夏休み〜3〜
連続更新107日目
そろそろサブタイもサボらせてくれ
「おぇ……」
「ふぅーーー……ふむ」
「中々いい汗をかけたぞダンノ」
うつ伏せで倒れ込む断乃と余裕の態度で汗を払うカトレアとダーケン。
壁際にある荷物からスポドリを3人分取り出すと倒れている断乃に投げ渡す。
「……サンキュ」
大きく3口ほど飲む。
たった5分
たった5分しか戦闘していないがその汗の量は普段の模擬戦闘で流れる量の5倍はある。
身体能力は全力も全力、更に《絶対切断》は使っていないが移動手段に《絶対切断》を応用した擬似転移までも使って一対一ではなく一対ニをした故にその汗の量は決して誇張表現では無かった。
「ここまで来るとウォームアップ何……もんじゃ、ねぇっ……!!!!」
「だ、大丈夫か仮主?」
「少し気合が入りすぎたな……これは反省だ」
カトレアは断乃を気遣い声を掛け、ダーケンは途中から衰えてる状態の中でもかなり真剣に模擬戦闘に望んだ事をそれなりに反省している。
何とか立ち上がった断乃がゆっくりと歩きあ壁に寄りかかると座り込む。
魔狩人協会に魔狩人としての登録をしに来たのにこれでは適正なランクを得られないかも?と考えたカトレアは断乃の肩に触れて筋肉疲労を回復させた。
「…………マジで??」
「今日は私達が本来よりも張り切ってしまったからそのお詫びという形だ。だが今回の様な事情でもない限り筋肉疲労は回復しないかるな?」
「それでも今回復してくれるのは助かるぅ〜!!」
「子孫も詫びるならば我がしない訳にはいかぬな。ダンノ、減った魔力分を我が補ってやるから手の平を突き出せ」
「うす」
ダーケンの言葉に従い手を差し出す。
すると握手をする形になる。
「送るぞ」
そういうとダーケンの体の中で渦巻いていた魔力が手を介して断乃に流れ込んだ。
「っぅお?!」
ダーケンからの魔力譲渡による初めての感覚に思わず変な声が漏れてしまった。
「握手して魔力譲渡されてる状態だからこそ何だけどやっぱダーケンの魔力量ヤバいな。
魔力効率が爆発的に伸びて魔力量が実質10倍になって更に普通に魔力量が増えた俺より全然多い……」
「全盛期よりかなり衰えたと言ったはずなのに現役の私より遥かに多いのは些か自身を失くします」
「はっはっはっはっ!!自信を持て子孫達!!お前らはオルナの血を引いているのだぞ?代々魔力量にも魔力効率にも優秀な血族なのだ。
まだ幾らでも伸び代はあるんだぞ?子孫は才能を考えるとそうだな……限界が今の5倍か?」
「ご、5倍?!」
「5倍と言っても若くしてなるのではない。歳と経験を積み老獪な悪魔貴族となったらの話だ。
ダンノのなら一応人間との血が混ざった混血とはいえオルナの直系故カトレアにも劣らず良い魔力量と魔力効率になるだろう」
客観的に見て割と胡散臭い事を言っているダーケンだが断乃とカトレアは勘だがその言葉が本物、信頼するに値すると確信している。
断乃の精神も安らいで来たころ扉が開き人が入室してきた。
「あ、会長……先に着いたのでウォームアップとして模擬戦闘をさせていただきました」
「そのようだ。良い汗をかいているのを見て直ぐに分かったよ。
それで魔狩人としての試験なのだが……実は今の模擬戦闘を見ていた。そして今君の体を見て確信した。以前より少しいや……飛躍、進化と言っていい程成長している」
「分かるんですか?」
「自然と溢れる魔力で自然と分かるものだ。しかも私の目は少々特殊だからな」
「会長」
「おぉーーっと君の事を改めて紹介しないとな」
2人の魔狩人が前に出てくる。
それは以前カトレアが魔狩人とした登録する際に相手して圧倒した2人。
「五色 妃乃江」
「屋久 千凛」
2人の体から魔力が陽炎のように立ち昇っていた。
まるで前回カトレアに負けたそのリベンジに燃えている様に。
その目に断乃に対して一切の油断は無かった。
「《変刃 : トラスフォーゼ》」
「『命じるは戦姫、進むは戦鬼。我は千騎ナリ』」
「『俺が戦刃と成る』」
2人も心剣を呼び出した。
断乃よりも長く心剣と生きている為か武器から生きているような覇気を感じる。
カチャッ……
3人は無言で心剣を構えると他の関係の無い人達は別室の断乃達を映すテレビのある部屋に移った。
「何で来たんですか?たかが高校生魔闘部員の魔狩人としての試験に正直貴方達が出向くほどとは思えませんが??」
冷静さを欠く目的で若干煽りを入れる。
「画面越しに見たお前があまりにも強そうで……楽しそうに戦っていたからだ」
「そんな姿を見て落ち着いていられるか」
しかし2人は冷静に断乃の言葉を返す。
「「さぁ、試験開始だ」」
(さっきよりも本気で行く!!)
《変刃 : トラスフォーゼ》を双剣 : トンファーに変形させると断乃は全力で駆けた。
ここまで読んでくれてありがと!!!