夏休み
連続更新104日目
何とか
時間が経ち夏休みのシーズンに入る。
ここまでモンスターの大規模な発生は無くなったが小規模の発生が異常に増えて断乃達の魔闘部だけでなく他校の魔闘部もかなり疲弊していた。
断乃達はダーケン、カトレアの2人に鍛えられている為他校の魔闘部の様に疲弊はしていないが精神的にキテいる。
「夏のシーズンだけどみんなはどうする?緊急時ら召集されるとは言え手当もかなり出るし夏休みの間は任意で強制じゃない。
わざわざ危険な橋を渡らなくてもいいんだ」
魔狩人協会から既に全魔狩人に通達されている事実を改めて魔闘部全員に認識させる。
一応最近正式な魔闘部になった堅霧の取り巻き的立ち位置の吉村達も例外じゃなかった。
勿論魔狩人協会は最近の傾向から高校生の魔闘部であっても卵である存在の力を借りたがっている。
それほどモンスター、魔獣化の発生件数が異常という事。
その分学生の半分である課題は最悪免除も考えられているし手当という名の給料も当然用意されている。
末端の高校生魔闘部でさえ日当5万
どれほど人手が無いか一目で分かる数字だ。
「もしかしてだけど他県に出張……なんて事になったら?」
「その質問は既ににして答えを貰っているよ。もし他県の人手が足りなかったら出来れば駆けつけて欲しいと。
その場合最低でも日当10万、泊まりがけになった場合に発生する金銭は全て魔狩人協会と国持ちと言ってたよ」
「分かった。なら私は参加する予定でいる」
「私も出る予定でいます。新武器の心剣化に成功したので積極的に使っていかないと」
「想離君に風波君本当にいいのかい?」
「私は従僕があるから幾らでも逃げる手段はあるんだよ?しかも最速のドラゴン。それでも危ない場合は常に風波ちゃんと一緒に行動すると協会に言えばいいよ!」
「私も同意します」
2人はメールを貰った時に行くと決めていた。
そしてお互いにメールのやり取りをして今の発言を用意していたのだ。
親の同意はまだだが一応魔狩人の卵という仕事の側面を持つ為心配はするが反対はしない。
「なら僕は後方支援に集中しようかと」
「真梨君?」
「幸い僕は治癒魔法も使えて戦闘も出来た移動もそこそこ速めの万能ヒーラーですっ」
むんっ!と鼻息荒く自信満々に呼乃田にアピールをする。
そんなアピールを出来るほど治癒魔法が成長していた。
成長した治癒魔法と身体能力強化を併用して前までは到達し得なかった所まで無理矢理引き上げる事も出来る脳筋にバーサーカーにもなれる。
その真梨の治癒魔法と身体能力強化を合わせた治癒強化の倍率は恐ろしく高く断乃と呼乃田が能力を使わず戦う本気と同等だった。
故の自信
「なら俺は県外に出ない条件プラス地元だけの条件で緊急召集にも応じます」
「有り難い事だよ。魔闘部部長のしての仕事は増えるけど寧ろそれが心地いいまである」
「堅霧さんだけに負担かけさせたく無いので俺達も……」
吉村達が呼乃田に言う。
いつぞやの東京へ行く前にあった呼乃田との対話の時と比べその目は遥かに真剣であり覚悟があった。
「前と比べて本気で何より。覚悟のない奴を望んでいるとはいえそんな場所に行かせられないからね。
それじゃ吉村君達、堅霧君の負担を少しでも減らせる様に……本気で挑めって言っても緊急召集があれば何だけどね?」
「くふっ。カッコつけてる……!」
「そ、想離!笑う事ないじゃないか!」
「こーちゃーんカッコイイよぉ〜〜〜〜???」
ニヨニヨ〜っとしたイヤらしい笑顔で想離は擦り寄ると嫌がる呼乃田の頭を何度も雑にワシャワシャと撫でた。
「くっ!せめて後にしてくれ想離君!」
「可愛いねぇ〜〜??お姉さんと遊ぼうぜ〜???」
「年下のくせしてお姉さん?!色気付けてからお姉さんを名乗れ!!」
「ぐふっ?!」
揶揄って来た想離の自信を粉々に打ち砕き横に退かす。
「それで断乃君達は?どうする?魔狩人協会としてはカトレアさんかダーケンさんのどちらかでも協力して欲しい……との意見です」
「呼乃田さんそれについてなんですが俺は夏休みの間少しだけ休暇というか魔闘部としての活動を辞めたいと思います」
「え?!」
「戦闘狂な面があるあの断乃君が休む??」
「何か変な物でも食べたんじゃないでしょうね」
「あ、あれぇ?こーちゃんこれどういう事かな??」
「知らない……なぁ」
一同が断乃の活動を一時的に辞める発言に絶句していた。
ダーケンやカトレアとも毎日の如く模擬戦闘をするほど戦闘狂である故にその反応も大きい。
「俺を何だと思ってるんですか。個人的にやらなきゃ行けない事があるんですよ」
「彼女でも出来た?」
「絶賛募集中ですよちくしょう。いや、違くて少し……じゃないなかなり複雑な事情でカトレアとダーケンの事情にも関わって来る事なので」
「まぁこちらで知った言葉で表すとなると……」
「『カチコミ』だ」
「「「何すんねーーーん!!!!」」」
時間とやる気が欲しい