ノラの弟子
「あん?だれだ?……ってグラマス!?」
「そうじゃが、どうした?」
「い、いや 何でも無いです…」
「あの…ギルマス、その方ってグランドマスターですか?」
「ん…あぁ レーナか、グラマスであってるぞ!
レンカ、この人はグランドマスターであるノラ だ」
「なんじゃ? エル坊、呼び捨てにして」
「エル坊?」
「ん?見たことない顔じゃの
エル坊のこと知らんのか?目の前におる筋肉達磨じゃよ
小さい頃は可愛らしいおのこだったのに いまや…」
「ノラ…さん、昔の話止めて貰えませんか?
レンカ、オレの名前言ってなかったな。オレは エルゴ だ
名前で呼ぶやつは誰もいないがな」
「止める訳なかろう、今更変えぬぞ
それはそうと、お主 レンカと言うのかの?」
「はい、ギルド職員と宿屋をやってます」
見た目が幼女で口調がお年寄りだと違和感が半端無いな
「ふむ、妾はノラじゃ
ニサラ王国のグランドマスターをやっておる」
「ノラさん、今日は何しに来たのですか?」
「ん?それは勿論、エル坊にグラマスを譲ろうとな」
「ハァ!?
オレ、まだAAランクですよ!それにグラマスなんてやりたくないです」
「うーむ。今日も駄目か
いつになったら良いのじゃ」
「(王族相手にめんどくさいなんて言えないな……)」
「なんじゃ聞こえとるぞ
断る理由がめんどくさいか…」
少し落ち込んで下を向いたノラは床を見て何か驚いている
「1つ気になったのじゃが、ギルドの中はこんなに綺麗じゃったか?」
「あぁ、それはレンカが「ギルマス!それ以上は」あっ…」
「なんじゃ……ふむ
生活魔法持ちか それに魔力も高い
なるほどの」
「えっなんでグラマスさん分かったのですか?」
「ノラじゃ」
「ノラさん?」
「ノラと呼べ」
「えっと……」
「ノラ」
「……」
「ノラ!」
「……ノラ」
「ふむ、良いじゃろう
ほれ見て良いぞ」
「何を?」
「鑑定じゃ。持っとるじゃろ
使うが良い」
「あっはい」
─────────
ノラ
物理力 90
魔力 120
耐久性 90
運 20
・魔法
空間魔法
・スキル
鑑定
・称号
・職業
グラマス
─────────
?これ見よがしに空欄があるような…
「どうじゃ、必要なのは見れたかの?」
「はい
称号のところの不自然な空白が気になるのですが…」
「む… 気にせんで良いぞ」
「…はい」
「それよりお主、妾でも見えない所があるのじゃが何故じゃ?」
「見えない所ですか?何故かなんて分からないですよ」
「ふむ 意図的では無さそうじゃな」
「それはそうとしてレンカよ
お主、妾の弟子になる気は無いかの?」
「弟子?」
「グラマス!?レンカを弟子にって本気ですか?
今まで誰もとって来なかった貴女が何故…」
「…うむ、その なんじゃ……レンカに興味がわいたからじゃよ
レンカ どうなのじゃ?」
「確認ですが、ノラの弟子ってことは
ノラにずっと付き添うってこと?」
「…そうじゃ! と言ったらどうなるのじゃ?」
「それは勿論、お断りします」
「…即答じゃの…一応、理由を聞きたいのぅ」
「俺は宿屋をメインでサブにギルド職員もする予定なのであまり時間をとることは出来ないです」
「むむ そうか まぁ、予想出来た言葉じゃの
時々呼ぶって形はどうかの?それなら時間は拘束されないじゃろう?」
「まぁ それなら…」
「決まりじゃ!
早速、付いてきて欲しいところがあるでの
そんなに時間はかからんじゃろうから大丈夫かの?」
「はい」
「良し!では行くぞ」
「えっと……何処に?」
「それは見てのお楽しみじゃ♪」
「……」
「そんな目で見ないで欲しいのじゃ。
さっさと行くぞ」
~王城前~
見てのお楽しみとは言っていたが城って…お楽しみどころかびっくりし過ぎて楽しむなんて出来ないぞ
「あの…ノラ?ここって…」
「妾が住んでるところじゃの」
「住んでる?王城に? ということは王族?」
「王族ではないから安心せい」
なんか胡散臭いな…
「…普通って王城に直ぐに入れるものなのか?」
「無理なのじゃ 事前に申請しないと駄目じゃ」
「…」
「心配せんでも大丈夫じゃよ?
妾はここに住んでるから顔パスなのじゃ
ついでにグラマスじゃからお主の保証人も出来るのじゃ
そんなことよりさっさと行くのじゃ」
~城門(内門)~
そんなこんなで王城前の城門に来た
城門前には騎士が三人と詰め所がある
「ノラ様、お帰りなさいませ
いつもより早いですね」
「うむ、こやつと一緒に妾の部屋で用事があっての」
「失礼ですがどなたです?」
「妾の弟子じゃ
妾としてもグラマスとしてもこやつの事は保証する」
「弟子ですか!?」
「そんなに驚くことかの?
手続きしてくれるかの?」
「結構、重要な事のはずですが…
そなた、ギルドカードは持っているか?」
「あっはい」
「少し、ギルドカードを預かっても宜しいか?」
「えっと……」
「レンカよ、大丈夫じゃ
手続きして貰うだけじゃからの」
「はぁ…」
「ふむ、レンカ殿か
ノラ様 了解しました ノラ様とレンカ殿がお帰りになるまでには仕上げておきます
それと、レンカ殿がノラ様の弟子になった事を主に教えて大丈夫でしょうか?」
「うむ?…別に隠してはいないからの
好きにせい」
「ありがとうございます」
「うむ
レンカよギルドカードは其奴に預けて置いて大丈夫じゃ
早よう行くぞ」
ノラはそう言うと、城門から王城へと向かい始めた
「ノラ、さっき言ってた手続きって何?」
「ん?言ってなかったかの?」
「言ってない」
「そうじゃったか
手続きとはの、ギルドカードにパスを書き込むのじゃ」
「パス?」
「うむ。次からは妾がいなくともギルドカードを騎士に見せれば直ぐに入れるようになるのじゃ」
「えっ!?」
「何を驚いておる?
妾の弟子じゃぞ、妾が顔パスなのじゃから弟子はカードを見せるだけで良いとは当たり前ぞ?」
「そこも驚いたけど、直ぐにって…」
「そこか 直ぐには勿論、今日のような事じゃの」
「平民に与えて良いものじゃない気がする」
「何を言っておる?お主はノラの弟子じゃ。平民でなくての貴族として扱われるぞ」
「貴族!?」
「そうじゃ。公爵か侯爵くらいになるかのう」
「それってどのくらい?」
「なんじゃ知らないのかの?
王=王妃>王太子>その他王族=大公>公爵>侯爵=辺境伯>伯爵>子爵>男爵=騎士爵
くらいかの」
「公爵か侯爵って結構、上じゃん」
「まぁ、そうなるかの
じゃが安心せい、別に兵を率いて戦に ってことはないからの
お主への命令権は妾以外ないからの
この国が周辺国家を攻めないということもあるがの」
「ノラって王より上?」
「急になんじゃ……そんなことは気にするでないの
それより王の事を『王』とは言わない方がよいぞ?
妾以外が言うと殺されるかもしれないからの
言うときは『陛下』と言った方が良いの」
「マジか。気をつけとこ」
「まぁ、お主がミスっても妾がおる限り捕らえられることはないのう」