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背中

連続更新112日目

少し遅なった!



「……デカイな」


『ルルルォオォォォオォオォオ!!!!』


地響きの如き咆哮が耳に届く。

断乃、カトレア、ダーケンが殺したモンスターから発生する微々たる魔力を全て集めて種族として"進化"しようとしていた。


「最後決定的な魔力を得ていないからギリギリの所で進化していない感じかぁ〜」


高さ20m全長70m近くある体を蠢かしながら少しずつ移動するモンスターを見て冷静に判断を下す。

丁度良い感じに例のモンスターを見下ろせる程の山から降りる為に立ち上がる。


「っしょと。《変刃 : トラスフォーゼ》」


両手に双剣が握られるとトンファーモードに切り替えた。


カシャン


「動きは今の所時速10キロもない超がつく鈍足。しかも阿保みたいにデカイから背中にも乗れて攻撃する為の足場として利用出来る。

 某海賊漫画で『背中の傷は剣士の傷だ』ってセリフがあるけど"お前"は剣士じゃなくてモンスターだから容赦なく……背中を攻めさせてもらうぞ!!」


例のモンスターの背中をしっかりと目で捉えると断乃は《アブソリュート・ゼロ》を発動させた。


キンッ


特有の音を鳴らすと視界は山の上からモンスターの背中に切り替わる。


「《ジャッジメント》は首サイズ的に無理……なら《トラップ》系の射程が無いもしくは短い技で感触を確かめるッッ」


ドドッ


《絶対能力》を発動させず素の力の全力で背中を殴った。


「『アブソリュート・ペネトレーション》!!!」


ガキョッッ!!!!


右腕から追い討ちをかけるように斬撃が発生し歪な音を鳴らす。

《絶対切断》は剣を振る事により発生する『斬撃』を飛ばしたり、普段行なっている鍛錬等の時間に行った斬り方を射程内の空間に自由に設置したり、《絶対切断》の能力を付与したり、ただの《切断能力》から《絶対能力》へと進化した事により少しだけとはいえ時間という名の過程を斬り飛ばしたりする事が出来る。


これが本来出来る事の全てだと思ってしまうが実は違う。


《絶対切断》は剣で行える動作を発生させる事が出来る。

しかし斬るだけではない、『突く』といった動作も行えた。

ダーケンとカトレアに普段から鍛えられ、何も強化していないまっさらな状態でも普通の高校生を遥かに超え、更に身体能力を強化した状態で繰り出される全力の突きを《絶対能力》を使い殴ったと同時に発生させるとどうなるか?


答えは簡単で山の如きモンスターの背中を穿つ。


『!!!!!!!!!!』


最早声ではなく爆発音となった悲鳴が衝撃となって断乃の体を叩く。

鼓膜に関しては事前準備で魔力膜で守っている為異常はない。


背中の穴から血が噴き出る前に少し離れた背中に移動する。


「血のシャワーは、流石に気持ち悪いな……」


思ったより派手に噴いている血を見てややげんなりした顔で呟くと背中を殴った右手を見つめた。


「感触と《ペネトレーション》の感覚からして深さは4m弱かな。

 こんなデカイ一撃でも即死しないって事は根本的な生命力が優れているかとそもそも急所に掠ってもいないかって事。

 ここまでデカイと心臓がどの位置にあるか、どれだけ大きいのか想像もつかないし……参ったな」


後頭部をポリポリと掻き考えを続けた。


「そもそもこのモンスターの核となる物が心臓だった場合だけどなぁ。なら」


双剣を弓に変形させる。

天を射抜くイメージで空に矢を放つ。

放たれた矢が弾けると無数の斬撃 : 突きの矢となってモンスターの背中を突き刺した。


弾けた矢の全てが弓と魔力の導線が繋がっている。


「魔力探知の応用である魔力浸透を教わっておいて正解だったな」


どくどく……と血の流れの様に限りなく薄めた魔力がモンスターの体の中へと浸透している。

魔力探知は広げた魔力の反射によって地形や人、物を把握する術であるが魔力浸透は内部へ流した魔力の反射で臓器の位置を把握する術。


医療にも用いられるているが個人で使える者は意外と少ない。


「……心臓とは別に核と呼べる器官らしき物がある」


魔力を操作してその謎の器官の中へと魔力を浸透させようとすると何故か全身に激痛が流れた。


「ぐ、ぁぁあぁぁあ!!!」


思わず《変刃 : トラスフォーゼ》を落とし蹲る。

激痛に耐え弓を持つと魔力を操作して背中に軽く突き刺さっていた矢を回収して自身の魔力を回復させた。


「…………」


無言で弓を持つ手を見ると小さく震えている。


「ナイフで刺されるような痛い思いしたのは最悪だったけども……弱点が分かったのは幸いだったよ!!!」


話しながら移動し、弱点と思われる存在の真上に到着すると弓から大剣へと変形させる。

そして《絶対切断》も使い思い切り深く突き刺した。


「デカイのは良いけど!!!デカさによる鈍足が文字通り足を引っ張ったな!!!」


思い切り息を吸う。

そして


「《アブソリュート・カラドボルグ》!!!」


()()の名前を借りた《絶対切断》による最大の突きがその体を抉りとばした。






金冠出なさすぎると一周回って笑う

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