シルビア
連続更新144日目
遅くなりました
「さて、新しい武器を手に入れた事だ……試し斬りしたいとは思わないかコトワリ君」
「え?ま、まぁ……新しい玩具を貰ったと同義なんで直ぐに使いたい気持ちはあります」
「私が相手をしてやる。胸を借りると思って全力でかかって来い。……借りる程の胸はないがな」
「「「…………」」」
勝手に落ち込むシルビアにどう声をかけるか迷う。
シルビアが顔を上げると同時にダーケンが立ち上がり提案をした。
「ダンノが世界を知る良い機会だ。小娘、良い提案なのは助かる。ここ最近我らとの対人戦が多すぎて変な癖がつき始めていた所だったからな」
「ほう?戦闘に変な癖は命取りになる可能性がある故叩き直さないとな?コトワリ君立ちたまえ全力の君を受け止めてやるから。
確か広場があったな、少々目立ってしまうがそこで戦うーーーー」
「それならば我が戦闘する空間を提供してやる」
「「提供?」」
☆
ダーケンの言葉通り用意した戦闘用に特化させた異空間の中にシルビアとジャスティンは立っている。
「…………!!」
「これは……流石に驚いたな。アメリカでも似た能力を持つ奴がいるがまさか一時的な"世界結界"ではなく完全な別空間を作ってしまうとは……私が一度相手した奴は貴女より相当格下だったようだ」
シルビアから発せられた言葉にジャスティン以外の全員が引っかかる。
「一度相手した?」
「ゼロだとは思っていなかったが貴様の土地にまで出没していたのか……!?」
「シルビアと言ったな?その悪魔族よ見た目や能力はどの様な物か覚えているか教えろ」
「え?ん〜〜〜?」
真剣な表情で唸り記憶を必死に漁った。
そして覚えている限りの情報を断乃達に伝える。
「紫髪の長身の男……毒使い……部下もそこそこ引き連れる。我には心当たりがない分家の、心当たりは?」
「特徴を聞く限りはドラヌシェット家という身体能力は驚くほど高くはないがデバフ能力に超特化した存在ですね。
アレは一対一で戦うとなると相当なアイテムでデバフ魔法を弾かないと対峙してから一歩も動く事なく死ぬ事もあり得る」
カトレアが難しい表情でシルビアが戦ったであろう悪魔族を評価する。
その悪魔族と直接戦闘を繰り広げたシルビアは軽いトラウマを思い出す様な表情で引き攣りながら笑おうとした。
「やっぱりかぁ……固有能力のおかげで毒や痺れ等のデバフは効かなかったけど身体能力が普段の半分近くまで落ち加えて多勢に無勢、ハンターになって対人戦で本気で死を覚悟したのはあれが初めてだっ」
屈辱
とでも言いたい様な顔で言葉を吐き捨てた。
彼女のハンター経歴の中でも対人戦で死にかけたのはその悪魔族との戦闘一回だけだ。
「ふぅーー……まぁいいそんな事より試し斬り何だ!コトワリ君剣を持て!」
魔力がシルビアの体を包み装いが変わる。
スーツから体のラインに沿った鎧へと変化し槍が握られた。
ゴツゴツとしたガントレットが多種多様な武器と融合し禍々しいと感じる物へと変化する。
そして何故か頭身も150㎝辺りから175㎝辺りへと変わった。
「これは私の固有能力である《絶対能力》、元の名は《アバター》……ゲームと同じ様に別の体を作り操る事が出来る。
その際一部特殊な武器も解除される。例えばこの様な!」
槍の柄で3度地面を叩くとシルビアの背後の空間から数十の武器が現れた。
そして
「精霊召喚……精霊憑依……意識共有!!」
光の球がそれぞれの武器に吸収される。
そして完全に戦闘態勢が整ったシルビアが完成した。
「なら俺も……」
断乃の体から魔力が溢れ全身を覆う。
カトレアに仕立てて貰った戦闘服に変わると《変刃 : トラスフォーゼ》《黒森の呪槍》を握る。
更に普段外しているアイテムの数々を装着した。
指輪、腕輪、耳飾り、チョーカー。
どれも断乃の能力を補助するアイテムだった。
最後に義眼に魔力を回す。
「……完全に態勢は整った。胸を借りますよ世界最強!!」
断乃は異空間の地面を抉るほどの力で蹴る。
幾重の《魔速》と掛け合わせた加速はシルビアを目を開くほど驚異だった。
しかし簡単に避けられ神速の速さで反撃され進んだ方向とは真反対にある壁にめり込む。
「君は少し世界最強を甘く見ている。確かに速いが私にとってはまだ遅い。
元はあんな姿でもSSSランク、日本で言うのなら特級禁忌を世界で初めて殺したのはこの私だぞ?地力が違う」
そう言ったシルビアは不敵に笑っていた
少し体調良くなった