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 トロッコ列車の旅は、割とすぐに飽きた。

 だって遅い、遅すぎるんだよ!

 いや、トロッコ列車の形状で時速300kmとか出されても怖いけどな!


「いつまでもこんな速度で移動してられるか!」

 とぷっつんした俺は、ミサイルを出すことにした。

 行き先が月なら、何も間違ってないよな?

 ……あれ?


 あ、その前に、黒板消しの猫を呼んで回収かな。

 そのままの状態でいられると色々消されて危険なので、ひっくり返って真っ白な猫になってもらった。

 今は仔ドラゴンの上で丸くなって寝ている。

 本物の猫じゃないからか、ひんやりすべすべでも気にならないみたいだ。


 で、そんな俺たちをぐるっと囲むのは、でっぷりと太ったロケットだった。

 ……うん、ロケットで間違っていないはずだ。

 少なくともミサイルよりは正しいはずだ。

 先っぽにデフォルメされた訳の分からんお花がぴよんぴよんしているふざけた見た目のロケットだったが、恐ろしく速い。

 窓の外を森が雲が、飛行機なんて目じゃない速度でびゅんびゅん飛んでくんだよ。

 魔法ってスゲーな!


 で、早速向かった月だったが……。

 この世界の月は意外に近かった。

 前の世界で習った地学知識は何だったんだっていうくらい、滅茶苦茶近かった。

 片道5分だ。

「ふんっ」

 思わず鼻で嗤ってしまった。


「こら、エミリー」

「あ、ごめんね、父さん」

 ちょっとそっちに飛んじゃったけど、愛娘の鼻水だから許してくれるよね?


「てか月、こんなに近かったらヤバいんじゃない?」

 って思ったんだけど、そうでもないっぽい。

 なんせ地上の人々は魔法が使えないか、使えることを隠して生きているらしいから。

 ここまで堂々と飛んでこられるのは、人間では俺たちだけってことらしい。

 ……地上に戻るのが怖いな!


 しかし、無事に着陸したまでは良かったが……外に出られない。

 月の世界には空気が無いはずだし、空気を作れるチートを持ったメンバーがいねーんだよ。

 おっさんもとい父さんは収納チートっぽいし、俺はクレヨンで描いたっぽいかわいいものを召喚して使役するチートっぽいしな。

 んで、幼児はひたすら寝るチート?

 俺もそっちの立場と換わりてー。


 しかし、酸素か。

 シアノバクテリア、ストロマトライト……過酸化水素水……うーん、何の呪文だ、これ。

 とりあえず、森や草原を作ればいいのか?

 いやでも月がいきなり一面緑になったら、さすがに魔法が使えない人間だって異変に気付くよな?

 あと、世話はどうすんだって話もある。

 農業チートもいねーからな。


「父さん。魔法が禁忌って聞いたけど、もしも使ったことがバレたら……ってか、もしも捕まったらどうなんの?」

「大人なら公開処刑、子供なら奴隷が基本らしいが……エミリーの場合は派手にやらかしたからなー、どうなるか分からん」

 うわー、絶対に捕まりたくないな!


「そっか。じゃあこれからは、できるだけ魔法は使わない方向で……いや、使わないと死ぬかな」

 だってここ、月だよ。

 酸素すら無い月だよ。


「あー、でも……駄目だ、眠い。考えるのは後にして、今は寝たほうがいいのかなー」

 幼女に寝不足は美容にも健康にも成長にも良くないと思う。


「家なら出せるぞ」

 そう言って父さんが取り出したのは、小ぢんまりとしたメルヘンな感じの家だった。

 間取りは1階が1DKで2階は小部屋またはロフトって感じかな?


「可愛い家だね」

 おっさんな俺の趣味じゃないが褒めておく。

「ああ。ケイリーの家だよ」

 父さんは夢見るような顔でそう言ったが……誰だ、それ。

 母さんかな?


「さ、ライリーを休ませてやるか」

 今度は幼児かな?

 年齢的に、名前的に、弟かな?

 そいつなら、わざわざ休ませなくてもずっと寝てんだが。


 ま、俺も休むかな。

 このままでも一晩くらいなら空気も足りんだろ。

 あと、ロケットだからたぶん、夜が明けてもたぶん……うん、死にはしないと思う。

 地球の月は確か、昼間は100℃をちょいと超えてたと思うけど……魔法があるから大丈夫だと思う。

 いや、大丈夫だ。

 魔法は想像らしいからな、ここは意地でも大丈夫だと思い込まねーと。


「おい、仔ドラゴン、一緒に寝ようぜ!」

 仔ドラゴンを伴って家に入ろうとして、気が付いた。

「おおう、コイツが一緒だと家に入れないのか」

 いいよ、いいよ、気にしないで、みたいに仔ドラゴンが片手をふるから、

「わりぃな! また明日!」

 俺は何も気にしないで寝ることにした。

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