分からない
連続更新173日目
一応一旦休み……かな?
章の終わり的な感じです。
「その『神話を堕とす』日はおおよそいつか分かったりするのか?」
「そこまでは分からないわ。でも"塔"の作戦は話を聞いた限りでは成功したと見て良いかは案外早いかも知れない。
全ての一般人とはいえ魔力は持ってる、更に攫えたりしていた場合はとんでもない魔力を集めたと考えるべきよ。
もっと言えばどこの世界、国、地域にも必ずと言っていいほど人がいるけどそこで完結してる場所がある」
「っ!じゃそこに人攫いに特化した"塔"が現れていた場合は!」
「役に立つと判断された人間以外全て殺されているか魔力として持って行かれているかも知れない」
日本は広大な土地を持つ中国やアメリカと違って"塔"の出現した場所はほぼ都心部だけだった。
田舎にも出現したがそれでも魔狩人がいた為情報が共有されて早くはないが対処が出来ている。
だが日本と比べて人口以上に土地の広いアメリカ中国は手の届かない地域も出て来るためハンターの数も限られる。
ハンターの絶対数が日本より多いとはいえその分低ランクのハンターも当然増える為数がいても無駄になる所が少しだけ存在した。
「……確かに死亡者よりも行方不明者が断然多い町はあった。逃げたから見えないのかと思ったけど、その線でも考えた方が良さそうだ」
シーラの言葉からシルビアはそう考えると部屋から一旦出て部下を呼び行方不明者が異常に多い町をもう一度詳しく調べろと伝える。
政府とは別で動ける為自由度が高く得られる情報は高いと判断した。
シルビアは伝えるべき事を全て部下に伝えると部屋に戻る。
「シーラさん貴重な意見ありがとう。もし予想が正しかった場合感謝する事になるな」
「私も助けて貰ってるから別にいいわよ」
「それは助かる」
軽く雰囲気が良くなった所で話を戻す。
「集めた魔力で何をするとか想像出来る人はこの部屋の中にいるかい?」
「「「…………」」」
「流石に分からないでしょ……」
シーラはシルビアの質問を呆れた様子で呟く。
だがカトレアとダーケンは皆より魔国の事について遥かに詳しい為表情は多少柔らかい。
「お決まりならそうだなぁ……巨大な兵器を動かす為の動力源にするとかかな?」
「コトワリ君、流石にそんなハリ◯ッドも答えに困るテンプレな事しないと思うけど」
「常識が違うんだし当たらずも遠からずかも知れませんよ?」
「確かにそうだが……2人は分かるかい?」
「ここ数十年下手したら100年ほどオルナ家に戻っていないから情勢やら魔導具やらの進み具合が全く分からん。
覚えてる限りの資料ではここ2000年ほど生活や兵器面に大きな変化はない……が貴族達個人となると少し事情は異なって来るだろう。貴族の中でも変わり種と言われて研究者に没頭している者達は日々兵器、生活用品に関わらず進歩を目指している。
故に今となると意外と強大な兵器のために魔力を集めていても不思議ではない」
カトレアの長い説明にダーケン含めてなるほどとそれぞれ納得する。
しかしそれでもたった100年でそこまで進歩するかと考えたがそもそもあちらの世界は地球より魔法に慣れ親しんできたからか発想が違い意外な進歩をしている可能性に気付く。
(地球だって世界で戦争が始まってから一気に技術が進歩した……ならあちらの世界でも戦争はどうか分からないけど早く的に技術が進歩する瞬間があっても全く不思議じゃない!)
「…………封印されている何かを解き放つとかもあり得る」
「えっ?」
「良く考えろ"塔"には我でもうっすらとした覚えてるいなかった古代文字、古代語が使われていた。
存在自体は貴族で多少学んでいる奴なら存在くらいは知っていて当然だ。しかし扱える者となるとゼロと言っていいくらい少ないはずだ。
それは我の時代でもそうだった。それに……」
カトレアを見る。
「私の時代でも古代文字は分からないという事が通説でした。現王族や貴族達が古代文字、古代語が記された書物を書庫に極秘に所持している可能性があるためゼロだとは言い切れはしないかと」
「……我の時代ですら古代文字、古代語は廃れて知らなかったからな。
それに我も知ったのは王になった直後代々書物を書き記しているという……」
話していてダーケンは目を見開いた。
その様子を見ていた断乃達は怪訝な顔をする。
「我……古代文字、古代語を知る一族知っているやも知れん。
しかも予想が合っていればその人に教えて貰った」
「「「?!?!」」」
「しかもその人は夢を度々語っていたな?」
「お、思い出せるかい?もしかしたら今回の事にも関わっているかもしれない!!!」
シルビアの声が少しだけ大きくなった。
「安心しろ何となく覚えている。顔も覚えていないあの人は確か何と言っていたか…………「いつか負け犬を、勝たせたい。圧倒的に、誰も手出し出来ないくらい。神にしてしまうのも悪くない」……だったかな?」
「何が言いたいんだ??」
「神話を堕とすだったり神にしてしまうだったり……定まらないのは嫌いだな」
「もしかしら神話を堕として空いたその場所に新しい神を据え置くつもり……か?」
カトレアの掠れた呟きはダーケンにだけ届き断乃達には届かなかった。
「どちらにしろ相手の目的が神を作るとしてもそう簡単には行かないはずだ。
だから俺達は出来る限り警戒して対策を練ればいい。対策の内容も徹底的に強くなればそれで解決するだろ?」
「いやに楽観的だねコトワリ君」
「何にも分からないんだから頭を馬鹿にしたいんすよ」
ここまで話した所でダーケンは立ち上がる。
「シルビア、トレーニングルームはあるか?あるなら貸せお前たちだけでも私が鍛える」
「貸すのはいいけど、そんな短時間でトレーニングの効果が現れる訳ない」
ダーケンと断乃がその言葉にニヤリとする。
「「さて、それはどうかな?」」
異空間の事、異空間を応用したある魔法を知らないシルビアは困惑した。
「時間はたっぷりある」
そう言うとシルビアが案内するよりも先に部屋を出て行った。
「……という事です。付いて行きましょう。シーラさんまた後で」
「え、えぇ」
断乃達の数時間のトレーニングが始まった。
多分休みますが書きたい欲があるのでもしかしたら休まないかも知れません