価値
連続更新149日目
どうも自身を被害勘定に含まない異常者が大好き侍です
「貴方達は店に来る度に知り合いを増やしているわねぇ?」
「知らぬ中ではないから?新しく知り合いが出来たら俺達の知り合いがいるこの店にご飯を食べ行くだろ。割引を期待してさ」
「僕達東京での出来事でお金自体は多く持ってるんだけど根っこは庶民なの。だから値段もリーズナブルなのに量も質も良いここは割とありがたいんだよ……移動費でお金取られるけどまぁ、断乃君がいる時は人のいない所に転移出来るから移動費0円の時もある」
「普段小規模なモンスターの対処でもお金入っているのだからもう少し大胆になっても良いはずなのだけれど?」
呼乃田の言った「庶民」発言にキルノアは反応に困り微妙な返答をする。
軽く溜息を吐くと絶賛パスタ食事中のシルビアとジャスティンをチラ見して険しい表情になった。
「何でアメリカのシルビアがいるのよ!?シルビアって言ったらあのシルビアよ!!アメリカでモンスターが広範囲で超発生した時たった一度の活躍でこの国でいう特級、アメリカでいうSランクになったシルビアよ?!
しかもその時は13歳!その歳でSランクという事はウチのジャックより確実に実力があったわぁ!それまでの経歴はどれだけ洗おうとただの少女!アメリカ史に残るほどの英雄であり化け物なのよ?!」
「随分と良く知ってるな……ファンか?」
「え?!あ、いや……ファンじゃあ〜ないけどぉ……前職の職業柄人を良く知っていたからぁ……かしら?」
そこで断乃達はキルノアとジャックの前職を思い出す。
どこかの訳の分からない組織の専門暗殺者。
対人に特化しておりモンスター相手なら相応の実力だが対人相手に限り実力以上の力を持つ現魔狩人。
年齢がギリギリ中学生に差し掛かる程度に低年齢なジャックはポテンシャルだけならキルノアを超える。
そんな2人の経歴を思い出し当然ある答えに行き着く。
もしかすると日本の次にアメリカのシルビアを狙っていたのではないか?と。
「一応言っておくけどぉ、私達2人じゃあ絶対に勝てなかったわぁ!日本での用事が終わったら2年ほど鍛錬期に入って仕上がったら組織総出で仕留める算段だったもの……」
肩を落とし「その前に組織は潰れちゃったけど」と付け加えた。
対人に特化した2人は現時点でも特級の中でも上位、アメリ式に表すとSランクとSSランクの中間はある。
しかも組織の中には2人より強い存在が数人いたとも言っていた。
そんなキルノアが本気で鍛錬して尚且つ組織総出で挑まないと勝算がそもそも無い。
この発言で断乃は改めて直接戦った1人として実力の高さに戦慄した。
☆
食事が終わった後キルノアに別れを告げて外に出る。
帰り際にシルビアとキルノアがしっかりと顔を合わせた時は何故か剣呑過ぎる雰囲気が漂い皆は慌てまくったがシルビアが矛を収めた事で大事にはならなかった。
その後は軽く観光としてダーケンに福井の観光名所を転移で人気の無い所に転移してから巡る。
観光巡りも終わるとカトレアとダーケンの好意によりそれぞれの家の近くに転移で送り届け断乃達とシルビアとジャスティンだけになる。
「今日は思いの外楽しかったよコトワリ君。私の故郷のアメリカも悪くないが日本のこういった街並みも中々どうして趣があって美しい」
「風情を楽しむのなら福井より京都だ。街並みの綺麗さはダンチだ」
「「だ、ダンチ??」」
「あ、段違いの事。福井は恐竜と自殺の名所がやけに知られてるくらいだから観光するならもっと他にある」
「名所に上げるのが自殺の名所は流石にどうかと思うぞコトワリ君??」
ジャスティンにも呆れられてしまう。
そして突如雰囲気が変わり真剣な表情になる
「今ここでいうのも何だがアメリカに来る件……是非考えてくれ。改めてハッキリ言おうこのシルビアはアメリカを守る為にこの数年間少女である時から国を背負ってモンスターと戦って来た。
その理由は自分を産んでくれた親の土地を少しも穢したくない、モンスターを居座らせたくない、人を殺させたくない。直接自分の為になる願いはゼロだ。
更には一度言ったと思うがシルビアは国を守れるのなら条件に自分を無条件で加えるくらい自分の事を考えていない」
「ん?明らかに世界最強の戦力と言える悪魔族……の中でも名のある個体、貴族と呼ばれる様な存在を2人も従えている者が男なら繋ぎ止める手段として女を当てがうのは当然だろう?
その中に私も含まれるというだけの事だ。少し汚い表現になるが私の股1つで国が救えるとしたら?……余裕で差し出すだろう??」
イカれている。
断乃のみならずカトレア、ダーケン、そしていつも共にしているジャスティンまでもがそう思った。
この自分を被害の勘定に入れなさは異常過ぎた。
どれだけ献身を謳おうと我が身が可愛くあるのは人として当然だから。
「だが私は見た目が犯罪的だからも国からも止められる始末だがな!!!」
「「「何なんだコイツ」」」
もう性癖我慢せずに小説に書いていこうかなと