短時間決着
連続更新129日目
遅いなぁ
「アナタ立てるかしらぁ?」
「あの気持ち悪いのが手を出さないうちに早く立ってお姉ちゃん!」
「分かっ……!」
口内に溜まった血を吐き魔法で作り出した水をで濯ぐ。
それも吐くと《神威》と《淵呼》を構えた。
「お前達は個人個人の力としては対人、対人級特化の魔狩人だったよな?今の空間ごと抉り取る技は?」
「私達2人の合体技よぉ?個人じゃ使えないから基本的に対人特化の魔狩人と考えてくれていいわぁ」
「避けて!!」
「「?!」」
ジャックの掛け声でキルノアと半葉は人間型モンスターから繰り出された攻撃をギリギリで避ける。
「あの私達の合体技は応用だから動きが止まっていないと駄目だわぁ!!
さっきの氷を使って動きを止めてくれないかしらぁ?!」
モンスターが一気に動き出し攻撃を仕掛けるがそれを余裕を持って避けて行く3人は作戦を提案する。
「それは構わないが完全に動きを止めるとなれば少々暴れすぎている!ほんの少しだけだけチャンスを作れないか!?」
「なら私が隙を作るよお姉ちゃん!!」
「助かる!」
この会話で作戦が固まりそれぞれ動き出す。
ジャックはまず半葉がモンスターの動き全体を止める為の隙、時間稼ぎを始める。
不定形の姿から繰り出される攻撃を全力で弾く。
(やっぱ重い!!)
ダン!ダン!!ダン!!!ダン!!!!
次々に重い一撃をジャックへと繰り出すが避けられ、弾かれそもそも届かぬと決定打にはなり得なかった。
負担が増えぬようにとキルノアもジャックとは反対方向から攻撃を仕掛けて注意を逸らす。
(3……4……5……6……7……8)
半葉はモンスターからの攻撃範囲外でモンスターを中心として時計回りに走りながら地面に何かを投げ飛ばしていった。
(これがあれば《氷淵呼》の発動条件も緩くなって範囲、威力が上昇する!!魔力の遠隔媒介としては上等。持ってて良かった便利な代物だな!)
最後の楔を打ち込み終える。
「行くぞ!!!」
声を張り上げて暗に「今から技を発動するから離れろ」と伝えるとジャックとキルノアの2人は同時に攻撃を弾く反動を使い楔より外側に逃げた。
「よしっ!《氷淵呼 : 叛》!!!!」
《神威》《淵呼》それぞれに魔力を全力で込めて複数ある楔の内の一本の目の前に突き刺す。
一瞬にして魔力が楔から楔、楔から楔へと伝達していき0.1秒以内に全てに行き渡る。
パキンッッッッ!!!!
楔を媒介にした事により普段から《淵呼》が触れられる範囲の2倍までしか有効では無かった。
しかし金に糸目を付けず楔を使用した事により全身を魔力が存分に込められた見た目はただの氷、硬度はタングステンよりも(多分)硬い存在へと変化する。
「………………!!!」
「「来た!!《キリングフィールド》!!」」
異空間へと入り口が現れるとぬるりと下半身と思われる部分からから入って行く。
「……?!……!!………!!!!」
不定形な為氷の中でも動ける余裕が出来た事で必死に暴れて抵抗する。
これ以上異空間へ落ちぬようにと地面に一箇所に本気で穴を開けて外の地面に突き刺し固定しようとした。
「「おっと手が滑ったーーー(棒)」」
そんな事を言いながら身体強化を施し足で地面に突き刺した恐らく手に該当する部位を蹴り上げ固定出来なくさせる。
「滑ったのは手じゃなくて足ねぇ……」
ボソリと呟いた一言がジャックと半葉の耳に届いたが恥ずかしいからか聞こえないフリをした。
「……!!!!……っ!」
「ん?」
「どうしたのかしらぁ?」
「今喋ったような気がしたんだ」
「ふーーん」
ジャックはキルノアの側に寄ると今なお必死に足掻き異空間への移動を拒むモンスターを見る。
「一応聞いておきたいんだがいちか?」
「「いいよ(わぁ)」」
「《キリングフィールド》の先はどうなってる?直ぐに死ぬのか?」
「死なないよ」
「一応模擬戦闘等に使える私達2人に有利が空間に連れて行かれるわぁ。
異空間への入り口、ゲートが開いている間は眼前に沈んで死なない。異空間が完全閉じる条件は私達2人が中にいない事ただそれだけ。
そしてたった今完全に異空間へと沈んだあのモンスターは出ようともがく、だけど私達が外にいる」
「本来なら中に生き物がいる状態で閉じれば外に弾き出されるよ」
「だけど私達が"悪意"を持って魔力を使い出口に蓋をすればぁ……!」
「相応の魔力を要求されるけど確実に葬れる」
「…………恐ろしいな」
一応無言の決着がついた事で余裕が出来た半葉達は他のモンスターが出現した場所の応援に向かった。
一方その頃真梨と風波はどちらが多くモンスターを討伐して、人の救助を丁寧に出来るかで競争していた。
そして後になって半葉にバレてしまい割と普通に怒られてしょぼーんとなったのは言うまでもない。
頑張らないと