食事〜2〜
連続更新117日目
ブクマも増えて幸せっす
「……地球に来る前の記憶と言っていたがそれは前世という意味か?」
「違う、何と言っていいか分からんが……一つ言えるのは転生ではないと言うことだ。
あ、いや……普通に代償と言えるのか」
言葉に迷っていたがまた学び新しい言葉を覚えた。
断乃の魔力から記憶を少し吸収したとはいえ幾らなんでも覚えが早すぎると感じる。
「その代償ってのは?別世界、からこの地球に来る為の代償って事なのか?それとも別の?」
「この地球に来るための代償って意味で合っている。
本来悪魔族の中でも上位の悪魔貴族しか使えない現世界と別世界を繋げる《ゲート》と呼ばれる秘術……その代償として生物として龍族としてのレベルを落とした。
魔力の大部分が消失し体も龍人からただの龍族へと退化した。ある意味寿命が伸びたから得したとも言えるな」
「ん?この地球に来る前は今みたいにな龍人だったの?!」
「後たった数年で死ぬ予定だった。だがある上位の悪魔貴族によって俺達は住処を追われ散り散りなってしまった。
そこで何とか俺と一緒に逃げられた上位の悪魔貴族が使う《ゲート》に詳しい龍人が俺を別世界、ようはこの地球に送り出そうと提案して来た。
上位の悪魔貴族と違い《ゲート》を潜った先の世界も選べず、時代すらもどこに行くか不安定。魔力の無い世界に来れば前の世界より倍どころではない早さで死が近づき龍族は滅ぶ」
そこまで言うと龍人は顔を上げてチラリと断乃、カトレア、ダーケンの3人を見る。
「この様な魔力の豊富な世界、食料に困らない土地、モンスター、魔獣……実に幸運だった」
「その一つだけ聞いて良いか?」
「何だ?」
「《ゲート》を使った他の仲間は?」
「…………」
龍人は黙る。
そして口を開いた。
「《ゲート》は本来龍族が決して使う事の出来ない秘技。それを無理矢理に可能にしたのは忠臣の……賭した命のおかげだ」
(忠臣?何かしら高位の立場だったのか?)
「だから俺は……我は!我らの故郷を滅ぼしたあの憎き悪魔貴族を殺してやりたい、殺すと忠臣に誓った!
あのクソを煮詰めてこの世のありとあらゆる失敗を100年間継ぎ足して来た様な邪悪が笑み!!」
(((ご、語彙力ぅ……)))
龍人は至って真剣。
だが3人はクソを煮詰める、100年間継ぎ足しのまさかの語彙の登場に少しだけ笑いそうになる。
「思い出しただけでも腹が立つ!!ちっ!お代わりだ!」
(腹が立ったんじゃなく腹が減ったんすね……)
断乃は龍人が自ら仕留めて来た獲物を小さくブロック状に切り分けた肉が入っているシチューをよそうと差し出されたお椀に入れる。
龍人に渡すとそのまま大きな口に「それで味分かる?」と聞きたくなる量のスプーン一杯分を頬張った。
「やはり美味い……あ奴らにも人間が築き上げて来た食を味合わせたかった」
「龍人……」
じっと顔を見つめる。
何度も見るが顔が龍な為表情が分からない。
しかし会話の流れで悲しんでいる事ぐらいは断乃にも分かった。
「ふっ、取り敢えず龍人」
「む?何だ?」
「そのだらしなく開いた口から垂れているシチューをどうにかしたらどうだ?」
「む?!これは!勿体ない!!!」
素早く、しかし優しくお椀を下に置くと左手の指でシチューを拭う。
「…………」
チロッ
龍族特有の細めの舌を伸ばし指に付着したシチューを舐める。
「やはり、美味い」
「確かにな。食に関して貪欲だった。俺ら日本人の先祖達に感謝だわ。他の国の宗教で禁止されてる動物の肉も普通に食卓に並ぶくらいだし」
「し、宗教で禁止されている肉が其方な国では普通に並ぶだと?!?!」
「うおぉっ?!どうしたよぉ?」
「人族とあまり関わりが少なかった我とて宗教の面倒くささは良く理解している。割と頻繁に我らの住処に邪龍だとか邪龍人だとか言ってる剣を振り回しに来たからな」
「え、危な。大丈夫だったのか?」
「若い龍族なら兎も角、老いた龍族や龍人となった者がいる我らの住処に来た人間など5分もかからん。
全員が一斉に本気を威圧をすれば強者だ勇者だと謳っていた存在が失禁して逃げていったからな。…………よく考えれば我らの住処に無断で来たのにも関わらず失禁だけして帰るのは違うのでは?」
「でしょーね」
そこから龍人はシチューを運ぶ手を時々止めて(恐らく)かなりげんなりとした表情で宗教の厄介さについて説いた。
自身が信じる宗教以外の宗教への接し方、一神教や多神教、多種多様な宗教の厄介さを知るだけ事細かに。
シチューのお代わりも3杯目になりそろそろデザートをと考えていた時今更な疑問が浮かんだ。
「そう言えばさ」
「何だ」
「名前何?」
「名前…………………………無いな。よし、ならばお前が付けろ」
「はぁ?!」
「ここで会った縁!飯を恵んでくれた恩!その礼として名前を付ける"権利"をやろう!」
「えぇ……」
戸惑っているとずっと黙っていたカトレアとダーケンが立ち上がった。
「どした?」
「少々用事が」
「食後の運動として軽くモンスターを狩ってくる」
「分かった」
頷くと2人は擬似転移ではなく普通に転移して運動に向かった。
「それで我の名前なのだがーーーーー」
「いや、俺には荷がおもーーーーー」
その日会ったばかりの2人の会話は名前の決める決めないでかなり盛り上がった。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
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