別れ
連続更新118日目
遅くなりました
「…………」
「仮主??」
「そんなにアレが嫌だったのか?」
「いや、そんなに嫌いじゃない、寧ろ嬉しいよ。だけどさ……」
「う、うーむ。確かにあの別れ際の暑苦しさは我が関わった存在の中でも一際暑苦しい存在だった」
ダーケンは苦笑し
「先祖様。私は無駄に煩く、暑苦しいアレが嫌いです!!もう2度と会いたくありませんね!!」
カトレアは憤る。
「アレ何て言ってやるな。折角ダンノに初めての名付けをして貰ったのだぞ?可哀想ではないか」
「はぁ……」
嬉しさが混ざった呆れが同時に断乃を襲う。
☆
別れ際
「謀らずともこの俺の進化の助力をしてくれた事……感謝する」
深々と頭を下げた。
本来龍人になる前に死ぬ個体も決して少なくはなかった龍族。
それを自身の成長の糧にも周りのモンスターを殺した断乃によって僅かに出る魔力が背中を押した形になる。
龍族から再び龍人になる難しさを分かりやすく断乃の生きる地球の競技である陸上で例えるのなら自身の持つ記録より一度も劣る事なく常に更新して世界記録に手を伸ばし老人になってマスターズで現役でいようと更新し続けるほど難しい。
それほどの難易度である龍人への進化。
感謝しないわけが無かった。
「気にすんな。俺も最初はお前を自分の糧にしようと殺そうとしたんだ。まぁ、結局殺すと事にはならなかったが色々良い話も聞けたし龍族から龍人への進化で最高なアイデアも浮かんだ。
俺も感謝してるよ」
「お互いさまか」
「「ははははは」」
笑い合うと断乃は手を差し出した。
「ん?何だ」
「握手、友達……って言い方だと何か生温いな。じゃあライバル、好敵手だ。割と本気で挑んでもまともな決定打一つ与えられず目の前であぐらをかく余裕。
どう見ても格上だろ?」
「お前の《絶対能力》もかなり痛かった。その年でそれだけ強く使いこなせているのなら後数年いやーーーーー」
チラリとカトレア、ダーケンを見る。
「もしかすると数年とは言わず数ヶ月で俺を超えそうだな」
「あの2人は馬鹿みたいに厳しいけどその代わりサポートもそれ相応にしっかりしてくれてるからもしかしたら本当に数ヶ月後にお前を超えそうだ」
「だが」
ギリッ
雑に断乃の差し出した手を握ると少しだけ力を込める。
「そう易々とこの俺を抜けると思わぬ事だ。
老龍からの伝聞や人族の記録を調べた限り、だが龍族史上最速で龍人に至ったこの俺の力はまだまだこんな物じゃない」
ギリリッ
断乃は龍人より強く力を込める
「確かに今はお前の方が格上かも知れない……だけど俺の《絶対能力》に"痛い"と言った。
この生まれて20年も経っていない若僧の俺の能力にだ!俺には2人もいる、それに先輩達や真梨、風波、堅霧達もいる。成長する手段、方向は1つじゃないんだ」
「………………ふっ」
パッと手を離す。
そして背中の羽を広げると何度か動かした。
「ならお互い頑張ろう。名前を貰った俺は……負ける気が全くしないからな」
「敵に塩を送った気分だよ。ガディーヴァ」
「友であり、ライバルでもあり、ある意味お互いの成長を見守る兄弟……か。名付けをしたと言う意味ではある意味親だなぁ?」
ニヤニヤと笑いながら断乃に歩みより肩を組んだ。
「お互い頑張ろではないかぁ??お・と・う・さ・ま?」
「気持ち悪りぃぃいぃいいい?!!!その龍人の癖に様になった猫撫で声止めろぉお!!怖気がするっ!」
「そこまで嫌がる事ないだろ。はぁ……ま、じゃあまた会う日までだ。次会ったら本気で相手してやる」
「こっちのセリフだね!!」
☆
「……肩組まれて耳元で龍人の男の声で『お父様』。シンプルに気持ち悪い」
「だが良かったのではないか?コノダ達は『仲間』ではあるが『ライバル』とはまだ言い難い」
「模擬戦闘を何度もこなしているとはいえ命の削り合いはしてないからな。
そんな意味で1番目のライバルはあのガディーヴァだからな?大切にしておけ」
「宝石並に大切に扱うよ」
ダーケンにそう答えると《変刃 : トラスフォーゼ》ではなく長剣型の心剣を取り出した。
数度感触を確かめる様に振ると上空を見つめる。
「ちょっと俺は強くなりたくて興奮してるんだ。俺の成長の糧になってくれモンスター」
刀身全体に魔力を纏わせる。
更にその刀身の先端に他より少しだけ多く魔力を纏わせた。
「早速だけどガディーヴァから得たアイデアをフルに活用させて貰うぞ雑兵!」
「私は他の場所で適当に時間を潰しておくぞ」
「気が済んだらその指輪で呼べ」
その言葉を残してどこかへ転移した。
「《転身 : デーモンハート》」
断乃の人としての魔力が変質し魔力の質がカトレアとダーケンの2人と同質の物になる。
「…………《斬奪》」
目に見えるモンスター全てが目の前に転移するとそれを《絶対切断》で真っ二つにする。
「さぁ……行くぞ」
ブクマしてくれても良いのよ?
( ;∀;)