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9.死後及び生前に於ける将来設計 -説明編そのに-

今回も、説明文かなり大目です。

ご了承ください。

一通りの説明を受けた郁也は悩んでいた。


新たな世界への転生…資料を読み、改めて話を一から聞いても、「はいじゃあこういう世界で、こう言う能力を使いたいです!」なんていう明確な答えが出る訳がなかった。


その前に、一つ浮かんだ疑問を、郁也はユートに投げかけた。


「あの、異世界転生って話なんですけど、どうして同じ世界への転生はダメなんですか?」


「あー…そこんとこなんだがな、実はダメって訳じゃねえんだ。ただ多分、郁也君の思ってるような結果は得られんと思う。」


異世界にせよ同世界にせよ、転生をするにはそれ相応の時間が必要である。


異世界人の魂を世界に介入させる際、先に説明した通り、「元々生まれる予定だった運命」を生成することから始まる。


その処理は、一つの次元の運命をその段階から捻じ曲げる行為であり、それによって生じる運命の「歪み」を最小限に抑える必要があるのだ。


歪みの大小は様々だが、基本的には「その人物が死亡した瞬間から遠くなるほど」小さくなる。


これは異世界への転生に対しても同様となっている。

時間という大きな軸は、どの世界に対しても平等に流れている為だ。


そうして、「影響範囲が極小のものとなる期間」は年数にしておよそ600年


知り合いも、家族もいない。ただ前世の未来であるというだけの世界。


そんな世界、異世界と何が違うのだろうか。


説明しているユートと、説明を受けた郁也は同時にそんなことを考えていた。


ちなみに、無理やり同時期や過去に転生させることも出来るには出来るのだが、それに使われるポイントはかなり高額に設定してある。


そして其れを払いきれるほど、郁也には「手持ち」がなかった。


「…確かに、そうですね。」


消え入るような声で、郁也はそう答えた。


もしかすれば、前世の友と笑い合う日が戻って来るかもしれない。

もしかすれば、両親との生活をまた始められるかもしれない。


そんな縋りたくなる希望は、この瞬間に崩れ去ってしまった。


そして、その説明を聞いて、改めて「自分の死」と「戻れない世界」を実感し、


郁也は、声を潜めながら泣いた。


「あぁ!ユートさんが郁也さんを泣かせちゃいましたぁ!」


「ゆーとぉーーーーーーだめだぞおおおいじめちゃあああああああゲエエエエップ」


「いいから泣かせとけ!あとアグナ!お前仕事中ってこと忘れてんだろ!酒禁止にすんぞ!

いいから、おつまみもって向こう行ってなさい二人とも。

…頭じゃわかってても、受け止めきれねえもんがあんだよ。」


そう言いながら、ユートは「自分が現世から居なくなること」をはっきりと自覚した瞬間、とてつもない不安と寂しさがやってきたのを思い出していた。


しかしユートは三級神なので、因果干渉を行いながら影響を修正しつつ現世に帰還するのはそんなに難しくなかったりする。


そこに気づいてからは、「もし許可が出るなら、実家に顔見せてもいいかな」ぐらいな感じで、心に余裕を持って過ごすことが出来ている。


心に保険を持っている人間は強いのだ。


まあ、俺も異世界転生する身じゃこうなってたかもな。なんてことを思いながら、ユートは彼を静かに見守った。



ーーーーーーーーーーーー


「…すみません、みっともないところをお見せして。」


「いや、俺もここに来た時はそんな感じだったしな。当たり前の反応だと思う。

むしろよくここまで我慢出来たよ。強い奴だな。」


落ち着いた郁也を見て、ユートはぱん、と両手を鳴らし、続けた。


「よしじゃあ、このつまみでも食いながら、俺と一緒に何がしたいか考えようぜ!

何かしてりゃ、不安なこと考えなくて済むだろ!」


「…はい!よろしくお願いします!」


まだ涙で濡れた目を拭って、郁也はそう答えた。


こうして、ユートによる「郁也のキャラメイク」が始まった。


「あーっとまず、転生先の世界で何がしたい?これだけはやってみたい!って思うもんとかあるか?」


ユートが尋ねると、郁也は


「魔法!魔法が使ってみたいです!火とか水とか手から出すやつ!」


かなり積極的に自分から意見を言ってくれるようになった。

泣いて吹っ切れたのか、それとも不安を忘れるようになのかはわからないが、持ち直した郁也を見て、ユートは少しだけ安堵した。


「オーケー、魔法な。 じゃあちょっと魔法が使える世界見繕うから待っててくれ。」


そういって、ユートは目の前にコンソールのようなものを展開した。


なんだかんだといって「ユーザーインターフェース」というものは馬鹿に出来ず、情報の引き出しを頭の中だけでやってもいいのだが、それだと転生者情報の提示等がしづらい。ということにメルとアグナを練習台に、異世界転生者への接客をしているときに気づいた。


そう思ったユートが自分の中の能力を使って作り上げたのが「異世界転生くんVer1.0」だ


転生者に「異世界の情報」「現在取得予定の能力を境遇・身体・特性に分けた情報」 「記憶定着する年齢」「現在の残りポイント」「異能による使用ポイント」などを表示してくれるツールだ。


さらにこのツールは、転生者が転生した先でも機能するようになっている。

転生後の機能は主にこの二つ。


・万能自動翻訳機能

・能力表示の直感化


が主な機能となっており、この二つに関しては、かなりの自信作だ。


そしてユートはもうひとつ「個人的に使ってほしい機能」を内包したのだが、それは又の機会に説明することとする。


まず万能自動翻訳機能 これはどの異世界でも「多言語の情報を即座に取得し、語調から感情の起伏を読み取り、リアルタイムに100%正確な語訳を生成する機能」と「発した言葉が相手に伝わる際、異世界言語として自動翻訳されて伝わる機能」の両方が備わっている。


言葉が伝わらず、右も左もわからない状況からの打開にはもってこいの機能だ。


ついでに「視野内にあった文字を自動翻訳し、下部に字幕を振る機能」もつけておいた。


「自分の書き文字」も、この機能によって修正され、異世界の文字に変換される。


次に、能力表示の直感化は、実際のところこちら都合8割、転生者へのわかりやすさが2割で導入した機能だ。


転生者の経験・鍛錬によって得た成長度を「レベル」として表し、さらに世界に応じた能力の指標を「パラメータ」という形で見ることが出来る。

そして特性的能力を「スキル」として表示し、合計三つの能力をいつでも見られるようにしたものだ。


三要素を合算して、自分が世界でどのぐらいの強さかを表す「評価値」も算出できる。


さらにこの機能で、他人の能力値ものぞき見ることが出来、某戦闘力計測機のような使い方も出来る。


なぜこの機能を実装したかというと、身体的能力にポイント割り振りをするときに非常にわかりづらいからである。


例えば、一言に「力を100倍にしてくれ!」といったところで、では基準となる力はいくつで、何ポイントをその人間に与えればいいのかを表現するのが難しいのだ。


その表現を、他人の平均的能力値を参考にし「転生先の世界は、この値が平均値となっており、この値までポイントを割り振れば、この程度の能力値になります。」と簡単に提示することが出来るようになった。


これが、「異世界転生くんVer1.0」のすべてである。


「―っと、魔法を使うなら、こんな世界はどうだ?」


と、ユートは目に留まった、ある世界を郁也に提示した。




仕事中に思いついた設定をポンポン流しながら休憩中とかに保存してるので、もしかするとそろそろ設定的綻びが生まれてくるかもしれません。

なんかあったら言ってね!頭が足りてれば修正します!

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