救助
連続更新158日目
アイデア思いつかなくても書けば出る
所々で煙が上がる。
「ちっ何で魔力探知が正常に発動しないっ」
「どうやら空気中に魔力の通りを阻害する別の何かがあるらしいな」
「ダーケンでも分からないのか?」
「我の時代に無かった物は基本に全て知らん!だが魔力を通さないようにするという発想はあった……まぁ生きている間についぞ見る事は無かったがな」
「分家のお前は知らないのか?」
「私ですか?私の時代にはある程度理論を固めてあと十数年あれば実用化出来るかも知れない所までは来ていました……大体今頃がその数十年後ですが」
「「…………」」
断乃とダーケンからのもっと早く言おうよという視線が突き刺さるが素知らぬ顔をする。
「それより仮主私達が塔の破壊に回らなくて良かったのか?」
「破壊に回すより救助に回した方が最終的な人的被害が少ないんだと。
半葉さんとか呼乃田先輩がいるから破壊は割と簡単だと思う。もしも破壊が出来なくともアレだけの戦力がいれば実質的な無力化は出来るよ。
全国に散らばった各都道府県の魔狩人が地元に来てるんだから。意地でも守るさ」
「取り敢えずは救助開始だ」
ダーケンの言葉に従い念の為と魔力探知で広げていた魔力を自身の元に戻して各々走り出した。
☆
「さーて割と久しぶりの1人仕事だ。気合入れて救助しましょっ!!!」
擬似転移を発動して視界内に入っていたモンスターを斬り捨てる。
建物の陰に隠れて見えなかったが大人が1人いた。
「大丈夫ですか?」
「…………あっだ、大丈夫です!」
「なら良かった。少し休みたいでしょうが情報共有の協力をお願いします。
貴方の他に隠れている市民がいたりしますか?いた場合は案内は要らないので場所だけ教えて下さい。あ、話の邪魔すんなや」
背後から襲って来たモンスターをトラップ型の《絶対切断》を発動させて殺す。
目の前の大人は断乃の躊躇いも無いモンスターへの殺意に腰を抜かしかけるが大人の威厳として何とか踏みとどまり質問に答える。
「僕から見て東の方に2キロ進むとリーソンがあります。その近くに地下室がある住居があるのですが私はそこから来ました」
「何のために?」
「食料が危なくなって来たので確保に……」
「たった1人で??」
「地下に匿っているのは子供が殆どで大人がいても足を怪我している人がいるので大丈夫な大人ももしもの時の為に護衛……というと大袈裟ですがその為に留まっています」
「判断はそこまで間違ってはいないと思いますが1人で待つ量には限界があります。何度も往復するつもりで??」
「魔狩人ではありませんが高校生の時は魔闘部に入っていたんですよ。
だからただでは終わりません」
(先輩って訳か……)
大人の意地を感じた断乃は大きく息を吐くとその人と目を合わせる。
「その背中のバッグに目的の物は入っていますか?」
「満杯ではないですがかなり」
「分かりましたそれなら安心です」
「??」
心剣を仕舞う。
そしてその人の手を握ると一言だけ伝える。
「上に行くので直ぐにそのリーソンの場所を指差せるようにしておいて下さいね」
「はいーーーーー?」
疑問を胸に抱いて瞬間には断乃とその大人は空にいた。
「さぁどこですか?!」
「あぁぁあそこですぅぅっ!」
リーソンの場所の大凡の位置を指で示す。
断乃は即座に思考加速をして視界に映る全てを認識、そしてリーソンの位置を把握する。
次の瞬間に大人は恐怖を感じる暇も無く質問に答えるとまた視界が変わり自身が言っていたリーソンの目の前に立つ。
「次は?」
大人が指さした方を見るとマンションがある。
マンションに地下があるのは珍しすぎると思ったが黙って向かう。
そのまま地下室へ続く扉の前まで案内されると一言告げる。
「やっとこの地域にも俺達魔狩人が派遣されたので安心して下さい。
どんなに遅くても今日中に終わります」
一礼をするとそのままの姿勢で擬似転移する。
断乃のちょっとしたカッコつけではあるがその小さな事が大人に安心感を与えると同時に希少な《転移》を見れた事で興奮した。
不安を掻き消された事で地下に戻ると楽しそうに起こった事を話し、子供と怪我をして外に出れない大人達を励ます。
☆
擬似転移で移動しながら徘徊するモンスターを殺して回る。
魔力探知を使えない為代わりとして義眼を用いて思考加速、認識強化を施す。
そうする事により一瞬でも視界に映れば助けられるようにする。
唯一の欠点は視界に入った存在しか認識出来ない事。
それだけだった。
(…………人がいなさすぎるな?やはり隠れてるのか?ここはモンスターが溢れかえってる訳じゃないから既に他の場所に逃げた?可能性はあるかっ……て!モンスターが家の中に侵入しようとしてる!)
何となく嫌な予感がした。
その場から《絶対切断》を発動させてそのモンスターの首を落とす。
そうすると微かだが悲鳴のようなものが聞こえた。
「危なかった……」
そう呟くと断乃は悲鳴の主を助けようと家に踏み込んだ。
石油王と結婚してぇ〜