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食事処の付加魔法師  作者: シンカワ ジュン
幕間 男たちの手紙
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幕間五 手紙〜ロベルト〜

 エレンへ


 突然の手紙ですまない。最近はゆっくり会うこともできないな。元気にしているか? 俺は変わらずに過ごしている。


 俺は今、ディアーノでとある仕事をしている。その仕事というのは、まあ簡単に言えばディアーノ王国の復興作業みたいなものだ。

 はじめはディアーノ国民が主だって復興作業に取り組んでいたんだが、最近では新たな商売の気配を察知したルクレストやダグラス、ファーティマからも人が流入してずいぶんと賑やかになってきている。もちろん、まだまだ各地に邪竜による被害の爪痕は残っているが、悲壮な空気はだいぶ無くなってきたように思う。


 俺のこの容姿を見て気付いているとは思うが、俺の故郷はディアーノなんだ。だから、国が以前の様子を取り戻していく姿を見ていると、やはり嬉しくてな。ついついディアーノに長居したくなってしまうんだ。

 だから、というわけではないんだが、本格的な冬になる前に、エレンに一度ディアーノに来てもらいたいと思っている。俺の故郷に招待したいという気持ちももちろんあるんだが、他にも会ってもらいたい人もいるし、見てもらいたい場所もある。そして何より、俺自身の話を聞いてもらいたいんだ。

 ディアーノに来ることが難しいのなら、そう返事してくれて構わない。だが、もし来てくれるというのなら、少し長めに休みを取ってもらえないだろうか。もちろん、無理は言わない。


 そういえば、先日エレンがくれたお守り、大事にしているぞ。ただ、また何かとんでもない付加魔法(エンチャント)を掛けただろう? 魔物(モンスター)との戦闘中に急に光り出して何事かと思ったら、戦っていたはずの魔物(モンスター)がいつの間にか消えたぞ? 同行してた商人が目を丸くして動揺を隠せずにオロオロするし、今のはなんなのか説明してくれとせがまれるし……まったく、それを誤魔化すのも大変だったんだぞ。

 エレン、頼むから付加魔法(エンチャント)を掛ける時は、どんな内容のものを付加したのか教えてくれ。お前は無自覚にとんでもない付加魔法(エンチャント)を掛けるからな。


 一方的に手紙を送って悪いと思っている。エレンも俺に文句の一つや二つ……いや、たくさんあるだろう。それらも全部返事に書いてくれ。そして返事はディアーノの入国管理局宛に送ってくれ。それで分かるように管理局には話を付けている。


 ああ、もうすぐ次の商隊が出発するみたいだ。俺も仕事に戻らないといけない。

 こんな短い手紙しか書けなくて悪い。それではな。


 エレン、愛しているぞ。


 ロベルト

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