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僕、妖狐になっちゃいました  作者: yukke
第捌章 純真可憐 ~戦う乙女達~
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第拾弐話 【2】 負なる者の浄化

 負なる者の手によって、醜い姿になってしまった者達。愚かですが、まだ生きているのであれば、助けなければなりません。


 1体1体確実に、彼等の攻撃を避けて斬りつける。

 後ろから殴りつけても無駄ですよ。それも跳び上がって交わし、バク転してから体を捻って斬りつけるだけ。これで、あと1体。


 その1体も、何の考えも無しに突進して来ますね。それならば、正面から斬りつけて浄化終了です。


 先の2体を合わせ、計5体。

 ですが、スナイパーがまた狙っていますね。このままでは、更に増やされてしまいます。その前に捕まえて、滅しておかないといけませんね。


 更に五感が鋭くなった私には、死角なんてほぼ存在しません。少し距離のある木の上に、その身を潜めた所で無駄です。


「妖異顕現、影の操」


 たまには、妖術を使っても良いですね。

 例え距離があっても、この妖術なら、木の上に隠れたスナイパーを引きずり出せます。位置が分かり、その人物をこの目で捉えれば、その人の影を扱えるのです。


 だから、既にその人物の姿を捉えた私は、そいつの影を操り、木の上から叩き落とします。


「ぐわっ……! つぅ……くそ! 何が起き……うわ!」


「さぁ、こっちへ来なさい。負なる者」


 情け無くも、今度は私の影に足を掴まれ、そのまま引きずられています。

 さっきまで強気でいい気になっていた相手が、隠れ場所から引きずり出された瞬間、顔が青ざめていますよ。


 そして、周りの負なる者達は、それを見て興奮したのか、私をはやし立てていますね。


 やれ「早く捕まえろ!」とか「その武器を奪ってくれ!」等、好き勝手言っていますね。


 ですが、あなた達も同罪ですよ。


「ひっ!!」


「あなた達は、少し黙っていて下さい。この男の後で、ちゃんと滅して上げますから」


 全く、御剱で前の地面をちょっと斬っただけなのに、たったそれだけで、私を恐れてしまっていますね。


「くそ……くそ! くらえ!」


 すると今度は、目の前の男が拳銃を取り出し、私に撃って来ました。

 危ないですね。咄嗟に御剱で防ぎましたけど、まだ撃とうとしますか。


「天神招来、神風の鉄槌」


 私が出すこの神術は、風の塊を強力にして、そのまま撃ち出すもの。それこそ、鉄の槌で殴られた様な衝撃を受けるから、普通の人間では一溜まりもありません。


「が……ぁぁあ……!」


 ほら。目の前の男も、口から汚物を吐き出して、のたうち回っていますよ。


 それにしても、一目見ただけでは、この人物が人を化け物にして、それで喜ぶような者には見えないですね。

 せいぜい、真面目な学生と言ったところでしょうか? ですが、負なる者には間違い無いです。人を人とも思わないその行動は、決して許されるものではないですよ。


「さて、覚悟は出来ましたか? 負なる者。潔く滅しなさ――ん? 神妖の力が……」


【椿、戻りなさい!】


 あぁ、あなたが神妖の力を抑えていたのですか。止めてくれませんか? 邪魔をするのなら、あなたから滅しますよ。


【うっ、くぅ、嘘……抑えられない。本当に完全に、操れ……ていないわね。暴走は暴走、いい加減に戻らないと、取り返しが付かない事になるわよ!】


「うるさいですね。戻れ戻れと。むしろ今の私の状態こそ、戻っている状態です。邪魔をしないで下さい」


 それでも、まだこの力を抑えようとしますか。邪魔ですね……やはり、滅しておきましょうか。


「椿ちゃん、もう良い! 相手はもう捕まえたから、戻って!」


「椿。それは乱用したら、駄目」


「全く、手間かけさせるんじゃないわよ!」


 またですか。あなた達はいつもいつも、私の邪魔をしますね。

 それに、捕まえたところで意味は無いですよ。負なる者は、過ちを繰り返す。


 何度でも、何度でも。


 だから、滅さないといけません。


「全く、毎回毎回私の前に立ち塞がって、邪魔をしますね。ですが、今回はもう邪魔はさせません」


 そして私は、風の神術で3人を吹き飛ばそうとするが、今度は新たな2人に邪魔されてしまいましたね。


「椿様! その姿、いったいどういう事ですか?!」


「また邪魔者が増えましたね。そういえば、お2人は初めてでしたか? これが、本当の私です」


「本当の私? いいえ、違いますね。そんな者が、本当の椿様なわけが無いですね。力が暴走しているだけです! 龍花、押さえますよ!」


「えぇ!」


 やれやれ、分かってくれませんか。それならば、そこの香苗と雪にもした事を、あなた達にもするしか無いですね。


 攻撃をされる前に。


「えっ? 速――んむっ?!」


「なっ、龍花?!」


 ほぅら、たっぷりと愛情を込めた口づけをして、私が悪じゃないと証明をしてあげます。だから、暴れないで下さい。


「ん~ん~!! ぷぁっ……はぁ、はぅ……」


「ちょっ……る、龍花? 大丈夫で……ひっ!」


 さて、1人は完全に腰が抜けましたので、次はあなたですよ。


「く、来るな……! ひっ! んぅっ」


 2人ともウブですね。もしかして、初めてなのでしょうか? それでは、たっぷりと記憶に残るものをしてあげましょう。


「んぅ……ん~!! んんん!! ぷぁっ……はぁ、はぁ」


「あ、あぁぁ……ね、姉さん?」


「香苗。見てないで、アレ止めれ無かったの?」


「うっ……こっちに狙いが来そうだったし。雪だってそうでしょ?」


「うん」


 さて。これで2人とも、分かってくれましたね。

 それでは、負なる者を滅してきましょう。まだ気絶している今の内にね。


「ね、姉さん、ちょっと……その冗談は、本気で止めた方がいいっすよ?」


 あら、まだもう1人いましたか、私を邪魔しようとする者が。


「姉さん、自分が悪かったっす。浅はかな考えで、姉さんに余計なものを背負わせて。それでそんな風になってしまったのなら、謝るっす! だから、その演技を止めて欲しいっす!」


「ふふ、可愛いわね。でも残念、演技じゃないの。これが、本当の私。神妖の妖狐、椿です」


「な、何言ってるんすか? 意味分かんないっすよ」


 喚いても無駄です。もう、私の意志は揺らがない。負なる者を滅する。ただその為だけに、私は存在し続ける。


【止まりなさいよ、椿。戻れっつってんのよ! あんたは、あんただけは、それをしたら駄目ぇ!!】


 だから……うるさいですよ、負なる者。やはり滅しましょうか? いえ、それよりも先に、やっぱりこちらですね。早くしないと、目を覚ましてしまいましたよ。


「ぐっ、ゲホゲホ……くそっ、何だ、何が起きた? おい、お前達。さっさっと助け――はっ?」


「やれやれ……自分が玩具にした人達に、助けを求めるなんて、本当にどこまで負にまみれているんですか? そんなあなたは、もう元の人間には戻れません。さぁ、滅しなさい、負なる者」


「はっ? ごふっ、えっ……はぁ、はぁ、てめ、なに刺し……」


「えぇ、刺しましたよ。この御剱で、あなたの胸をね。滅するとは、こういう事ですよ」


 だから、さっさと滅しなさい。その魂は地獄に、肉体は永遠に消え失せてしまいなさい。


「天神招来、負滅浄化ふめつじょうか


「ぎ、ギャァァァア!! 痛ぇ!! あちぃよ!! やめ、た、たすけ……! て……ぇ」


「御剱の浄化の刃にて、その汚れた魂は、地獄にて償い浄化しなさい。魂によって汚れた肉体は、もう使え無いので、浄化の炎にて燃やし尽くしておきました。これが、私の浄化です」


 御剱で刺した負なる者は、その光にて、骨も残さず灰にもならず、一瞬で燃え尽きました。

 だけど、それを見ていた者達は引きつった顔をして、声も出せずにいます。


【やったわね……遂にやってしまったわね、あんた!】


「うるさいですね。次はあなたです」


【くっ……やっばいわね、これは……】


 さて、私の中に巣くう負なる者。あなたもそろそろ消えてしまいなさい。魂だけのあなたを滅するのは、非常に簡単です。


「椿ちゃん!!」


「いい加減に戻りなさい! 椿!」


「なっ?!」


 またですか、この人達はいつもいつもこれです。ですが、そうやってまた私の尻尾を握っても、もう無駄ですよ。


「あなた達、もう少し優しく握って下さい。尻尾は敏感なんですよ」


「へっ? 嘘、でしょう」


「ちょっと……待ちなさいよ。これじゃあもう戻らないの?!」


 お返しに、あなた達も骨抜きにしてあげましょう。私達の時間はたっぷりとありますからね。存分に、可愛がってあげますよ。

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