3 幼馴染との関係
西園寺優馬視点
今日は田中の家で友達何人かと飲んでいる。
「むぅ」
「優馬どうしたの?」
田中が俺の頭に手を乗せて聞いてきたのをべしっと払い落としながら聞いてもらう。
「勝也が旅行から帰ってきてから何か怒っているんだけど理由がわかんない」
鈴木が肩を組んできて、
「西園寺が何かしたんじゃない?」と言ってくるのでこちらも肩から手を払い落とす。
「まったく思い当たらない」
「今日は朽木って来ないんだね」
俺は嫌そうな顔して答える勝也の顔を思い出しながら返答した。
「誘ったんだけど用があるって断られた」
俺はついつい、はーっと、ため息をついてしまう。
「なんか勝也って最近一緒に歩いていても心ここに在らずって感じでさ」
鈴木がちょっと考えながら、
「好きな人が出来たとかじゃないの? 朽木ってモテるよね、話すと残念な感じになるけど」と言い出す。
確かに勝也は見た目はカッコイイのだけど表情がないというか、俺と話す時もいつも無表情なのだ。
「勝也ってすごい無表情だよね、もっと感情出したら良いのに」
「え? 朽木ってすごい表情変わるよね?」
「ああ、面白いくてついつい構いすぎて怒られる」
「田中はやり過ぎだよ。あれじゃあ嫌われちゃうよ」
皆んなが言っている事が良くわからない。
「俺の知っている勝也と皆んなが言っている勝也って違う人?」
「はは、何それ」
皆んなは無表情とか無いよねとか言っているけど、俺の知らない勝也を皆んなが知ってるのが何か面白くなくて、そのままぐだぐだと飲んで家に帰ってすぐに寝てしまった。
「あっ、勝也! おはよう」
俺と勝也の家は少し離れているけれど、近所なので朝は一緒に学校へ向かう。
勝也がこちらをちらりと見て「おはよう」と言って、すぐに遠くの方を見ている。
「なにか怒っている?」
「えっ? 怒ってはいないよ」
ちょっとツンツンしている感じだけど怒ってはいないようなので学校に向かいながら今度の休みについて相談しようと思った。
「次の休みってまた探しに行くんだろう? どうする?」
「え? ああ、行くけど今度は一人で行くよ」
やっぱり怒っているのだろうか。断られてしまった。
仕方が無いので「わかった」と答えて、田中や鈴木との旅行の計画を進めていた。
明後日から休みとなった時に勝也が急に前世の奥さん探しに俺にも一緒に来て欲しいと言い出した。
「今回は一人で行くって言ってたよね?」
「……そのつもりだったけど」
「俺も田中たちの旅行に参加するって事で、もう予約もしちゃったし今更変えられないよ」
「ごめん、だけど一緒に行って欲しい」
「一人で行くんじゃなかったの?」
「優馬が他の人逹と泊まりで遊びに行くとか嫌で……」
「何それ。そんな理由? 意味わかんない」
次なら一緒に行けるからと言ったのだけど、勝也がものすごく落ち込んでいる姿を見てしょうがないなと思ってしまった。
「わかったよ、一緒に行くから」
「……ごめん。ありがとう」
田中に悪いけど今回は一緒に旅行に行けないと断ったらあっさりと「他の人誘うから全然平気」と言われてしまって、それはそれでちょっと寂しい。
「俺だって皆んなと一緒に遊びにいくの楽しみにしてたんだよ?」
「はは、まあこうなるかなって思ってたし」
「そんな気配あった?」
「そこは気にしなくて良いから。勝也と遊んできなよ」
にっこりと笑ってる田中は本当に良いやつだ。
まあ、次の休みは一緒に遊びに行こうねと田中と約束して今回は勝也と一緒に行くことにした。