第二次風呂工事と従業員
★ノラ視点★
風呂に入ってからの記憶がないようなのじゃ…なにやら恥ずかしい事を喋っていたような気がするのじゃが……まぁレンカの様子を見れば妾が狙っていたことは出来ていないので良かった?のじゃろうか
その後、休憩所でレンカからコーヒー牛乳なるものを渡されて飲むポーズをとって飲んでみたんじゃ
「どうだ?おいしいか?」
「なんという旨さじゃ!これはなんなのじゃ?珈琲ではないのかの?」
「珈琲に牛のミルクを入れただけだよ」
「なんと!そのような発想があったのかの!?レンカ、これは売れるのじゃ!何処かで売らないのかの?」
「ん?そうだな…じゃあ、宿で出すか」
「そういえば、宿するって言っておったの。どうじゃ?宿は開けそうかの?」
「まだまだかな。まぁ宿用の風呂場が出来ればあとは人雇えば開けるな」
「そうなのかの。では妾が宿で働く従業員を紹介しよう」
「え?大丈夫?」
「妾を誰じゃと思っておる!」
「えっと…」
「まぁ良いのじゃ。それで雇うのは男か女か?」
「女の方で」
「そうじゃろうと思ったのじゃ
レンカもやはり男じゃのぅ」
「いや、そういう意味で選んだんじゃ…」
「ホントにかの?絶対ないと言えるのかの?」
「……言えません」
「そうじゃろそうじゃろ。では妾に任せよ 良いおなごを連れてくるのでの」
「あぁ。頼んだ」
レンカにそう言ったからには良いおなごを連れてこないとの…誰が良いのじゃろうか 妾に並んで大丈夫な者ではならんのじゃが…城で探すとするかの 今代のに言えば何人でも雇えそうだの とりあえず12人くらい雇えばレンカが言っておった輪番制は可能であろうかの
そうと決まれば早速、行くのじゃ
★ノラ視点★
昨日の夜、レンカに従業員を紹介すると言ったので今は人材を探すべく王城に来ておる
城であれば素養の良いやつは多いからじゃ
まずは一番、多く出せるであろう男の元へ向かうとしようかの
「今代よ、娘をくれんかの?」
「ええ…と何をおっしゃっているのですか?エレノーラ様は女性ですよね?」
「そうじゃが。妾が女じゃとマズいのか?」
「いえいえ!そういうつもりではありません。ですがお相手は男性の方の方が……」
「ん?そういうことかの!大丈夫じゃ!そっちはしっかり男がおる!
そうでは無くての、妾が今 住んでいるところで働かせようと思っての」
「そういうことでしたか。なるほど
では10人程、出せますよ……ってちょっと待って下さい!今、男が居て同棲しているのですか!?」
「…その話は、また今度でなのじゃ!それより、礼を言うぞ
して、どいつじゃ?」
「絶対ですよ… 次女から順番に。」
「分かった。ではの」
危なかったの…もう少しでレンカのことを話してしまうところじゃった
そうなれば、めんどくさいことになるのじゃ……
色々、失態はあったが10人確保はありがたいのじゃ…10人には明日迎えに行くと言っておいたので今日は最低でも後、2人探さないとの
次に訪れた場所は暑苦しい男のところじゃ
じゃが人材の有力候補としては申し分ないのでの、暑苦しいのを我慢しようかの
「入るぞ ハントはいるかの?」
「何でしょうか!エレノーラ様!」
「う、うむ。そちの娘を少しばかり貸しては貰えんかの?」
「なんと!いかほどで!」
「2人、欲しいかの」
「分かりもうした!では2人送りますぞ!」
「おお!ありがたいのじゃ。では明日迎えに行くのでの、応接間に連れてくれんかの」
「承知した!ではこれにて!失礼する!!」
終わったの 2人で終わったのは少し予想外じゃがまぁ良いじゃろ
では帰るとしようかの
時は少し遡る
ノラが意気揚々と従業員を確保すると言っていたので俺は宿を完成させないといけない。幸い、冒険者ギルドに行く前のときにキテールで必要なものを注文していたので今日、届く予定だ
今日することは、その注文の品を受け取ること。それと宿の浴場を完成させることだ というよりこっちの方が大切なことだろう
材料が足りていない…というか石材が何もないのでどこかで取ってこなくてはならない 今回は宿の大浴場2つ(男、女 各1つ)と家族風呂4つ程。それに加えて自宅の半露天風呂の材料が必要だ
いつものように自分で調達する
前と違い今回は石材を取りに行くので魔の森とは丁度、反対方向にある冒険者の初心者がまず冒険するならここ!っていう感じの弱い魔物しか出ない岩だらけのゴツゴツした山に向かう
何事もなく……あったのは走って初心者プレイヤーを追い抜いて驚かせたくらいで無事に到着した
いくら出現する魔物が弱いのしか居ないからといって、さすがに初心者が足場の悪いところに近づくはずもなく周りには誰もいない
当初は山に登って道から逸れたところで石材を得ようとしていたが誰もいないという好都合な状況なので、もうここで石材を得ることにした
周りを見ると丁度良いくらいの崖があったのでそこから石材を取り出した。そして、その石材を手頃なサイズにカットする。その作業を繰り返していって気づいたときには目の前にあったはずの崖が消えていた
最初は 大きなハンマーと先端を尖らせた鉄の棒で石材にしていたのだが、水を鋭くして足元にあった砂、砂利を混ぜた水を石に当てる 所謂、ウォーターカッターを作り出してからは作業が楽だった。
そろそろ、石材はこのくらいで良いだろう
さあ、家に帰って風呂を作ろうか!
自宅に帰って宿の浴場と自宅の露天風呂を作っていたのだが、この作業は直ぐに終わった。というのも、檜風呂の作業と半分以上同じ作業なのだ
檜風呂と違うのは最後に檜の木を組み立てるところを石材に変えただけなのだ
早く終わってしまったのですることがない。どうしようか…
ガチャ
「ただいま!なのじゃ」
「あれ?早かったな。おかえり」
「交渉が上手くいっての。それで女子12人雇うことになったのじゃ
その12人の給料は少な目で良いのでの」
「ん?何でだ?」
「実家から結構な金額を貰っておるでの。それに花嫁修業のようなもので雇うからじゃ」
「花嫁修業?うちに?」
「そうじゃ!妾がおることが向こうにも分かっていての
しっかり、こきつかってくれ!と言われておるでの」
「そうなのか…それは良いんだが、その従業員は住み込みか?」
「そうなるの」
「そうか…少し困ったな。従業員用の家を作らんといけないな」
「む?レンカの家じゃ駄目なのかの?」
「いや、さすがに花嫁修業で来る人と1つ屋根の下っていうのはヤバいだろ」
「…それもそうかもの。まぁそう言うと思っての、レンカの家の裏の富豪の敷地を買い取っておったのじゃ!富豪の敷地じゃから広い上、立派な屋敷もあって直ぐに住めるようになっとる」
「…手際が良いな
まぁそれなら大丈夫か。それで従業員となる方らは家事できるのか?」
「本人らは修業中じゃ じゃから実家から使用人がついてきおる」
「そうか。で、いつ来るんだ?」
「明日じゃ!」
「早いな まぁ宿の備品を買ったり生活でいるもの買ったりしたら丁度良いくらいに宿が始められそうだな」
次の日
「おい、レンカ起きよ」
「……ん……ノラか。早くないか?」
「何を言っとるんじゃ!日が昇ってきおるぞ」
「だから早いって…いつもノラ、寝てる時間だろ」
「今日は妾が従業員達を連れてくる日なのじゃ」
「それは知ってる。でもそれとこれとは関係ないだろ?」
「気にするでないの。では行ってくるのじゃ」
「いってらっしゃい……眠気無くなったな起きるか」
★ノラ視点★
危うく妾がワクワクしているのがバレるところじゃったのじゃ…
レンカは時々、鋭いところがあるからヒヤヒヤするのぅ
なぜ妾が早朝に起きて歩いとるのかというと
今日は午前中に王城の応接室に集合じゃと言っておるのじゃ それでの、わざと詳しい時間は教えてないのじゃ まぁ今代とハントは気付くと思うのじゃが、娘には言わないから大丈夫なのじゃ。
それで、妾が早朝に行った時に来ておれば合格。少しの遅れは指導。遅いと不合格で新たに従業員を探す予定なのじゃ
少し意地悪な手段じゃが、これで娘達のやる気が分かるのじゃ
それに、このくらいの策は看破して貰わぬと駄目じゃからの
さて、全員いるかのぅ
ガチャ
『今日からお世話になります!!』
ノラがドアをわざとノックなしに開けるが中に居た12人の女子が動揺なく元気に挨拶した
「うむ。元気があってよいの!これからお主達の世話をするノラじゃ!妾の事は知ってるじゃろうから挨拶は省くのじゃ」
『はい!エレノーラ様。よろしくお願いいたします!』
「これ、ノラと呼ぶのじゃ。向こうも妾のことは分かっておるがノラで通しておっての。お主達に本名を呼ばれるのは少し困るでの」
『分かりました。ノラ様』
「様もいらんのじゃが……聞いてくれそうにないの
まぁ良いのじゃ。そろそろ行こうかの お主達、挨拶は済ませたかの?」
『はい』
「そうか。では行くのじゃ」