呪想の唄
連続更新156日目
…………妖精って純粋な分
より醜いよな
誰かが言った『アレ』は私達と相入れる事のない存在だと。
『アレ』は僕達の目的に立ちはだかる障害だと。
越えなければいけない。
だが勝つ事は出来ない。
どれだけ追い詰めようと最後は笑って僕達を圧倒し、背を向ける。
まるで眼中にないと言っているように
ふざけるな。
僕達は……いや、俺達はお前の目に止まらないほどの羽虫だとでもいうのか?!
憎い、憎い……臓腑が焼き切れるほどに憎い!!
殺してやる!!その四肢を削ぎ落とし家畜の餌にしてやる!
そしてもう二度と!俺達を見て笑えないようにしてやるぞ!!
幾千年かかろうと!幾万年経とうとも!!この想い!
その身に刻み込む!!
かつて同じ土地で生まれ、育ち、友情を交わした事などもう!どうでも良い!!
いつか……俺達が復活した時!お前の知り合い!子孫!愛した街までも破壊尽くしてやる!!
待っていろ!オルナァア!!!!!
☆
「…………ん」
男の瞼が上がる。
その動きは長い眠りから覚めたように重かった。
「また、この記憶……過去の記憶、現在の記憶、そしていつか来る未来の記憶。
慣れる事の無い記憶……煩わしいほどに嫌う記憶、だが捨てきれぬ記憶」
身動きの取れない状況で笑みを浮かべる。
「やっと起きれた。やっと成れた。さぁ……目覚めの時だよ僕達」
空気が揺れて周りにいた俺達の瞼も自然と上がり意識が覚醒した。
最期に見た景色のままだった。
「僕達俺達、種は成った……復讐の時、笑みを絶やす時、絶望を刻む時、希望の碑と成ったオルナを絶やす時……数千年、いやもしかしたら数万年経っているかもしれないがようやく時間だ」
俺達はその言葉に呼応して罅割れる。
俺達はその時間を取り戻すように体に魔力が渦巻く。
「最後に見たあの笑みが僕達を俺達を絶望に叩き落とした。
終わる前に蒔いた僕達俺達の種はもの凄く寒気がするくらい良く育ったよ。そうならざるを得ない呪いを掛けた甲斐があった」
俺達は頷く。
あの時を苦労を思い出したから。
器を生み出すに相応しい個体を見つけ種を蒔き、育て、呪いとなる想いを染み込ませるまで予定より時間がかかった。
だが今この状況で目覚めたと言う事は遅かれ早かれ第一の目的は達せられたということ。
完璧ではないが想像より上々
「子孫が送り続けてくれた情報を見たが……ふふ!面白い事になっているよ!
あのオルナが子を!血を!想っている!!!確かにアレは優しかった!だが独りだった!なのに血を残した!!滑稽極まりない!!」
笑いがこみ上げて来る。
阿呆らしい、心底そう思った。
「さぁ!復讐の時だ!!呪いとなった!神と成った!僕達俺達が彼の地を踏み締める!!
オルナは弱々しく地に堕ちた!!さぁ!!嘲笑う刻だぁぁぁぁぁ!!!!」
ピシッ
その身を縛るように包んでいた闇が罅割れて呪いの欠片となり落ちる。
欠片となった呪いは闇を渡り断乃達のいる世界を蝕み始めた。
焼く