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第40話 消えない火

 山賊の頭がそれを見ながら言った。


「聞きたいことは終わったみたいだし、捜し物も見つかったみたいだな? そんでお前たちは、これからどうしようってんだ?」


 リトと弓の周囲を山賊が囲み、少しずつ間合いを狭める。


「男がこれだけいるんだ。 お前たちも気づいてるだろう? ここは洞窟だ。 深い深ぁい洞窟の中だ。 服ひんむかれて何をされても泣いても叫んでも助けはこないぞ?」


 ひひひ、と鳥肌の立ちそうな笑い声を上げる。


「近寄らないで!」


 リトは山賊頭に向き直って言い放つ。 


「これからどうしようって言ったわね? もちろんあなた達に自首してもらうわ」


 三白眼兄弟が驚いて顔を見合わせた。

 山賊達は一呼吸おいてから、堰を切ったように大爆笑した。


「ひーっひっひっひっ」

「じ、自首だってよ?」


 みな、涙を流しながら大笑いだ。


「さ、さすが、世間も男も知らないお嬢ちゃんたちだ」

「たった二人でこの大人数をどうするつもりかな??」


 リトは少しもたじろいでいなかった。 そして持っていた鞄から何かを取り出す。


「これを見ても、笑っていられる?」


 そう言ってリトが取り出したもの――

 それは、佐太郎から預かった、百科事典のように分厚い、本。

 それとそのページを一枚、くるくると筒状に丸めたもの。 しおりがわりの紐がたらんと垂れていた。


「ん? 何だ?」

「本じゃねぇか」


 一部の山賊は訳が分からずに首をかしげた。

 しかし他の山賊と、山賊頭、そして三白眼兄弟はリトが取り出した本の表紙を見て顔色を変えた。

 リトは彼等の顔色が変わったのを見て、意味ありげに笑う。


「こりゃ驚いた。 高性能ダイナマイトじゃないか?」


 三白眼兄弟の兄が呟いた。


「ダイナマイトぉっっっっ????」


 その存在を知らなかった山賊が大声でくりかえす。


「しかもあいつ、一冊まるごと持ってるぜ? この山二つくらいぶっとばしてもお釣りの来る量じゃないか。」


 感心したように弟も言う。


「し、しかし、頭? ありゃあ、本ですぜ? どう見たって爆弾じゃありやせんや」


 一人の山賊が慌てて言う。 それを山賊頭が怒鳴りつける。


「馬鹿野郎! 炭坑や闇市場に行くと高価に扱われている品物だ! 危険物取り扱い最高レベル、あれに火がついてみろ? 俺たちゃ骨も残らずこっぱみじんだ!」


 頭のただならぬ真剣な表情に、山賊達もひるむ。


 そうなのだ。


 佐太郎から預かった百科事典のようなこの本は、実は高性能ダイナマイトだった。 使い方は簡単。 一ページ一ページを破って筒型にし、導火線がわりの紐に火をつけるだけである。

 普通に生活しているぶんにはあまり見る機会のないものだが、炭坑や穴掘り等で爆弾と関わる仕事をしたことがある者にとっては馴染みのあるものである。

 使ったことはなくても、その奇妙ないでたちと、想像以上の破壊力を目の当たりにしていることから、よく記憶に残るようだった。

 そして闇市場に行けば、粗悪品ではあるが危険物としてミニサイズを手にすることもできる。 正規品の作り方は錬金術師達しか知らず、精製も難しい為、ミニサイズは小さな煙幕を起こすのが精一杯だったが。


 リトがこれを抱えてアリドが止まっている「ザッツ」に行ったとき。

 そこにいた客達はリトが持っているものを見てとても驚いていたがそれもそのはず、女の子が巨大爆弾を3つもかかえて飛び込んできたようなものだったのだから。

 アリドにマスターが電話したとき、マスターは「アリドさん、爆弾を抱えた娘が殴り込んできたのですが」と伝えたらしい。 どうやら情事のトラブルと勘違いしたようだった。 「お前、爆弾なんか抱えて何しに来た訳?」とアリドに尋ねられ、きょとんとしていたリトはアリドから本のことを聞き、佐太郎はなんというものを自分に託すのだと真っ青になった。 火にさえ近づかなければ平気だとアリドから笑われたが。

 そして佐太郎の言いつけ通り、リトはボルゾン軍隊長にそれを渡した。


 その後、それがどこにあるかはリトも全く知らなかった。

 証拠品室に入るまでは。

 そう、証拠品室で緑色の自動巻オルゴールを探していたとき、床に置かれていたのだ。 リトは、それを拝借した。

 山賊達はリトの抱えたものがダイナマイトと知るや、体をこわばらせた。 もし、火をつけられたら、どう逃げても死はまぬがれまい。


「――お嬢ちゃん、それはかなり――貴重なやつじゃないか?」


 三白眼兄が言った。


「そうよ。 ――ご覧なさい!」


 リトは持っていた筒を放り投げた。 すると導火線で縄ばしごのようにつながれた同じような筒がざらりと連なって床に落ちた。 その一番端のやや長めの導火線を、リトが持つ。

 そしてその巻いた紙の断面にはテノス王国の紋章がみてとれた。


「こりゃあ驚いた。 王宮御用達じゃないか!」


 三白眼兄の感嘆の声に弟がヒュウ、と口笛を鳴らす。


「最高級品か。 威力も抜群だ。」

「ち、ちょっと待て!」


 驚いてはいるがそこそこ冷静な三白眼兄弟と違って、かなり取り乱して山賊頭が言った。


「な……なぜこんな小娘がそんな大層なものを持っているんだ?」


 それを聞いて、リトが言った。


「女官ですもの。 甘く見ないで?」

「女官か!」

「なぁるほど。 女官なら国家機密の品を持ち出すのもわけないか」


 感心したように三白眼兄が言う。

 逆に更に慌てたのは山賊頭だった。


「お、おい、お前達、火を近づけるな! 離れろ、離れるんだ!」


 手で煙を払うように部下達に退くよう命じる。 部下達が一歩、二歩と後ろに下がる。


「さあ、火をつけられたくなかったら、離れるのね。 そして一緒に王宮まで来て貰うわ」


 リトは言った。


「火を付けたら、お前達も死ぬぞ?!」


 裏返った声で山賊の一人が声を上げた。


「それがどうかして? お互いに死にたくないなら結論はひとつでしょ?」


 ちょっとだけリトはハイになっていた。

 弓は何も言わずただ側に控えていた。

 そんな二人を見ていた三白眼の兄が思い出したように言った。


「ときに、お嬢ちゃん。 火はどうやってつけるつもりだい?」

「へ?」

「え?」


 リトと弓がそれぞれ間の抜けた一声だけを漏らす。


 火って、いわれても……


 思わず、リトと弓が顔を見合わせる。


「その導火線は特殊なやつだから、火が点いたら切れないことは知っているだろう?」


 そんなの初耳だ。


「そしてその爆弾に点ける火はとても珍しい火じゃなきゃいけない」


 そうなの?


 リトと弓の表情で、彼等は悟ってしまったのだろう。 その表情は笑いをこらえるのが精一杯のようだった。


「魔法で起こした消えない火でしか、それには点かないんだぜ?」


 正解を、弟が言った。


「正解」


 なんて言って兄の方が人差し指を一本たてて、ポーズをとる。


「それは本当か?」


 三白眼兄弟の話をきいて、山賊頭が目を輝かせて尋ねる。


「ああ。 闇市場で取引されてるやつや、あんまり威力の強くないやつは普通の火でも点火できるがね、不幸なことにあれは王宮御用達の最高級品だ。 威力も抜群。 そんなものが簡単に火が点いてちゃぁ危なくて仕方がないだろう? だから魔法の消えない火でしか点かないのさ。」


 リトはこの話が本当が嘘だかは分からなかった。

 しかし、それなら佐太郎が気軽に自分に預けた訳も、証拠品室に無造作に置かれていた訳もわかる。

 火の魔法のやり方は授業では教えて貰えない。 上級クラスを卒業して、そこまでの知識があって初めてやり方を自分で考えることができるようになる魔法だ。

 そして、意外と使える人は少ないのだ。

 リトが間違って火にくべても、この本は爆発しない。 証拠品室に置いていても、兵士で魔法が使える者なんてまずいない。 だから安心だ。 そして火災になっても、爆弾が爆発して被害が広がるおそれもない。

 気づけば気づくほど、三白眼兄の言っていることは正しそうだった。


「しかも消えない火の魔法って女官クラスが使える魔法だったっけ?」


 火に油を注ぐように、ピンチを更にピンチにするように弟が付け加える。

 リトの動揺は誰が見ても明らかだった。

 そしてリトが動揺していることに気づくと、山賊頭は強気になった。


「ふっ…ふふふふふ。 わぁっはははははは! おじょうちゃんたち、楽しませてくれるじゃねぇか?」


 そして改めて、一歩、近づく。


「……こ、来ないで!」


 リトが叫ぶ。

 しかし山賊頭の表情には余裕すら見える。


 どうしよう。

 リトは頭の中が真っ白になった。


「それ以上、来ない方が、いいですよ」


 リトの耳に弓の透き通った声が聞こえた。

 リトのすぐ背後に控えていた弓が一歩前に出て、リトと山賊の間に立っていた。


「魔法の火でしか火が点かない? そんなこと百も承知です」


 弓が落ち着いた口調で言った。


「なにを? 驚いていたじゃないか!」

「彼女はね。 知らなかったみたいだから。 でも私は、何当たり前のことを言ってるんだろうって思って呆れていただけ」


 弓の口調にも余裕すら感じられた。

 リトは弓の後ろ姿を見た。

 山賊頭達から見えない場所で、弓の右手はスカートを強くにぎりしめていた。 そしてその手が微かに震えている。


――賭に出たんだ。

 リトは思った。


 弓は左手の人差し指を立てて、ゆっくり目の前まで上げる。


「私は――リトと違って――女官歴は長いの」


 時間をかせぐかりように一言一言噛みしめるように言う。

 そして口の中でブツブツと呪文を詠唱しながら左の指先で空中に何か文字を書く。

 そしてその指を山賊達に向けた。


「用意はできたわ。 後は最後の呪文を唱えるだけで指先から火がつくわ」


 そんなに堂々とした態度とは裏腹に弓の右手はしっかりと服を握りしめている。


「さあ、言うことをお聞きなさい」


 弓の態度に山賊が少し弱気になる。

 お互いに顔を見合わせる。


「はったりだよ、はったり」


 三白眼兄弟が横やりを入れる。

 弓の額にうっすらと汗がにじむ。


「そうだな。 連れのお嬢ちゃんが絶対無理だって顔で見てるからな」


 そう言われてリトがうろたえる。

 ああ、こんな時に感情が表に出なくてもいいのに!

 しかし何食わぬ顔で言い返すだけの余裕はリトになかった。

 リトに気づいて山賊達が再び優勢になったとばかりに、じわりじわりと近づく。 弓も少し後ずさりをしてリトのすぐ前まで下がる。


「弓……」


 リトが耳元で心細げに呟く。


「大丈夫……。 きっと、できる。 ううん。 やってみせる」


 弓は唾を飲み込んだ。


「精霊の火よ、来たれ!」


 リトがそう叫ぶと地面から細かい赤色の埃のようなものが舞い上がり、空気の渦を作りながら弓の指先に集まる。

 赤色の埃は渦の中で少しずつ大きな固まりへと姿を変えものすごい勢いで凝縮され、波が引くように弓の左手の中に入っていく。

 弓の左手が朱色に染まり、朱色が再び渦を巻きながら指先へと集まってくる。

 そして指先から押し出されるように赤色の固まりが炎へと姿を変え――るはずだった。 ところが指先まできた赤色の渦は重たい重力に負けるかのようにその動きを緩め、じわりじわりと逆流しだした。


――ダメ、失敗!

 リトはそう思った。


 一瞬、驚いていた三白眼兄弟と山賊達が、にやりと笑った。


「お願い!」


 弓が力の限り叫んだ。

 渦の動きが止まった。


「お願い!」


 再び弓が呟いた。

 三白眼兄弟の兄の眉が、ぴくりと動いた。


 すると。


 弓の指を中心に強い渦が巻いた。

 周囲にある光が一気に吸い込まれるように弓の指先に集まりそして弾けた。


「わぁっ」

「うっ」


 ものすごい輝きに皆が目を閉じる。 そして急に静かになった。

 それぞれが、恐る恐る目を開ける。


「弓?」


 リトもこわごわ尋ねた。


「リト……」


 弓が、そう言って振り向いた。

 左手の人差し指の上に煌々と輝く炎を浮かせて。


「……できちゃった」 


 信じられないというように弓がリトを見る。


「すごぉい! やったね! 弓!!」


 リトは飛び上がって喜んだ。


「あーりゃりゃ、できちゃったよ」

「ああ」


 三白眼兄弟も呆れた口調である。


「さぁ!」


 勇気百倍になったのはリトである。


「どう? 火を点けられたくなかったら、言うことを聞きなさい!」


 意気揚々と言い放つ。

 山賊達は形勢逆転されて後ずさりをする。


「なかなか面白い余興だった訳だけど」


 山賊達とは逆に、動ぜずに三白眼兄弟が腰を上げる。


「十分楽しんだからもういいか」


そう言って三白眼兄は腰元からすらりと細身の剣を抜いた。 リトと弓の体がこわばる。


「早くそれでやっちゃってくだせえな! 旦那!」


 百人力とばかりに山賊頭が叫ぶ。

 ところが。


「嫌だぴょん」

と、三白眼兄はいいきった。


「ま、待て! お前達は裏ハンターだろう!? こんな娘達にこけにされて悔しくはないのか?」

「裏ハンターっていっても……俺たちが狩るのは金になる奴らで、こんな女の子を虐める趣味は無いんだなぁ。」

「この子たちが自警団だとしてももっと名が売れてから、狩るさ。 それじゃあ、お嬢さんがた、ごきげんよう」

「ち、ちょっと待ちなさいよ、動かないで!」


 リトが叫んだ。

 しかし、三白眼兄弟はほんの少し微笑んだ。


「ごきげんよう」


 そして兄が剣で何もない空間を切り裂いた。

 すると空間が三日月型に分かれ、そこからまばゆい光が漏れた。


「さって、次はどこに出ると思う?」

「さあねぇ」


 そう言いながら兄弟は空間に手を入れ、身を乗り出して切れ目に入っていった。

 突然のことに誰もただ黙って眺めているだけだった。


「ああ、そうだ」


 そして弟は口元で何か唱えると指先に魔法の光を出した。


「お土産」


 そしてその光を指で弾いて弓に投げた。

 光は弓の指先の炎にぶつかり、まるでビリヤードの玉のように炎を弾いた。 そしてその弾かれた炎がリトの持っていたダイナマイトの導火線に、ボッと音をたてて火がつくのと、空間の裂け目が消えて兄弟の姿が煙のように消えたのはほぼ同時であった。


「火、火、火がっ」


 山賊が叫んだ。

 リトの顔からも血の気が引く。

 どんどん導火線は燃えてみじかくなっていく。

 うわぁ、と悲鳴を上げて山賊が我先にと押し合いながら走り出す。

 導火線が短くなっていく。

 山賊が押し合いへし合いしているうちに松明が倒れ、絨毯に火がうつる。 出口の方でも、誰かが松明を倒したのか、炎が上がった。


「もうおしまいだぁーーーーーーーーっ!」


 叫び声が上がる。

 弓が火花と爆弾の間の導火線を握る。

 しかし、どうすればいいのか。

 弓の瞳に、導火線の火花が映し出された。

 そして周囲を取り巻く炎が映った。 


「……さま……」


 弓の、口が動いた。


「羽織さまぁっ!!!!!!!!!」

 弓の切ない声が山賊の声と一緒に洞窟内にこだました。



 

 それは。

 



 それは、天井に近い空間で起きた。

 すっと流れ星が落ちるかのように、空間に光の筋が入る。

 そして光の筋が形をなし、人の姿となる。

 艶やかな黒髪が舞った。

 繋がって現れた、栗色の光と、金色の光、そしてもうひとつ、黒色の光。 

 それが次々人の姿に化す。


「弓っ!」


 そう叫んで最初に舞った黒髪の男は当然――


「羽織様っ!」


 弓が、呼びかける。

 羽織は空中からそのまま飛び降りながら剣を振り下ろす。

 剣では切れぬはずの導火線が、まるで紙のこよりのようにぷつりと切れる。


「羽織様っ」

「弓っ」


 羽織が迷子になった子供を見つけた親のように急いで弓を抱きしめた。

 茶色の光は、来意になった。

 来意は落下しながら楽しそうに周囲を見ていた。

 金色の光は、清流になった。


「な、なんだか分からないけど…」


 清流も落ちながらも呪文を唱え手のひらから霧を出す。 霧は獲物を狙う生き物のように自ら炎のところへゆくと炎を水で包んでいく。

 もう一つの黒色の光は、世尊になった。

 胸元からナイフを出すと勢いよく投げ、それが逃げようと押し合いしていた山賊の足下に突き刺さる。 山賊の動きが止まる。

 来意も清流も世尊もそれぞれ弓とリトの側に降りたつ。


「な……なんだ、お前らはっ!」

 山賊頭がいきなり現れた男達に向かって怒鳴った。


 呆れた目つきで来意が言った。

「誰かと言われても」


 冷めた口調で清流が続けた。

「とりあえず名乗ってみようか」


 胸を張って、世尊が言った。

「陽の優しさと炎の強さ、それがオレたちの名の由来」


 弓を抱きしめたまま向き直って、羽織が言った。

「陽炎隊だ」


「陽炎隊っ?」

 山賊がくり返す。 一人の山賊が慌てて叫ぶ。


「お、おいら知ってやす! 最近でてきた自警団で、めっぽう強いとか強くないとか!」


 ざわり、と山賊達の声が揺れる。


「強くない、はぁいただけないなあ〜」

 世尊がむくれる。


「弓? こいつらは山賊なのか?」

 羽織が弓に尋ねる。


「はい。 盗まれたオルゴールを持ってたもの。 間違いないわ」

 それを聞いて世尊がリトに向かって言った。


「マジ?」

 リトはこくこくと頷いた。


「そ、れ、はぁ〜♪」

 羽織、清流、世尊と来意が視線を合わせた。


『好都合!』


 四人は声を合わせて言うと素早く散った。


「リト!」


 弓がリトに駆け寄る。


「弓……」


 リトの足は恐怖でがくがく震えていた。 陽炎隊の姿を見ると気が抜けて、へたり、とその場に座り込む。


「大丈夫、もう、大丈夫よ」


 それを抱きしめて弓が呟く。

 リトは弓にしがみつきながらこくんと頷いた。

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