11 幼馴染との距離感
閑話
朽木勝也視点
せっかく優馬と楽しくお昼を食べていたのに邪魔が入って残念だ。まあ、白身の魚って身が柔らかくて食べにくくて、どうしようかと困っていたから交換してくれたのは良かった。
あの喫茶店に優馬と一緒に行きたいのだけど、昨日は誘って断られてしまったので、今日はどうしようか迷ってしまう。さっきお昼を食べながら前世の嫁の捜索はしばらくは辞めようと話しちゃったので、一緒に遊びに行ける理由をまた作らないと。
お昼は食べ終わっているはずなのに優馬が来ないので探していると販売機のところで鈴木がコーヒーを飲んでいた。
「優馬、見なかった?」
「お昼は入れ違いだったから分からないな。でもなんでいつも探してるの? 普通に連絡すれば良いのに」
「あー、なんか友達と仲良く話している時に他の人からメッセージとか届くと気になるじゃん?」
優馬が友達と話してるところに邪魔したくないなって考えてしまうのであんまり連絡はしない。
「そんなの気にしてる人居ないって。そういえば西園寺が他の人と話してる時って朽木は側に寄らないね」
「優馬の邪魔したくないし」
「でも、俺と田中が西園寺の側にいると必ず寄ってくるよね」
「それは、二人が危なそうに見えるから」
田中に最初に会った時は絶対にホストだと思ったんだ。格好は普通だけど、顔がホストっぽい。
ゲームの中での田中はイケメンなのは変わりがないけれど、今みたいな感じではなくて、眼鏡とか掛けてて優等生っぽい感じだったはず。だからゲーム攻略者キャラって全く気がつかなかったんだよね。
「危ないとかひどいな。田中はともかく俺はそこまでじゃないよね?」
「うん、鈴木単体なら気にならないけど、颯斗と一緒だとホスト風味が増すから」
「ははは、確かにね。そういえば田中の事、名前呼びしてるの?」
「なんか、たまに名前で呼ぶと、ご飯おごってくれるとか言うんだけどさ」
「このあいだもやってたね。というか、プライドと天秤にかけてご飯が勝つんだ」
鈴木が呆れたような顔で見てくるが気にしない。
「恥ずかしくてなかなか呼べないから、普段からたまに練習してる」
「ああ、こないだのもやばかったね」
真っ赤な顔で上目遣いで名前呼ぶとか俺にもご褒美だったとか、なんか鈴木がキモチワルイ事を言い出してるので逃げ出して優馬を探していたら田中と一緒にいた。
田中も顔は良いので委員長キャラだとわかってからは、ゲームキャラとの共通点を探してついつい顔をじっと見てしまうけど、いろいろうるさくてウザいので基本は避けているし、側に寄りたくないのに今も優馬となんか楽しそうに話している。本当に邪魔だ。
優馬が田中と一緒に居るので、スマホを取り出して優馬にこっちに来てくれるようにメッセージを送って移動したら、なぜか田中が付いてきてしまったので作戦は失敗に終わった。




