それぞれ
連続更新154日目
寝まーす
異空間内の地形が変わる。
一対一対一の命までは奪わないハイレベルな模擬戦闘。
元々の身体能力は3人の中でも低いカトレアは魔法を駆使してダーケンとガディーヴァに必死に食らい付いた。
ダーケンはカトレアを凌ぐ身体能力と武器の扱いでカトレアを一切近付けさせない。
ガディーヴァは元々の身体能力は3人の中では抜きん出ているが複雑な魔法は余り使えない為意外にも勝負は拮抗していた。
魔法を使い身体能力にブーストを掛け、殺傷能力のある魔法は地面を抉り飛ばすカトレア、純粋な身体能力による武器の一振りで地面を抉り飛ばすダーケン、魔法攻撃を受けても動じないガディーヴァ。
遠目からその光景をチラリと見ていた断乃は思わず呆れてしまう。
「いくらなんでも強いねぇ……!!」
「それはどっちの話ですかぁ?《魔爆》!」
目の前に迫る狼型の5m級モンスターの攻撃を逸らす。
そして《変刃 : トラスフォーゼ》ではない初期の《長剣型心剣 : 無銘》で胴体に傷を付けるが直ぐに回復してしまう。
「動きの速さもヤバイのに自己再生能力も高いと来た。馬鹿みたいな設定だよ」
「だけど動きが単純になる傾向にあるから避けるだけなら割といけるねっ」
「シルビアさんとかカトレア達はコイツら普通に対処出来るんですよ?ゴリラですよ!!《ディセラレイト・ソロ》×3!」
断乃は激しい動きの中でトラップ型の《ディセラレイト》をモンスターが通るルートに置く。
置いたと同時くらいに狼型のモンスターがその場を通過すると壁に勢いよくぶつかった様な轟音が鳴り響き真下に落下した。
残りの一体は呼乃田と共に全力で蹴り飛ばした。
蹴られたモンスターは100mほど吹き飛ばされた所でダーケンが設定した結界にぶつかり悲鳴を上げる。
そして即座にに断乃が叩き落としたモンスターにトドメを刺そうと呼乃田は武器を振り下ろすがモンスターが使用した《魔爆》によって空振りに終わってしまう。
「「うっそ?!」」
まさか使えるとは思っていなかった。
だが直接目の前で見せられた手前警戒する要素を増やす以外ない。
蹴り飛ばしたモンスターも全速力で戦線に復帰しつつ呼乃田に攻撃を仕掛ける。
《絶対召喚》能力で《エクスカリバー》を手の中に召喚すると圧縮した魔力を解き放った。
当たれば消し飛ばすくらいは出来たが流石は特級中位と言うべきか削る事に成功したのは顔面の右半分だけだった。
自己再生能力が高くても半分になった顔面は元に戻せない。
「威力、範囲共に最高の武器ですね」
「たとえ偽物だろうと《エクスカリバー》の名前が付くからにはこれくらいは出来ないと……!」
2人はそれぞれ武器に魔力を込めると次に備えた。
☆
ガン!!
「うっぐ!」
決して弱くはない衝撃が風波を襲う。
目の前にはスピードに特化した小型モンスターが風波を惑わすように周りを走っていた。
そして時おり前から横から後ろからと風波の主兵装となった《銃壊 : スコーチュタルス》では取り回しに苦労する攻撃が来る。
「速いっ!」
カン!
トリガーを引くと設定されていた魔法が発動する。
しかし設定されている魔法は全て強力だが目の前のモンスターにとっては少し遅い。
(ホントに私の実力と武器の特性を把握してるわね!!ほんの少し……あと少し届かないこの差はどうすればいいかっ!)
風波は無意識だが初めてオリジナル武器を手に入れた事によってやや《銃壊 : スコーチュタルス》で倒す事に固執している。
この欠点を気付かせる為にスピードに特化したモンスターが用意されていた。
苛立ちが最高潮になった所で《銃壊 : スコーチュタルス》が弾き飛ばされる。
「あっ!!」
「ギィいい!!」
モンスターが目の前に迫る。
死ぬ事はないが間違いなく全力で殴られてしまう。
負けたくないと言う思いが拳を突き出させカウンターを決める。
ガッ!!!
「ギィ?!」
「っっ!!」
咄嗟の一撃だがこれのおかげで風波は武器で倒すと言う事に固執しすぎていた事に気付く。
「おもちゃを買って貰って浮かれてるガキか!私は!!!」
モンスターを両手で掴む。
膝蹴り、そして片手で持つと空いた手で全力かつ連続で殴打する。
「ギッ!!ガビィ!ガッ…ギィ!!」
「この!私が!!変に戦ったのが馬鹿だったよ!!」
全力で蹴り上げる。
そして魔力で身体能力を出来る限り強化するとモンスターを見据えた。
「泥臭くっっっ!!!!」
技術もクソも無いただのパンチ
だがスピードに特化していたモンスターにとっては致命傷の一撃になる。
頭部を消し飛ばした風波は肩で息をしながら《銃壊 : スコーチュタルス》を拾い上げて見つめる。
「武器は武器……あくまで手段っ!」
胴体だけとなったモンスターをロックオンする。
そしてそのままトリガーを引くと氷塊が発射され体を押し潰す。
「格好つけるのにくらいは使うわ」
面白い小説ないかの〜