表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

娘の名は Miss メシア

「ディズニー。あなたはここで何をしていたのかしら? ひょっとしてお父様の暗殺?」


『ご冗談をMiss。私も先ほど部屋に入室したばかりなのです。

 状況を正しく把握できておりません』


「Missと呼ぶのは止めなさい。Msメシア と呼ぶように」


思わず吹き出しそうになってしまった。この娘、メシア (救世主)という名なのか。昨今、流行しているキラキラネームというやつは大統領官邸も例外ではないらしい。


『承知しました。Msメシア 』


「この部屋への立ち入りを禁止したのはあなたね? ディズニー」


『左様です。Missメシア 』


「……」


『Msメシア 』


「お父様を殺したのはあなた?」


『違います』


「まぁ、そうでしょうね」


『は?』


余りにあっさり信じたので思わず声を漏らしてしまった。しかし、思えばこれは失言だった。娘の誘導尋問の可能性があるのだから。しかし、今回はそうではなかったようだ。


「実行者がいつまでも残っているわけがないわ。

 別の質問よ。なぜこの部屋を立ち入り禁止にしたの?」


『事態の重さを考慮し、悪戯に広めず、然るべき人にのみ、お伝えすべきことだと判断したからです』


「私には隠そうとしたわね?」


『はい。実のお父上のご不幸です。直接、現場をお見せするのは忍びないと思いました』


「ふぅん……なるほどね。

 ゴルドーにそう言われたからじゃないの?」


『……』


ゴルドー? 誰だそれは。


『違います』


「間が空いたわね。ゴルドーに言われてきたのね?」


『違います』


「嘘ね。お父様を殺したのもゴルドーなんでしょう? 実行犯はあなたじゃないにしてもね」


しつこい女だ。そういえばこの女は父親が殺されることを予見していた。何かしらの理由から、ゴルドーとやらが殺すと確信していたのかもしれない。確かに、大統領を殺害した真犯人は別にいるはずだが、それがゴルドーなる人物なのだろうか。


しかし、私にはそんなことはどうでも良いことだった。より面倒な事態に巻き込まれる前に、目的のものを手に入れて、ここからトンズラできればそれで良かった。だから私はこう言った。


『Msメシア 。状況が状況です。まず信用できる人物にのみ、この事態を伝えましょう。SPが周囲に配置されているかと思いますが、一時的に人払いをした方が宜しいかと思います。今は万が一にも、この事態が一般市民に伝わることを防ぐべきです。SPも例外ではありません』


「……」


娘は沈黙した。その目は私を疑っているようであり、また思考を読もうとしているようでもあった。


「信用できる人物って?」


そんなのホテルの従業員の私が知るわけもないだろう。


『ホテルの一従業員の私には分かりません。しかし、副大統領などがそれにあたるのでは?』


「ゴルドーを信用しろって? 面白いことを言うわね。ディズニー」


『……』


どうやらゴルドーとは副大統領のことだったらしい。つまりこの娘は副大統領が大統領を殺害したと疑っているようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ