幕間四 手紙〜フォウ〜
ミレーユ・キャティシエル様
照りつける夏の日差しににも負けぬ輝きを放つあなたを想い、またペンを取りました。
先日は私の食事会の誘いを受けてくださり、本当にありがとうございました。その際、私が贈った髪飾りを身に付けてくださっていましたよね。それを見た時は本当に嬉しくて、今まで感じたことのない気持ちが溢れてきました。幸福で、楽しくて。私もこんな気持ちを抱くことができるのだと、驚くことばかりです。これもあなたと出会ったからなのですよね。
あなたと出会ってから、私の内面が大きく変わったように思います。それほどまでに、あなたは私の心を揺り動かすのです。
不機嫌を露わにする。訝しむように眉根を寄せる。怒ったように目を釣り上げる。美しいものを見て微笑む。可愛らしいものを手にとって明るい笑みを浮かべる。甘いショコラを摘んでとろけるような笑みを浮かべる。
ころころと移り変わるあなたの表情を見るたびに、私の心臓は心地良いリズムを刻むのです。人のことを想うというのは、こんなにも幸せなことなのですね。
先日の食事会からそれほど時間は経っていませんが、またあなたをお連れしたい場所があります。それは、私の先祖が見初めた精霊と出会ったという泉です。その泉はゲイル領内にあるのですが、今の季節になると、とても美しい花が泉を彩るのです。他にも、泉の周りには市場に出回っているものよりもずっと美味しい野苺がなっています。貴族としては少々品がないかもしれませんが、幼い頃はよくそれを摘んではその場で食べたりしていました。
その泉は手入れのされた森の中にありますので、小さい馬車なら問題なく通れます。せっかくですから、泉のそばに場所を設けて、お茶などいかがでしょう? 木陰で今の季節の日差しも和らぎ涼しく過ごせることと思います。
侯爵令嬢であるあなたには、あまり魅力的とは思えない誘いかもしれませんが、お返事をいただければ幸いです。
今回も一つ贈り物をさせていただきました。最近ダグラスで人気のあるアクセサリー職人、ウィルフレッド氏作のネックレスです。
あなたへの贈り物を何にしようか考えている時に、私の新しい友人に彼を紹介してもらったのですが、いやはや、噂以上の腕でした。デザインの要望を伝えると、私の想像以上の素晴らしい品ができあがっているのですから。あなたにもきっと気に入っていただけると思います。
それでは、今回はこの辺りで失礼させていただきます。
フォウ・ワーネ・ゲイル




