14.5.エピローグのウラ話
郁也回は前回で終わると言ったな
あれは嘘だ。
昼休みに携帯で書いて投稿したので、夜になったら編集するかも。
「…いっちゃいましたね。」
見送りについてきていたメルは、同じくついて来ていたアグナと共に酒場に戻った後、そんなことを呟いていた。
「…まあまたすぐ来るさ、あの能力じゃ、野垂れ死ぬのも難しいだろ。」
「すぐって…三級神のユートにとってはすぐでしょうけど、15年って私たちには、長いものですよ。」
アグナは、そんなことをユートに言ったが、ユートはこう返した。
「そう言う意味じゃねえよ。文字通りの意味で “すぐ来る“さ。死んでなきゃな。
大体アグナは俺をなんだと思ってんだ?体感時間なんてお前らと変わんねえぞ?
それに、神族のお前らも不老不死だろ。
ーおっ、来た来た。」
そんな事を言っている矢先、転移ゲートから人影が見えた。
「えっと、次の転生者さんですか?」
察しの悪いメルは、そんな事を言った。
「ちげーよ。まだ次のオファー来てねえのはメルも知ってんだろ。郁也が来たんだ。」
「「えぇー!!」」
二人が驚きの声を上げた。
ユートは、郁也が転生する直前に渡した名刺を、20歳の誕生日にゲートが開くように設定して渡した。
後は簡単な話で、”この力場とのゲート自体を、その20年後以降に設定してやった“のだ。
そうすれば、郁也は大人になってから、いつでも此処に来ることが出来る。
そして、ユートには直ぐに飲み仲間が増える。と言った寸法だ。
要するに、感動の別れみたいなノリだったのは、ユートの中では全部茶番で、あーこんな感じで送り出したのに俺のこと忘れて来なかったら悲しいなーぐらいにしか思ってなかったのである。
ユートがそんなことを正直に二人に告げると、「最低です!」と口を揃えて言われた。
このシステムを利用して、酒場をどんどん賑やかにしていくのが彼の目標でもあった。
「ほらそんなこと言ってねえで、あいつのこと迎えてやるぞ。あいつにとっちゃ感動の再会なんだから。」
忘れずに来てくれたことが嬉しかった。そんな気持ちを捻くれた言葉で隠しながら、ユートは、”オリンピック”を作っていた。
そして、少しすると、扉が開く音がした。
10分ぶりなユート達と、15年ぶりな郁也は目を合わせて微笑んだ。
初めて来た時の”あのノリ“をわざとらしく再現しながら。
「いらっしゃいませ。お席はこちらとなっております。」
テーブルに、“再会を意味するカクテル”を置きながら、ユートはそう言った。
郁也は、ユート達が「15年経って接客慣れした」と受け取っていたようだが、実はそうでもなく「たださっき来てた奴が出戻って来ただけで、迎えもクソもない空気だった」と知るのは、それからまた10分経ってのことであった。
そんなことを話しながら、郁也が「今日はもう帰ります」と切り出した時に、ユートはこう言った。
「そうだ、言い忘れてた。誕生日おめでとうな郁也くん。それと、この店気に入ってくれてんならちょくちょく来てくれんと嬉しいな。」
と、おみやと共にケーキを郁也の手元に転送しながら、ユートは言った。
「はは、寧ろ毎日来たいぐらいですよ。美味しい料理と、美味しいお酒をありがとうございます。
…また来ますね。」
そう言って、満足そうな顔で郁也は店を出て行った。
「…第一回のお仕事は、大成功!ってことでいいかな!メル!アグナ!お仕事1回目無事終わりました記念で、パーっとやるか!」
「「はい!」」
これからも頑張っていこう。とユートは思いながら、厨房につまみを作りに向かった。
今回でほんとに郁也くん回が終わりです。
次回の構想はある程度考えてるので、多分近いうちにあげられると思います。