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12.死後及び生前における将来設計-お試し編その2-

まさかの酒場ものでバトルパートその2です。

といってもあっさり味で、今回で終わらせます。

「行くぞ!」


開戦の合図をしたユートは、そのまま郁也に向かって跳んだ。


人間の数十倍の脚力を持ったユートと郁也にとって、間合いという概念は失われていると言ってもいい。


寧ろ二人は、「人智を超えた速度で動き回り、何処から襲ってくるかもわからない」ぶん、剣を使って戦っているはずなのに「離れて戦う方が対応時間を取られるので不利」という訳の分からない境地に達していた。


「まずはオーソドックスに後ろから、かな。」


すでに郁也の背中に剣を当てた状態で、ユートは言った。


「…なんかズルしてません?本当に同じ能力なんですか?」


「同じ能力だよ?その証拠に郁也君、()()()()()()()()()()だろう?」


「…確かに。」


今度は、郁也が()()()()そう答えた。


トレース能力。


これを持った能力者同士の戦いは、兎に角“速攻”を心がけなければならない。


一手前に行われた行動を即座に記憶され、模倣され、対策される。


それを繰り返し、両者はいずれ()()()()()()()()()()()となってしまう。


それを防ぐためには()()()()()()()()()()()()()()しかないのだ。


しかしユートはそれを行わず、ただ只管に、抵抗する郁也に対し「殺す直前の状況」を作り、その動きを見せ続けた。


ある程度の動きを行ったら、二人のレベルを上げ、同じことを繰り返した。


そうしたのには勿論理由があった。


特性と身体的能力を同時に発揮した「マクロ的動作」を行うには、ある程度の教練が必要となる。


しかしまだそんな事をするノウハウがユートにはないのだ。


そんな中、都合のいいことに郁也は、「トレース能力」なんて便利な特性を異能として選んだのだ。


ユートはそれを最大限に利用する事にした。


実を言えば、ユートは”ズル“をしている。


郁也の能力とプラスして、「再現者」と呼ばれる異能を使っている状態で、この戦いに臨んでいる。


この異能は、ユートが「超リアル○○ごっこ」をやっている際に発見したもので、「今まで見た創作物の登場人物が使う技や動きを、手持ちの異能で出来る限り再現することが出来る」という能力だ。


これを利用して、物語上の「強者」が行う動きをただひたすらに郁也と同じ能力値の範囲で再現し続けているのだ。


これにより郁也は、数々の必殺技や、自動回復能力などのパッシブスキルのようなものもトレース能力を使って再現できることになった。


実質、スキルを幾つも追加で持っているような状況にはなるが、彼の選んだ能力による恩恵のため、ラッキーの範囲であろう。


そうして、大体レベルが50を超え、郁也が()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ユートは郁也にこう問いかけた。


「・・・今の郁也くんは、多分下手なことじゃ死なない。数多くの防護パッシブスキルにもともとのフィジカル、おまけに自動回復ときたもんだ。一撃で死なない限り、絶対に死なない体、と言っていい。


じゃあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


そう言って、すべての防護魔法、パッシブスキルを切ったユートは、剣に()()()()()()()()()()


「簡単なことだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」


と言いながら、ユートは剣を振りぬく。


「・・・そんなことが可能なんですか?自分と同じ能力で?」


当然の疑問を、郁也は投げかける。


「出来るんだよ。ほら。」


そう言った瞬間、郁也の視界が()()た。


「結局使ってるリソースが一緒なら、そのリソースを偏らせればいい。

 400魔力のある奴がそのうちの200を使って回復してるなら、張れる防護は余りの200が限界だろ?

 そこを突いて、400の魔力と、190の筋力を使って 郁也くんを()()()()()()()()()んだよ。」


その台詞を最後まで聞いたと同時に、郁也は()()()()()()()()()、死んだ。


蘇生をかけて郁也を蘇らせた後、ユートはこう補足した。


「要するに、郁也君に言いたいのはな、能力を見るとき、総合値だけで判断すると、こういうことをされて死んじゃうかもしれないから、気をつけましょうね。ってことだ。」


「…成程、身をもって体感しました。」


死のイメージを文字通り()()()()()()()()郁也は、少し震えながらこう答えた。


「悪いな、死んだばっかだってのに、また殺しちまって。」


「いえ、ユートさんが自分のことを思ってこんなことをしたのは、わかりましたから。」


申し訳なさを感じていたユートだが、あることに気づいた。


「そういや、いつのまにか()()()()してくれてんな。」


「すいません、なんか自然とこうなっちゃって。」


と、郁也が申し訳なさそうに返す。


「いや、そっちのが()()()()()()が出て、いい感じ。」


頭をぽりぽりと掻きながら、ユートはそう返した。


その後、他愛のない会話をしながら、二人は酒場に戻って行った。


苦手な戦闘パートが終わりました。

次回でとりあえず郁也くんパートは最後になると思います。

皆様、お付き合いください。

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