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僕、妖狐になっちゃいました  作者: yukke
第拾弐章 華麗奔放 ~戦いの火蓋は華麗に~
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第玖話 【2】 やっぱり一人は嫌

 その後僕達は、いつもの様にご飯戦争をして、ゆっくりお風呂に入って、そして寝る準備をしています。


 そんな中で白狐さん黒狐さんが、僕の部屋でノートパソコンを使い、何か調べ物をしています。

 妖狐がパソコンって。しかも、凄く手慣れた感じで使っていますよ。


「白狐さん黒狐さん。何を調べているんですか?」


 お風呂上がりの僕はパジャマ姿で、タオルで髪を乾かしながら、2人の後ろからパソコンの画面を覗き込みます。

 良く見たらこのパソコン、カメラが内蔵されているみたいなんだけど、それが目玉なんですよね。まさかこれって……。


『うむ。妖怪用のパソコンで、ちと掲示板の書き込みを調べているんじゃ』


『もちろん妖怪達が使っているもので、人間達はその存在すら知らん』


 そう言えば、よく2人が素早く情報を持って来たりするけれど、それってここから調べていたんですね。


 ただ、そこに書き込まれているのが、だいたいはどうでもいいものばかりですね。

 今日は何人の人間を驚かしたとか、川にゴミを捨ててやったとか……いや、ゴミは駄目ですよ。何やっているんですか。この妖怪さんを調べて、あとで僕が罰しておこうかな?


『むっ……これは』


 すると白狐さんが、ある文章を見つけ、そこを凝視し始めました。あんまりパソコンの画面を凝視したら、目が疲れますよ。


 因みにその文章はというと……。


『やるならやっぱ、派手にいかねぇとな~そういう意味では、伏見の学校で起こった、全校生徒を操って誘い込み、旧校舎に閉じ込めるなんて派手な事を、俺もやってみてぇよ』


『馬鹿のお前にゃ無理だよ~』


『ありゃ妖怪と言うより、神様関連だろ? 妖怪にあそこまで出来る奴はいねぇよ』


『あ~そりゃそっか~神様だって、汚れたら邪神になって、人々に悪さをするもんな~』


 これって、僕の学校の事? 妖怪じゃなくて、神様って事ですか?


「白狐さん……」


『うむ……まぁ、ここでこれ以上の詳しい事は分からないだろうな』


「それならさ、賀茂様に聞けばーーと、そう言えばこの前の橋姫の時、チビ賀茂様、なにかおかしかったよね? しかもその後、連絡も無いしさ」


『むっ……! 確かにそうじゃな。よし、明日様子を見に行ってみるか』


 白狐さんも黒狐さんも忘れていたんですか? でも、僕だって今まで忘れていましたけどね。それよりも、旧校舎に入れるようになった事で、頭がいっぱいになっていましたからね。


「そうと決まれば。明日朝一で、賀茂様の所に行きましょうか」


 そう言ってから僕は、伸びをしてお布団に向かいます。


『そうじゃな。よし。こっちで調べるのはここまでにしておくか』


『おい、白狐。今日は俺が椿の尻尾側だからな』


『なんじゃ。そっちで良いのか? 椿の寝顔の方がーー』


「今日は2人とも外で寝て下さい」


『ぬぉっ?!』


『何でだ!?』


 自分の胸に手を当てて考えて下さい。

 毎日毎日僕と一緒に寝る時に、何かを話し合っているなと思っていたら、そんな事を決めていたんですか。


 それならもう、白狐さん黒狐さんとは一緒には寝ませんよ。そんな事で寂しくなるような僕じゃーー


『全く、黒狐め……椿の前で言うでない』


『いや、すまん。今日は出直すか』


 あれ? 今日はやけに素直ですね。

 ちょっと待って下さい。そうなったらそうなったで、何だか寂しーーいや、違います。僕はそんな子供じゃないんだから、毎日のように誰かが僕のお布団に潜り込んでいて、1人で寝る事が少なくなったけれど、だからってこんな事くらいで。それにどうせ、雪ちゃんや里子ちゃんが来てーー


『それに今日は、雪もパンフレット作りに忙しい様だし、里子は椿の命令で、待機していると言っていたかな?』


 あっ……そういえば。晩ごはんの時、里子ちゃんが僕の取ったご飯にイタズラを仕掛けていて、大変な目にあったから、罰として今日の夜は来ないでと、そう言っていたんだった。あの子、僕の言う事は律儀に聞くんですよね。


 つまり、白狐さん黒狐さんが去ったら、本当に誰も来ないし、久しぶりに今晩は僕1人、ですか。


 別に寂しくなんか、寂しくなんか……。


『さて。すまんかったな、椿よ。今日は1人でのんびりと寝ると良い』


『そうだな白狐。ついでに今日も、月見酒でもやるか?』


『うむ、それは良いな』


 本当にこの2人は、割りと仲良しじゃないですか。

 でも何故か、今日は行って欲しくないです。うぅ……僕ってば、こんなにも子供っぽかったけ? いや、違います。これは白狐さん黒狐さんのせいです!


 だから僕は、お布団に座った状態で、白狐さん黒狐さんの裾を引っ張ります。


『ん?』


『どうした、椿?』


「う~やっぱり。一緒に寝て下さい」


 でも、それを言って後悔しました。2人とも凄い笑顔なんですよ。これ、謀られた!


『ふふ、可愛い奴じゃな』


『そういう事なら仕方が無いな』


 どうしても僕は、この2人にいいようにされていますね。もう良いです。それでも僕は、何だか嫌じゃないので。

 それに、寝間着に着替えた白狐さん黒狐さんに挟まれて、何だか嬉しいのです。


 幸せ、なのかな?


 でも、僕なんかが幸せを感じて良いのかな?

 だけど、そういう事を考えていたら、徐々にまどろんでいき、そのまま寝入ってしまいました。


 ーー ーー ーー 


 そして翌朝。僕はいつもの様に、2人に挟まれて目を覚まします。ついでに、それを覗き込んでいる影が1つ。


「ふむ……羨ましいな。しかし、椿の幸せそうな顔を見ていると、邪魔も出来んな」


 チビ賀茂様でした。


 まさかそっちから出向いて来るとは思わなくて、僕は思わず飛び起きちゃいました。


「チ、チビ賀茂様! いったい何で?!」


「何って? 見ていたから分かるんじゃよ。今日、本体の所に行くつもりなのじゃろう? そうなると、隠していてもしょうが無いのでな。まぁ、正直に話す事にしたらしい」


 いったい何をでしょうか?

 そうやって、僕が不思議そうな顔をしていると、チビ賀茂様は更に続けてきました。


「まぁ、本人から直接聞いた方が早いわ。ほれ、そこで幸せそうに寝ている2人も起こして、早く支度をせい」


「あっ、はい! ちょっと、白狐さん黒狐さん。早く起きてーー」


『ん~? なんじゃ、椿よ。まだ足りんのか? あれだけしたと言うのに、好き者じゃな』


『ふふ。白狐より俺のテクが気に入ったか。よしよし……それなら、これから毎日……』


 いったいどんな夢を見ているんですか? 2人揃って似たような夢なんでしょうね!


「黒槌土塊!!」


『『ぐほぁ!!』』


 良い夢を見ている最中に申し訳無いけれど、もうそれ以上は駄目です。


『ぬぉっ?! つ、椿……? お、もう朝か。という事は、今のは……』


『白狐、それ以上は言うな。またハンマーの餌食になるぞ。というか、なに同じ様な夢を見ているんだ。気持ち悪いぞ』


 本当にその通りですよね。2人って、やっぱり仲が良いんですね。喧嘩するほど仲が良いってやつですよ。


「ほら。チビ賀茂様が迎えに来ているから、早く準備しますよ」


 僕は2人にそう言うと、テキパキと着替えを始めます。ただ、始めたのは良いけれど、何か忘れているような……。


「うぉ……椿、お前。男の前でも平気で着替えるとは、はしたなく無いか? まぁ、麗しい柔肌を拝めて、こちらは眼福じゃがな」


 あっ、チビ賀茂様が居たんだった。

 いや、その前にね……ここには白狐さん黒狐さんも居ます。だけど、2人に至ってはもう、堂々と普通にしているんです。と言うのも、白狐さん黒狐さんは偶に、僕の着替えとかを手伝ったり、着替え中にも傍にいたりしていたんです。だからね、その……慣れちゃって。もう! 恥ずかしいですよ!


「くっ、白狐さん黒狐さんのせいだ!!」


『ま、待て椿! ほら、我等は性別が無い。女にもなれるから、普通の男とは違うだろう!』


『そ、そうだ! 何なら、お前が着替える時は常に女に……』


「そう言う問題じゃーーな~い!!」


『ぐはぁ!!』


『またかぁ!!』


 僕がハンマーにした尻尾を振り回して、思い切り威嚇をしていたから、2人は必死に弁解をしていたけれど、そんなのは言い訳にしか過ぎないですよ。


 だから僕は、そのまま振り回したハンマーで、白狐さん黒狐さんを吹き飛ばしました。


「こりゃ、怒らせられんな……」


 ついでにその様子を見て、チビ賀茂様が震えていました。そんなに恐かったかな?

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