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淵鬼

連続更新165日目

あと数話で休むよ



ダーケンによっても無力化された"塔"の前に影は立つ。

周りには福井県出身の一部魔狩人がいて見るからに怪しい影についてコソコソ話していた。

小声で話そうが影の耳に届く。


(……顔が見えないなら話題の中心になるのも無理はないか)


影はダーケンの方に向くと口を開いた。


「約束通りこの"塔"を無力化してくれて助かるよ、これで研究が大分進む。

 これが地球に出現するとは完全に想定外だった……気持ちとして聖剣、こっちでは神剣か。取り敢えず気持ちとしては神剣をただで贈呈したいくらいだ」


「たかが"塔"の残骸1つで大袈裟なのだな。それほどこのガラクタが必要か?」


「…………ふふ、あわよくば何に使うか聞き出そうとしても無駄ですよ。感謝はしていますがそこまで言うつもりは……ない」


一瞬険悪な雰囲気になる。

しかしすぐに霧散すると影は"塔"に歩み寄り手を添えると何かを呟く。。

それは人間が聞き取れるような言語ではなく古に生きたダーケンでさえ所々しか聞き取れない古代語だった。


その言葉の端々から意味を推測したダーケンは眉間に皺を寄せる。

古代語を呟き終えると"塔"は蠢き始めた。


「お前……」


「怖い声出さないで下さい。思わずここにいる全員殺したくなるでしょ」


「……」


「…………」


ブゥゥン!!!


同時に2人の足元から魔力が網状に広がり半径1キロを()()()()とした。

その場にいた魔狩人、半葉も含めた魔狩人は魔力の効果、魔力に対する恐怖で一歩も動けなくなる。


「流石は《原始開闢》だ。魔力の展開速度が異常過ぎる。おおよそ悪魔貴族の範疇に収まっていない。魔国には職務的な立場での魔王は代々存在する。

 だが本当に【魔王】と認められた存在は歴代で4人。更に言うならば失われた文献には最初に【魔王】といつ概念となった悪魔族が1人だけいたと言われている。

 後に神と取引をして魂を司る一族となったオルナ家、近年は没落したがまた復活して最盛期を迎えていると言われているオルナ」


"塔"が拳大になり直後に人間の成人男性でも握れる大きさに変わった。

それが吸い寄せられるが如く影の手元に移動する。


「現当主と全当主の女が残した一粒種。どちらがお前を超えるか僕は楽しみだよ


影はチラリと手に握られている"塔"を見る。

すると次の瞬間にはダーケンの目の前に槍が迫っていた。


「っ!!」


顔を逸らし体を一回転させる勢いで捻る事で避ける。


そのまま右手で槍を掴むと影が真正面になった時今の身体能力を振り絞り全力で投擲した。


シュウ……ゥゥゥウン


槍が"塔“に何も無かったと思うほど流石に吸い込まれる。

ダーケンは復活して初めて本気の怒りを顔に滲ませた。

それは攻撃を防がれた事に対してではなく槍、"塔"、吸い込まれる現象全てを加味してある結論に至ったからだ。


「守り神を兵器(平気)に使()()()のか」


ダーケンの言葉を受け影は見えない表情を楽しげに変える。


「それじゃあもうようは済んだから帰る」


「簡単に帰れると思ってるのか?」


「帰れるとも《淵鬼》」


《淵鬼》と呟かられると目の前に突如黒くひたすら悍ましい魔力を放つ鬼が現れた。


「貴様どれほど……!!!」


「バイバーーイ」


見えない顔を全力で笑顔に変えて影は地球から消えた。


「ちっ!」


すぐに意識を切り替えてダーケンは固まったままの断乃を叱り飛ばす。


「動けダンノ!!!《淵鬼》は個体にもよるがその強さは最低でも特級中位だ!!!目の前の個体は分からないが最悪の特級上位も覚悟しろ!!!」


ダーケンの言葉に断乃だけで無く一般魔狩人も動き出した。

断乃は瞬時に今出せる全力の身体能力強化施し《淵鬼》に斬りかかる。


《黒森の呪槍》の効果により更に意識の細分化に成功、1つ思考のコピーに成功した断乃は既に魔力によって作られた副腕に《長剣型心剣》を握らせ背後から斬り掛かった。


「ヴァアァァァァアアアアアア!!」


傷は付かずともその攻撃に苛立ったのか思い切り叫び断乃を殴り飛ばす。

その光景を見て一部の上位魔狩人は下位魔狩人を逃しその場に止まった。


「おい馬鹿共逃げておけここは我と断乃がーーーー」


「私もやる」


「ナカバハがこの《淵鬼》を相手する」


「ついでに私も参加します」


カトレアがダーケンの隣に転移して現れた。

少し血の匂いが強いが今は気にしない。


「急遽現れたコイツも入れて《淵鬼》退治だ」


「そこそこ強そうだがお前達の訓練には持って来いだ」


全員が武器を構えた。

その時2人の声が聞こえる。


「ずっと僕もいるのに無視なの?酷くない」


「私も参加するよ」


格好つけられなかったダーケンは目頭を揉みながら呟いた。


「コノダとソウリもだ……」


妙に疲れた様子で広げていた魔力を手の平に集めた。





つら

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