想いは
連続更新142日目
早く書いた。
寝る
『ほう?我らが悪魔族だと良く分かったな?』
『詳しく説明出来るほど学がないが存在の在り方が私達人間とは明らかに違うのだから分かってしまうのも無理ないだろう?
それよりお前達の名前は何だ?約束は守ってくれるのだろう?』
シルビアは微笑んで挑発する。
『我の名前はダーケン・オルナ、そして横にいる此奴の名前が』
『カストレア・ミール・リーリェナッゾ。名前は違うがオルナの血を引く家系だ。小娘』
『はっ!小娘ねぇ?これでも私は成人しているんだよ。小柄な体躯故に舐められる事が多いがな』
自虐を挟むとシルビアの目が鋭くなった。
『……話を戻すぞ?私はこの少年と話がしたいのだ。これは個人としての要求ではなくアメリカとして話がしたい。
奪われたアメリカの土地である"禁足地"を取り返すに至った影の功労者、意図して関わったのかはこの際関係ない、どうでもいい。
だが覚えていて欲しいのは私達2人はアメリカにとって最大の切り札である、そしてそんな私達をわざわざ国から離す事によりどれだけ誠意を持っているか示している事だ』
真剣な表情で話しているが話題の中心である断乃は英語が聞き取れていない為完全に蚊帳の外となっている。
そのせいか4人から離れても気にもされなかった。
ゆっくりと離れよう忍足で歩いているとカトレアが声を掛けてくる。
「仮主この者が話をしたいと言っているがどうする?どうしても言っているから聞くだけ聞くか?」
(話している言語は英語そして何回かアメリカ?と言っているからアメリカ人、話がしたい……これは夏休み入ってすぐに"禁足地"で暴れた事で怒られるのかも。
そう言えば認識阻害役に立ってないやんけ……)
話を聞くべきかどうか冷静になって考える。
シルビアは怒る気は一切ないが英語が聞き取れない断乃は怒られると思っている事で互いの思考に齟齬が出来ていた。
更に言えばシルビアは断乃が英語を聞き取れていると思っていたりする。
そんな事も知らない断乃は怒られる覚悟を決める。
「話すと言ってくれ」
「分かった」
カトレアは通訳として断乃の言葉を伝える。
『応じてくれて助かるよ。…………さて、どこで話す?』
『少し待て』
カトレアはその場から離れる席に戻っていた呼乃田の元へ向かった。
「コノダ奴らも話してくるから部室借りるぞ」
「分かった」
応じると呼乃田は部室の鍵を渡す。
「部室は壊してくれるなよ」
「コノダは一体私をどう思っているのか聞いていいか?」
「鬼教官」
「まだ言うか」
☆
カトレアが呼乃田から部室の鍵を受け取って話す為の部室に向かう。
『……今までずっと英語だが仮主と同じ日本語は話せないのか?仮主は英語が聞き取れないからかずっと蚊帳の外の気持ちが顔全面に出ている。
それに通訳も面倒くさい』
『え?しっかり聞いた上で英語で話さないんじゃなくて聞きとれていなかったと……?』
『シルビアさん今の話が本当なら私達はいきなり現れて相手の知らない言語で喧嘩を売りに来た最悪のハンターというイメージしかありませんよ?!』
『お、お前こそ英語が聞き取れるかどうか良く調べなかっただろ?!穏便に進んでいるから良いものの下手をしたら国際問題になりかねないんだぞ!!』
『英語の成績まで調べられたとしても実際話せるかどうかまで分かるわけないでしょ?!メンバーの能力にだって限界がありますよ!!』
カトレアの何気ない一言で喧嘩になった。
上司から丁寧に接しろと言われている2人は互いに非をなすり付け合うが心の底から本気で喧嘩はしていない。
そうこうしている内に部室の前に到着する
『入るぞ』
『『……』』
適当に椅子を用意するとシルビアとジャスティンを座らせ自分達も座った。
話がすぐに始まるかと思われたが始まらない。
『あーーカトレアとダーケンと言ったか?一応聞くが英語より日本語で話した方が良いのか?』
『それだともしもの齟齬がないだろうからな』
『分かった』
シルビアとジャスティンは軽く咳払いをした。
そして口を開く。
「改めて初めまして、私はシルビア・レイヴン」
「ジャスティン・オルコットだ。よろしく頼む」
「は、はい!俺は理 断乃です!」
「コトワリ……タツノ……なるほど良い名だ。
私達は先程失礼をしてしまった。今度は失礼がない様に手短に話させて貰うがよろしいか?」
コクッ
流暢すぎる日本語に驚くがそれを押し殺して頷く。
「ありがとう。では単刀直入に聞く。君達の戦力を私の上司が気に入ってねアメリカに欲しいと言っている。
だからアメリカに来ないか?ただアメリカに来るだけではない。ハンター……こちらでは魔狩人と言ったか?その魔狩人として活動していく為に必要な資金、技術、人脈全ての援助を約束。
更に税金などの諸々を生涯何が合っても特別免除とし引退した後も絶対に不自由なく暮らせる環境を用意出来る。
これは大統領が代わってからもずっと有効だと言っておく」
「随分と……太っ腹なんだな?」
「私含めて決定打を打てなかった禁足地に決定打を与えた人物……と、その仲間をアメリカに引き込めるのならどんな要求でも飲む覚悟だ……と私の上司は言っている。
更に更にだ。今の話とは関係無しにお礼の品も用意している。ジャスティン」
胸元のポケットから封筒を取り出し断乃に手渡した。
「これは……?」
「簡単に言えば"魔法"のカード。これを渡せば無制限で買い物が出来るぞ?」
「あっ」
断乃が魔法のカードの一言で察して声を上げるがシルビアがそれを遮る。
「勘違いするなよ?払うのはコトワリではなくアメリカだ。制限無し、期限無し……好きなだけ使え」
「本当に……疑いたくなるくらい太っ腹だ」
「……今まであの禁足地を奪還するのにどれだけの命が散ったと思う?」
「分かり……ません」
「10万だ!その中には私の兄もいた!!……あの土地は私の兄の仇の土地でもある!!それが奪還出来た!亡くなった家族達の思いを考えれば!散った命が報われた金額と考えればーーーーー」
目を瞑って続ける。
「ーーーーー安すぎる」
ストーリーがあるのよ
モブにも