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勇者様の幼馴染。

作者: 津崎 奈津

こんにちは。初投稿です。

楽しく読んでくだされば嬉しいです。


「ねえ、リーズ、好きだよ」

一体何がどうして、こうなった。

あー、なんでだー。


*****************

その日は、買い出しで王都に来ていた。たまたま、今日は勇者様が帰還する日らしかった。

「おや、嬢ちゃんも勇者様を見に来たのかい?」

「いえいえ、タダの買い出しですよ」

「そうなのかい?運がいいねぇ、冷酷の勇者様を見れるなんてラッキーじゃないか」

「冷酷の勇者様?」

「そう、とにかく無表情で美人が話しかけても顔色一つ変えないんだよ、若いお嬢様方にはそれが受けてるらしいけどね」

「へー、だから冷酷の勇者様」

「そうそう、まあ、勇者様なんて滅多にお目にかかれないんだから見ていくといい!」

「そうなんですか?ではそうしますね。ありがとうございます!」

なんて、呑気な事を言って、観光がてらその勇者様とやらが見れたらいいなー、なんて思って。


しばらくして、わぁぁぁ!と歓声が起きた。女の子の黄色い声が上がる。

勇者様だろうと、大通りの方を向いたら、馬に乗って大通りを通る勇者が見えた。

そう、勇者。その勇者がふと、こちらを向いた。振り向き方が昔いた幼馴染に似てるな~なんて思った。その時の私は呑気だった。ほんとに。

振り向いた勇者とばっちり目が合って、驚いた。と思ったらあっちもビックリしてた。何でだろ。


ぽけー、としてたんだ。気づけばよかった。

ふと気づいたら、勇者が馬を降りてこちらに来ているではないか。

さっと勇者の動きに合わせてみんなが動くから、私もさっと動いてたら、なんでだろ?勇者が目の前にいる。


まじまじと勇者と見つめ合ってたら


「…リーズ?」

うおっ、なんで私の名前知ってんだろ?

「え、…なんで?私の名前を、」

「やっぱり、リーズなんだね。ああ、リーズ会いたかった…!」


理解できない。頭が働かない。だってそうでしょ。みんなも考えてみてよ。イケメンの有名人が何の身分も無い私を抱きしめてて、更に名前まで知られてる。しかも、とびっきりの笑顔で。心臓に悪い。と言うか勇者は笑わないんじゃないの?


「ねぇ、リーズ。見に来てくれたの?リーズ?リーズ?」

「…へっ、なに…」

「もう、リーズったら小さい頃からそうだったよね、また人の話聞いてなかったの?」

「…小さい頃?」

私が?小さい頃?この人に会った?

「…リーズ、忘れ…ちゃった?」

突然、寂しそうな顔をした勇者がどうしても昔の幼馴染に似ていて、気づいたら口に出していたらしい。


「れ、レ、イ…レイ?」

「うん、そうだよ。覚えててくれたんだ、うれしい、」

「…レイ…?」

「そうだよ、リーズ」

「ほんとに?ほんとのほんとに?」

「うん、そうだよ、レイだよ?リーズ」


うそだ。レイのはずが無い。村にいた時には常に同い年のいじめっ子にいじめられてその度に私が助けていたのに。いつもいつも、愛らしいあの笑顔で、舌っ足らずな声で

「りーず、りーず」

と呼んでばかりで、私の周りにピタッとくっついていたあのレイが?勇者?


「…有り得ない…」

「ふふっ、信じられないよね?ああ、でもリーズがここに居てくれてよかった」


そう言って放心状態の私を抱き上げて、いわゆるお姫様抱っこをして颯爽と、そう、言葉の通り颯爽と、大通りにいる馬と従者の方へと歩いていく。


「ちょっ…まって、降ろして!」

「こーら、暴れたら落ちちゃうよ?」


絶対にわざとだろっ!と今なら言える。私が怖がるように勇者…いや、レイは腕の力を緩めた。


「うわぁっ……」

一瞬の浮遊感に本能が落ちると感じ咄嗟に、そう、咄嗟に、決して狙ってはない、レイの首にしがみつく。

後で思えばこれは傍から見ればただ、イチャイチャしてる恋人同士だっただろう。

それからはまた落ちるのが怖くて必死にレイの首にしがみついていた。レイの腕の中でも充分に怖かったのにそれが馬の上となったら高所恐怖症の私はどうなるか皆さん想像がつくだろう。馬の上ではとにかく落ちるのと下を見るの、ついでに周りからの鋭い視線が怖くて怖くて、レイの首にしがみついて固く目を閉じてた事しか覚えてない。その間のレイはとてもご機嫌であったのだとか。


そんで、気づいたらなんか王城の1室に居て、

「リーズ、大好き。」

「え、あの、そんな突然に言われても」

「リーズは僕のこと嫌い?」

「いや、べつに…」

「ねぇ、リーズ、好きだよ。ずっと前から。リーズは鈍感だから気づいて無かったよね?」

なんだと!失礼な奴め。

「リーズ、結婚しよう?」

「はっ?えっ、」

「顔真っ赤だよ?かーわい、もっと見せて?」

顔が熱い。こんな美形に迫られたら誰だってこうなるさ。

「…リーズが悪い」

「え…なにが?」

「…ほんっと、昔から鈍感だよね。まあ、そんな所が好きなんだけど…」

「え、なに?」

「何でもない、リーズ大好き、愛してる」

「はっ!?え、ちょっと」


恋愛事に疎くて、慣れない私はレイに翻弄されて、そのまま上手く丸め込まれて、


「リーズ大好き、愛してる、一生大事にするから、ね?」

「なんでこうなった…」

「リーズは安心して僕に身を委ねて?」

レイに身を委ねたが最後、何をされるかわかった事じゃない。


なんで勇者と結婚してんだろ。

…まぁ、幸せだからいっか。


これは後に王国一のおしどり夫婦と言われた、冷酷の勇者とその幼馴染の恋物語である。


誤字脱字があったらすいません。

指摘して下さるとありがたいです。


お読み頂きありがとうございます。


勇者様は腹黒?かな。

リーズちゃんはフツーの女の子です。


続編は…多分、そのうち。

また、お会いしましょう。ありがとうございました!

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