第1話 覚悟決めて死んだのになんで転生しにゃならん?
ネーミングセンスは気にしちゃ負け。
「小鳥遊填晞様ですね?」
私の目の前にいる金髪の、タフな格好をしたその人は私の名前を言った。
「あぁ…はい…」
緊張してしまって上手く話せなかった。
…何故私はここに居るのだろうか?
目の前にいる人をジッと見つめながら
私は覚えている限りの記憶を思い出していた。
* * * * * * * * * * * * * * * * *
嫌だ。こんな現実消えてしまえばいいのになぁ。
そんな事を考えながら私、小鳥遊 填晞はよくあるマンションの屋上に居た。
「意外に寒いんだな…」
まぁ当然である。まだ2月半ばなんだし。
こんな事なら死んでしまえばいいんだよ。
悪魔の囁きの如くその声は脳に語りかけてくる。
ーそんなの今からするとこなのに。
もう悔いなんてない。あいつらに復讐したのだから
もういいや。
意を決してフェンスを超え、景色を見回してみる。
空は私の死を歓迎するかのように快晴
である。
ーさようなら大っ嫌いな私。
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ーそうだ。死んだんだ私。だとしたら此処は天界か何かだろうか?
別に天界行きを望んではいないのだが…
「残念ながら貴方は死にました。」
…死ぬ。この言葉に今更重みを感じた。
「…はい。」
何とか、頑張って言葉を絞り出した。
「よって貴方には異世界へ行ってもらいます。」
「はい…は?」
おい、この人今なんて言ったんだ?
「驚くのも無理はないでしょう。
でも天界の法律なので仕方ないんですよね」
微笑しながらその人は言った。
ーは?待て待て待て。
少し慌ててしまったがなんとか冷静になり質問を投げつける。
「えっと…その法律ってどういう内容か教えてもらえますか?」
「いいですよ。『天界法律第74条、死因が自殺でここに来た人はは異世界に送る。』…という内容です。」
「…はぁ。」
なんかいまいち状況が読み込めない。
…でも待てよ?
「そんなの自殺する人なんか…言っちゃ駄目ですけどかなり居るじゃないですか?」
「…実はここに送られてくる人って未練がある人、日本人であること、という条件付きなので…」
ー嘘だろ?
私に未練なんて無いはずなのに。
「あの…大変申し上げにくいのですが他の転送者もいるので早く転生特典を選んでくれませんか…?」
ーでた。転生特典。
ベターな展開である。少し納得しずらいが早くいけと言われているんだし手っ取り早く選ぼう…
『聖剣エクスカリバー』、『魔剣グラム』、『魔力増幅』…とまぁこんな感じで武器,特殊能力が手に入るらしい。いまいち魅力を感じないなぁ…なんかこう…違う。
ペラッとめくってみると、『死鎌デストロイト』という文字が見える。
その瞬間パズルのピースがはまるかのように私は確信した。
そう、これだ。
「この『死鎌デストロイト』にします」
「かしこまりました。異世界に行ったら特典が近くに置いてあるのでご心配なく。」
「ちなみに言い忘れていましたが魔王を倒すと現実世界に戻れますので!」
…私としては別に戻らなくていいのだが。まぁ未練とやらを知りたいんで
仕方なく納得する。
「…では転送しますね。」
足元に巨大な魔法陣が現れる。
もう後戻りなんて出来ない…こうなったら精一杯向こうで生きるしかないのだ。
ーそういえばあの女の人の名前なんだろう。
大体こういう時って名乗るのにあの人だけ
名乗らなかったな…
そんな事を考えながら私は光に包まれた。
初めての投稿です林檎 梨花です。
ファンタジー系だから必殺技名考えないとなぁと思いながら日々悩んでいます。