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夏の火  作者: 水辺ほとり
3/6

気がかり

画家をアトリエまで送った後、待たせていたタクシーにそのまま乗り込んで家まで乗り付けた。

手提げから食材を出し、今日使う分と明日以降の分に分けていく。色とりどりの夏野菜が早く食べて、とつやつや主張している。最後に牛乳瓶を取り出すと、瓶にくっついて丸まったクリアファイルがぺろりと剥がれ落ちた。結局、押し問答の末にクリアファイルに挟んで鯨の絵を持たされた。多少丸まってしまっても、伸ばして額縁に入れればいいと言っていた。落ちた絵を拾って眺める。そこまで大きくないのに、水中の揺らぎがここまで伝わってくる、細密な絵だった。

こんな細かい絵を描くのに、どれだけエネルギーがいるのだろう。ピアノですら、譜面にのめり込み、イメージを拾い、指先から音を編み出すのはとても疲れる。何もないところから、自分のイメージをここまで細密に書き込むことに使う力は、どれほどだろうか。

体、細かったな、と抱き起こした感触を思い出した。声もたおやかで女のようだった。それでも、私の手を握る力は強かった。


夫が帰ってきたときのための食事を作る間も、絵が、画家のことが、頭を離れなかった。あの弱々しい体のどこから、こんなにも強い作品が沸き立ってくるのだろうか。

料理はどうせ数日分まとめて作るのだから、少しくらい画家に分けても変わらないだろう。今度、絵のお礼がてら、様子を見にいこうと決めた。

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