォォォオオオオオオ!!
「俺が把握している限りでは比較的強い個体は4体でランクで表すと大体三級から二級と言った所です。
俺は余裕ですが先輩は?」
「タイマンなら二級は何とかって所だ。複数は無理だな」
「なら俺は二級と三級を請け負いますので数だけ多い雑魚の処理をお願い出来ますか?」
「了解だ。『射抜け』」
道真の手に風が集まると弓が現れる。
「じゃあ取り敢えず先頭を走るヤツを仕留める」
弦が限界まで引き絞られた時手を離す
シュッ!!
鋭い音が聞こえると次の瞬間には先頭をのモンスターのみならず背後に続いていた魔獣なども纏めて体を抉り飛ばした。
「援護は任せろ!行くぞ!!」
「はい!!」
心剣を取り出しながら走り出す。
それと同時に魔狩人協会の人から一応念の為として貰ったそこそこ良い武器も携えて戦う。
「アブソリュート!!」
心剣と協会の剣に絶対能力を付与する。
(雑魚でも中には防御特化、攻撃特化が隠れていたりするから一瞬油断出来ないのは疲れる。
斬った感覚では普通の雑魚だ!!だけど奥のヤツは念の為警戒するかっ)
少しでも魔力節約の為に両方に付与した絶対能力を剣
の切っ先だけに限定して突き特化にする。
「一度切っ先が入ればっ!!」
全身が金属光沢に覆われたモンスターが二級、三級のモンスター、魔獣への進路を阻む。
そのモンスターに向けて両方の剣を鋏の様に交差させて突き刺した。
「はぁあ!!」
そのまま勢いよく外側は振り抜き、首と上半身に分ける。
「ゴアアアアアアアアアアア!!!!!」
待ち構える数体の二級が同時に叫ぶと周り個体が一斉に断乃へと群がっていく。
しかしそれを無視して進行すると足の速いモンスターが断乃へと飛びかかった。
「無駄」
道真が小さく呟くと飛びかかったモンスターは真下に落下して地面に縫い付けられた直後矢の爆発により絶命する。
それを見て一体の二級が叫ぶと突然走り出した。
「やっぱり明らかな知性があるな……『蒼弓』」
一本だけ蒼い矢を手にすると普通に放った。
ッッッッ!!
瞬間暴風と共に着弾点から全方位にレーザーの如く圧縮された水が放射される。
「アブソリュート・ゼロっ」
矢が地面に着弾した時に察した断乃は一瞬で空へ逃げていた。
(あぶねぇな。速いし範囲もあって高威力。技の完成度だけなら想離先輩ともタメ張る。
だけど……)
「僕の切り札はもう出したっ!!二級に決定打を与える技はないから後は頼んだ!!まだ生き残ってるヤツを仕留めたら援護に来るから待っててくれ!」
完成度は高いが単純な魔力と魔力操作の力量に差があった。
それを理解すると道真に一言伝える。
「直ぐに片付けるので大丈夫です!!」
「じゃあ期待してる!!!」
そう言い残すと住宅の方へと屋根を伝いながら移動した。
「30秒あれば充分だ。アブソリュート」
二級、三級ならば切っ先だけでは物足りないと考えて絶対能力を両方の剣に付与する。
「ディセラレイト・……」
両方の剣を振り被り一気に振り抜く。
「デュオ!」
たった二閃で複数の上位に値するモンスターの体に傷が付く。
そしてその傷はゆっくりと侵攻し傷を深くする。
先ず斜めに足が切断されると直ぐに両腕も切断された。
「「「「グルルルルゥァァァア!??!」」」」
戸惑いの声が上がる。
「ディセラレイト・ダブル・デュオ」
もう一度、今度は軽く剣を振り抜いた。
今度は全ての個体の首に光の輪が現れると少しずつ縮まっていき首を絞め始める。
無い腕を必死に振り回してモンスター達は抵抗するが無意味だった。
「お前らと話が通じるならまだ楽に殺してやるんだけどな」
チラッと予め測っていた時計を見る。
「23秒、まぁまぁかな」
明日も頑張ります