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堂々

連続更新171日目

早起きしたいわねぇ



"塔"の女性がいる部屋の前にいる。

カトレアやダーケンも700キロの重さ体験を即座に終わらせると合流した。


「重さはどうだった?」


「存外軽かった」


「見た目は大きかったからさぞ中身が詰まっていると思ったが……見た目に騙された」


「コトワリ君この2人改めて異常だよ」


「そんな事より“塔"の女性が目覚めたんですって」


断乃を呼んだ研究員が"塔"の女性のカルテを持ってやって来た。


「シルビアさんカルテです」


「すまないリックわざわざ取りに行かせて」


「気にしないて下さい。それより接する際に注意して欲しい事が一点だけあります。

 "塔"の女性は目覚めた時は普通でしたが部屋に入って来た私達を見て徐々に怯え出したんです。だから推測ですが"塔"に入れられる前に虐待……暴行を受けていたのだと思われ非常に臆病になっています。

 しかし彼女生来の物か分かりませんがかなり理性的で話は通じますので声を荒げるような事は極力控えて下さい」


「忠告感謝する。彼女に怪我等は?」


「軽い栄養失調、では済みませんでしたが魔法による筋肉の疲労回復や点滴による栄養の補給により予想以上に状態は良好です」


「分かった」


リックと呼ばれた男性研究員の話をしっかり聞くとシルビアは難しい表情になる。


「戦場でPTSDになる者は決して少なくない。何ならかなり多い。

 しかしそれでも初めて見るリック達を目の前に理性的な反応か……強靭な精神力という他ない」


「モンスターを切断すると血とかは出ますが謎に内臓がない存在が殆どなので少し理解し辛いです。

 モンスターを殺した時はなんかこう……語弊を生む言い方ですがややゲームチックで罪悪感が少ない」


「だが未だ無くならない国家間の戦場ではそういう物はなくただ地獄が飛び交う。

 脳漿が散らばるなんてザラだからな」


「辞めて下さいよ嫌な想像してしまう……」


口を手で抑えてシルビアに苦言を呈す。


「すまないコトワリ君、そう言えば君はそこまで人の死体を見た事がないんだったね」


「そうそう見る環境にいないんです」


「モンスターが現れても魔狩人が対処してしまう事が殆ど、更に言えば現れるモンスターの襲撃があっても土地柄なのか斬ったり潰したりするより最終的に食べてしまうモンスターが多いから死体が残らない」


ダーケンの補足にシルビア困った顔で呟いた。


「不謹慎だが原型を止めていないほどの死体を見なくて済むのは不幸中の幸いだ……君達にとってね」


そこまで言うと話は終わりとばかりにドアに手を掛ける。


「いいか?なるべく穏便にだ」


「はい」


「「分かっている」」


ガチャ


「失礼するぞ」





部屋に入って直ぐに目に入ったのは『飯』だった。

今まで食べていなかった分を取り戻すが如く口へと運ばれて行く。

暴飲暴食といった感じで運ばれて行くのではなくどこか気品のある食べ方だった。


断乃達が部屋に入って来ると食事の手を止めてこちらを見る。


「えっと、怯えていると聞いていたんだけど随分と堂々としているね?」


「私をここまで丁寧に扱ったと言う事は利用価値があるという事、ならば怯えて相手をすれば要求が通ると思っただけよ。

 それが今は空腹を満たす事だった……悪いかしら?」


(めっちゃ堂々と話すな)


カルテを見てシルビアは目の前の女性に質問をする。


「体調は大丈夫かな?どこか痛いとか……少し気分が悪いとか些細な事でいいから報告してくれると私達としてと君の扱いを待ち構えなくて楽だ」


「良く言い表せないけど体が怠いわ。出来る限り言葉に現すのならば外傷と言った物より内臓が少し気持ち悪い感覚があるわ。

 私の内臓はどうなのかしら?」


「……確かに数値は他の場所の治り具合と比べると悪いと言える。だけど回復中という事を踏まえれば全然悪くない、ちなみに内臓の不調は具体的にどのような気持ち悪さか聞いてもいいかい?」


「良く分からないわ」


「よし、これに関しては専門医と質疑応答して答えを導き出してくれ!私は門外漢だ!

 そしてそんな事より私達は聞きたい事がある!こんな言い方したくないがこれだけ手厚く君を扱ったのだから言いたくないは一切通じないよ」


シルビアの目は優しさを残しつつも目の前の女を睨んでいた。

内心でもしも答えないでいたら『脅す』覚悟、更にその先の『殺す』覚悟も同時に持つ。

そんなシルビアの覚悟を感じとり表情が硬くなると同時に冷や汗を流す。


「わ、分かったわ。私が分かる事実だけを話すと誓う!後色々と忘れてるかも知れない事は出来れば大目に見て欲しい……わ」


「…………」


視線が交差する。


「……分かった。その言葉を信じよう」


「ありがとう……とだけ言っておくわ。ついでに私よ名前を言った方がいいわね。

 私の名前はシーラ・ガンドン」


「私はシルビア、そして後ろにいる男がダンノ・コトワリ、女2人がカトレアとダーケンだ」


シルビアに紹介された3人は軽く手をあげる。


「さて、話を聞こう」





寝るか

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