とばっちり
部屋のドアが爆発した。木っ端微塵である。
そして5人ほどの人間が押しかけ、私に銃を突きつける。
一瞬、SPかと考えたがそうではない。
大統領の部屋のドアを爆破して入室するSPなどいないだろう。
それにそもそも・・・・・・ドアには鍵をかけていなかったはずだ。
つまりドアを爆破したのは"演出"だ。私はそう理解した。
おかげで侵入者の"目的"と"正体"について、私は想像することができた。
「だ、誰!? お前達は」
暗記自慢の娘が侵入者の顔を覚えていない。間違いないだろう。
『お父様を殺害した犯人の方々では無いでしょうか?
ドアを破壊したのもテロリストの犯行に見せかけるためでしょう』
「この男達が犯人!? 私の前に顔を出すなんて……なにを考えているの?」
温室育ちここに極まるといったところか。鈍い娘だ。自身が窮地に陥っていることに気付いていない。
『・・・・・・ついてこい、小娘。死にたくなければ私に従え』
「Mrディズニー何を……それにその口のききかたは……キャァアアアア!!」
娘が喋っているのを無視し、私は娘を担ぎ上げ、バルコニーに疾走した。
私が動いた瞬間、侵入者は娘に照準を合わせた。やはり娘"も"殺す気らしい。
瞬間、空気が張り裂けるような轟音が鳴り響く。奴らが発砲したのだ。
弾丸は私の肩をかすめ、バルコニーのガラス窓を粉々にした。
『こいつらは私とお前の両方を殺す気だ』
「え……?」
私は割れた窓をくぐり、バルコニーに駆け込んだ。
そして娘を抱えたまま、侵入時に使用したロープを伝い、階下へと滑走する。
侵入者達が上から発砲してきたが、真下への発砲は命中精度が低い。
幸いにも命中せずに連中の死角に逃げ込むことができた。
『言っただろう。テロリストの犯行に見せかける為にドアを破壊したのだと。
第三者が目撃していては都合が悪かろう。私とお前を殺すことを前提に奴らは動いていた』
「そんな……どうして私まで……」
『それはこっちの台詞だ。はっきり言って私はとばっちりだ。
連中は最初からお前を狙っていた。最初から殺すつもりだった。
ターゲットは父親だけではなかったということだろう』
「…………」
娘は顔を蒼ざめた。私はそのままホテルから脱出する。
思えばこの時、私は少なからず動揺していたのだろう。
もし、冷静であれば娘を捨てていたはずだ。その方が遥かに安全なのだから。
それなのに、あろうことか私は自分の部屋まで娘を連れ帰ってしまっていた。




