プロローグ/独白からはじまる記憶喪失の彼の物語
初投稿となります。
赤い紅い竜のことについて頭の悪い俺が覚えているのは、とにかく大きかったとか毛が赤かったとかとんでもなく強かっただとか、曖昧模糊で表面的なことでしかなくて、その時俺が何を見てどんなことを感じていてそれをどう分析したかについては、この時点では残念ながら詳細に語ることができなかった。
あの怪物の恐ろしさも美しさも、どれ一つとって俺には覚えのないことだった。
―正しくは、忘れていた、なのだろう。
ともあれこの時点で―しがない図書館司書見習いとして働いていた俺が竜について言えることは、とても限定的で浅はかな―それこそ図書館で調べれば出てくるような簡単な答えでしかなかったのだが、俺はのちのちあの紅い化け物について、いや、それ以上に多くのことを深く深く知ることになる。
それはまたあとの話。
さて、この時点で俺は竜の存在を漠然としか認識できていなかったが、それについて、真っ赤なあの化け物について、それだけでなくこの世の動物も、植物も、それと魔法も、その全容を真理を知りたいと、ずっと願い続けてきた。
そして、ある時、じっさいその機会を得た。
ひとりの森精族の青年が、何の力もない俺に手を差し伸べてくれた、あの日。
この物語は、どうしようもなく知りたがりの司書見習いが、退屈な図書館を出るところからはじまる。
行き着く先で、少年は何を見た。
短かっ




