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連続更新169日目
アイデアと文才が欲しい
断乃は親に2週間ほど魔狩人の仕事として出かけると伝えている為"塔"の解析にそれなりに時間を掛けられる。
この事は魔狩人協会会長も承知しており夏休み明けの学校にも連絡が行っていた。
「ダーケンカトレア、この文字は魔法を発動させる為の文字か?文字の配列を見ても何の事だかさっぱりだ。早く法則性を見つければ既存の文字体系に照らし合わせて何が言いたいか分かるんだが……」
「私どころか先祖様でもあまり分かっていないんだぞ?」
「ん〜〜半分弱なら文字として覚えているがそれ以外は全くと言っていいほど……蚯蚓文字にしか見えないな!!」
「ダーケン様ここは……」
研究員がダーケンに話しかけると即座に英語に切り替えて対応する。
そして話が少しだけ盛り上がり移動して資料を見ながら他の研究員とも話す。
「コトワリ君手持ち無沙汰ならこちらで話すか?」
「いや、僕は既存の魔法陣に使われているパターンとの相違点を調べようかと。
これなら古代文字があまり知らなくても何とかなりそうだからね」
更に調べようと"塔"に触れるとピリッと静電気のような物が体に流れた。
(今……反応した?)
「仮主どうかしたか?」
「…………そう言えばさシルビアさん。この"塔"を回収してから魔力って流しましたか?」
断乃の言葉に微かに反応した。
「流してはいない。けど、回収してもしばらく魔力が反応していたんだよだから現地の私達で回収を諦めて壊そうとした……だけど傷が付けられなくなっていたんだ。
この事から"塔"には防衛機能があると予想される。しかもその防衛機能は私の武器を使っていないとはいえ本気のパンチに耐えられるくらい」
「心剣、神剣、その他の武装を使用していないとはいえお前は人間の中ではかなり高位……今世紀では最強格だろ?」
「私が今の才能のまま男でボディービルダーになれるくらいのマッチョだったら話は変わったかもしれないけどね?
だが体はこの通り貧相だ、希望はないよ」
自身のアメリカの人達の中では小さすぎる体に文句を言いつつネタにする。
こんな下らない話をしながらも視線は"塔"に固定され、頭の中で会話と別に“塔"を分析していた。
話が一旦途切れると3人はそれぞれ"塔"の特徴を思い出す。
(飛行して飛来したり隆起したりその場に突如現れたりと様々だ。
もしかして物によって刻まれている古代文字は違ったりするのか?転移はカトレアやダーケンの様なよほどの高位能力者でもない限り使用者と共にしなければ駄目だったよな?)
半葉やカトレア、ダーケンと転移能力者を知る断乃はここにいる研究員とは少し違う観点を持つ。
「ーーーーーシルビアさん今目の前にある"塔"はどうやって現れたと報告されましたか?」
「ん?これは確か報告では突如現れたと言っていたような」
「ビンゴ」
「仮主?」
「コトワリ君っ?!」
断乃はシルビアの制止を振り切ると"塔"に近寄り触れた。
バヂィッッ!!!
電流が走ったような音が響き研究員達が一斉に振り返る。
気にせずそのまま"塔"を壊そうとする断乃を見て1人の研究員が慌てて止めようとした。
だが断乃は英語が分からないので代わりにシルビアが急遽通訳をする。
「電流が流れ続けてますよ?!危ないから離しなさい!!!」
「ぐっ、これでも人間辞めてるんで痛い程度ですよ!それに俺の予感が正しければとんでもないものが見れるかもしれませんよっ」
片手から両手になり魔力で中和しながら"塔"に罅を入れていく。
既に表面にある古代文字や読めたらない内部以外は全てスキャンしているため壊れても一応は大丈夫であった。
しかしサンプルはサンプルとして壊れる姿は研究員達にとって胃に穴が開く思いである。
バキッ!
「よし!!」
「ダンノ片方の手を引き、もう片方の手を押せ……壊しやすい」
「あ、確かにそれじゃそうするわ!!」
((((壊すアドバイスをしないでェェェェエエェェェ!!!!)))
日本語によるダーケンのアドバイス
しかし研究員達は何を言ったのか本能で分かった為心の中で絶叫した。
「ふっ!!!!」
バキッ!!!!!!!!
一際大きい音と共に電流も止まり"塔"の壁が一部剥がれ落ちた。
中のものを見て断乃は思わず無言になる。
カトレアとダーケンは一瞬にして悟っていた。
「シルビアさん」
「コトワリ君どうしたんだい?」
「毛布」
一言言うとほんの少し体をずらし中を見せる。
そこには鎖で縛られ魔力が枯渇している女性の悪魔族が存在していた。
虚な目は魂がないようにも感じられる。
「わ、分かった。おい!!!毛布を多めに持って来い!ついでに暖かい軽食の準備をしておけ!!」
飛来、転移、隆起
様々な方法で現れた中で転移で現れた"塔"の中には生贄なのか女性が動力源として使われていた。
時間が欲しい