そのカエル野郎はうるさい。
亜人主人公増えろ!!!!
処女作です❤️
優しくして…
500年前、その世界は突如として魔神により闇に覆われ、その全てが暗闇に包まれた。
光を取り戻しそうとする神々と闇の魔神との戦いが起き、暗闇の中、世界中に神々達の戦いの音が響きわたる。
3日続いたその闇の中の戦いの音は次第に小さくなり、
光の神々は次々と倒れ闇に呑まれ世界は終わろうとしていた。
絶望と諦めの中。
生き残った少ない神々の1人主神アラクは自らの全てを使い最後の手段として
異世界から4人の人間を召喚した。
その者らは剣の勇者、杖の魔女、盾の騎士、光の聖女として世界を周り、希望の光を紡ぎ、そして魔神と戦い、勝ち、失い、そして世界を救ったのであった。
4人は世界の守護者として今でも語り継がれる。
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明るい日差しが照らす街、その地域はトシビと呼ばれている。
少しずつ田舎感から抜け出しつつある発展途上中の街は活気良く賑わいに溢れている。
果物や、野菜を置き並べる八百屋に、分厚い猪の肉を解体し始める肉屋、
吸うだけで酔いそうな酒の匂いの漂う酒店、
買い物や、散歩で歩き回る人々達の間を割って走り回る子供達や、それを見て微笑みながら談笑する爺さん婆さん達が座る喫茶店。
茶色い古びた宿屋の窓から漂う朝食の匂い。
とても気持ち良い日常の風景だ。
そんな平穏な街の真ん中に大きく佇む建物があった。
大きな扉の開いた中から見える風景。
そこは鎧を装備した剣士達や、動きやすさを重視したような軽装の若者達、依頼書の沢山貼られたボードを睨む2人の男女。
中には貴族様のような豪華な服装に身を包む青年。その隣には大声を上げて暴れる酔っ払いのおっさん。
よく見れば豪華な服装の青年はビクビクと顔青くしている。
そう、そこは冒険者が集ういわゆる、冒険者ギルドである。
あらゆる人種、種族を超えてその場所は今日も賑わいに溢れており、猫耳受付嬢の娘や、虎頭の巨漢、象のような長い鼻と耳の垂れた商人。
皆、それぞれ目的を持ちギルドに立ち寄っていた。
そんな中、賑やかな喧騒の中一際大きな声が響く。
「うわー!!!!!!やっぱかっこいいな!!!!!」
その声の主は、なんというか灰色だった。
黒に近い灰色の鎧に体を包み、ガチャガチャと
大きな背中を丸めて席から立ち上がり
歓喜包まれた大声で本を上に抱え上げていた。
その本のタイトルは『4人の守護者』と書かれている。
本を胸に抱き締め灰色の大男は感動に潤んだ目で叫んだ。
「やっぱ、憧れちゃう!良いなぁ良い!特に盾の騎士っ!俺もこんな風に!」
「うるさいですよ!静かにしてください!」
「んぎゃっ!!!?」
テンションの上がった大男の頭に回転し飛んできた金属のトレイが当たる
カララランと地面に地面を跳ねるトレイを拾う大男が頭をさすりながら飛んできたであろう方向を振り向く。
そこにはオレンジ色の受付嬢の制服をつけた少女が腕を組みながら大男を睨んでいた。
「アラルドさん!?ギルドでは他の利用者様や冒険者様に迷惑がかかるから大声で叫ばないで下さいって、何で何度言っても分からないんですか!!!?」
ぷんぷんという音が聞こえてきそうな表情で怒っている少女は
大男に指差して叱りつける。
どうやらこの流れは恒例のようだ
ギルド内は「まぁた、あのカエル野郎か」と再びそれぞれ日常の喧騒に包まれていった。
カエル野郎と呼ばれた大男、アラルドは後頭部に手を当てながら
苦笑いのまま、反省したかのように顔の前に両手を合わせて
受付嬢に謝り始める
「いやぁ!ごめんね!ついついこれを読んでたら熱くなっちゃってさぁ〜。」
「はぁ〜…アラルドさんが守護者に関して並々ならない熱意持っているのはわかってますけどね…。何回、このやりとりやらせるつもりなんですか…も〜…」
「ほんとごめん!なるべく叫ばないよう気をつけるよ。」
「もう次はないですよ!いいですね!?」
「はい…」
スタスタと頬膨らませて受付嬢が去っていく
その背中を眺めながら申し訳なさそうに頭を下げるアラルドは
気を取り直したように本を腰の鞄に詰めて一息つく。
そして座席に掛けてあった黒色の盾を手に取ると両腕に装備した
。
「さて!今日も英雄目指しますか!」
これはカエル野郎こと、アラルド・シームンの物語を記す物である。