堕とす
連続更新172日目
pso2 Switchだと馬鹿重くね?
「何故いるのか分からないけれど後ろの悪魔は私がただの平民生まれの悪魔ではない事は既に分かってるわね?」
「話し方からして平民ではない」
「分かりやすい」
「何なら俺らも分かってる」
「私も」
ドヤ顔だったシーラ・ガンドンは怒涛の断乃達の発言に羞恥を覚え顔を赤くする。
「ま、まぁ……知ってたなら知ってたで話がスムーズになって助かるわ?」
(絵に描いたような動揺ぶりだ……)
今の所微妙な評価のシーラは話し始めた。
「まず今言った通り私は平民ではなく貴族出身の悪魔。悪魔族だからと言って魔国出身ではなく人間国出身の悪魔族なの。ここを覚えておいて。
そこの悪魔2人に聞きたいのだけれどこの地球に来るまでアノ世界にいた時に奇妙な噂を聞いた事があるかしら?」
「奇妙な噂?」
ダーケンはカトレアと違い現代の魔国等の情勢を知らない為反応を控える。
代わりににカトレアがシーラの言葉を繰り返し呟く。
「例えば平民、貴族に関わらずある程度魔力のある存在が拐われているという噂よ」
「……私が聞いた時は人攫いではなく神隠しと言われて噂になっていた。
それは砂漠、熱帯、氷山地域全てで何度か耳にした。アレは広範囲に渡って似た噂は変だと思ったが偶然の範疇に収まると勝手に納得していたが……」
「偶然が全世界で起こると思って?」
「考えが浅かったと言わざるを得ない。だが当時はそうも言ってられない事情があったからな視野が狭まっていた」
「その事情は聞かないでおくわ。それでその神隠しは単なる偶然が重なった結果による同時期、同時発生の物ではないの。
貴族の間でもそれなりに噂になるほど形になっていたのよ。正直いうと有力ではない木端貴族の子供が消えただとか死亡したなどという確かな情報も聞こえて来たからあながち嘘でもなかった」
少し長めに話したからか飲み物を一口飲み喉を潤してから話を再開する。
「遂に……人間界のある王国の王族がその神隠しにあったと噂になった。それは魔界の魔国にまで聞こえてくるほど広く早く……気味が悪いほどに。
それは何故かと私の実家も他の貴族も詳しく調べた。そうすると分かって来たのはその王族の護衛が死にかけてはいたが生きていた事、そしてその貴重な証言者を王族の威信を賭けて癒した事だった」
「今まで噂にしかなっていなかったのは見た者が全て殺されていたから??」
「そうだと言われている」
(言われている……か)
シーラ以外の全員が今の話のオチが分かり顔を顰めた。
「……その顔から私が何を言うか分かったと思う。
つまり私はその神隠しにあった……更に続きがある事も分かると思うが言わせて貰う。
神隠しに合い連れて行かれた先で私は……いや、私達はとある実験の実験台に使われ失敗したからあの“塔"の核に使われた」
「あのモンスターを馬鹿みたいに召喚する"塔"の核に使われたとしてその核としての役割は分かりますか?」
「分からないわ、ずっと意識がなかったんですから。それでも体の感覚から見て……どうやら予め設定されていた魔術式を起動する為に魔力タンクの役割や"塔"の中にも極小で収納されていたモンスターを元に戻す為に必要な魔力って所かしら」
シーラは自身の不調と多少知っている"塔"の役割から自身の魔力の用途を言い当てた。
「私が知る限りの情報は次で最後……というかこれぐらいしかないわ」
また一口飲んで喉を潤す。
「"塔"に入るまで生きた時間の中で分かった情報は奴らは魔国の中でも更に危険すぎて誰も寄らない【封印域 : グラヴァナ】。
他にも良く分からない実験をしていてあと少しで完成するらしい」
「期間は?」
「あまり聞こえなかったけれど確か……一年??それとなんだったか……何か言っていたような?」
「思い出せないなら無理に思い出さなくても……」
「いや!待って下さい!!何か思い出せそうなの!!」
シーラは全力で思い出そうと眉間に皺を寄せて必死に思い出していた。
そしてふと何か思い出したかのように顔を上げ断乃達に振り返る。
「確か『神話を堕とす』と」
「神話を……」
「堕とす?」
「……」
「そして『死神を殺す』と」
断乃やシルビアはどういう意味か理解出来なかった。しかしカトレアとダーケンだけはその意味が多少なりとも理解出来る。
(まさか先祖様を)
(我を超える気か!)
圧倒的に良いネット環境が欲しい