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竜の詩  作者: lyuvan
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旅立ちの日 夕方 その二

これからは、視点変更があります。

行間が多く空いたら視点が変わったものとして下さい。

このままでは、埒が明かない。

師の悪戯好きとストッパーのいないこの状況では狼牙と共に弄ばれる。

過去の修行と称した悪戯とその加減の無さから確信する。

今を除いて話をする機会はない。

「師匠、少しお聞きしたい事があるのですが」

壁に看板を立てかけている師に、はなしかける。

「うん、何かな?」

「女心を知るには、どうすればよいのでしょうか?」

抱えられていた狼牙が吹き出した。

「汚いじゃないか」

「すみません、ですが何故女心を知りたいのですか?」

「あぁ、そこからか」

事情が分からなければ確かに可笑しな発言だ。

「それじゃあ、事情をってオイ師匠は何処に」

何時の間にか師が客間から居なくなっていた。

「多分、女心を知るための道具を取りにいったんでしょうね」

衣装とか化粧とか、狼牙が予想を言う。

「ご愁傷さまです」

「大丈夫、君の分もあるから」

俺に慰めの言葉を投げかける狼牙に突然後ろに現れた師が絶望の言葉を贈る。

勿論、手には女物の着物と化粧箱を持っている。

「師匠、説明不足だった。俺の事情を聞いてくれないか?」

「あぁ、お母さんの泪が馴染まない事でしょ。知ってるから別にしなくていいよ」

そう言って、こちらに詰め寄る師。

「なら、こんな事をする必要は無いだろう」

「必要があるからするんじゃない。したいからするんだ!」

衣装を差し出す師、それを手に取るのを渋る俺の肩に狼牙が手を置いた。

「諦めましょう。こうなったら手を付けられません。お急ぎの様ですし、さっさと済ませるが吉です」

私も手伝いますから、そう言うと狼牙は衣装を一つ手に取り客間を出た。








「これを着るのか」

持っているのは、黒い浴衣に牡丹が描かれた女物。

確かに赤い鱗は映えるだろうが……。

「厳つい、俺の顔じゃあな」

まぁ、気にしてもしょうがあるまい。

さっさと着替えを済ませるか。








「うぅ、どうして毎回こうなるんでしょうか」

ロキさんに関わると碌な事にならない。

あぁ、過去に戻れるならあの時の私を殴りたい。

あの時、協力して貰うために何でも言う事を聞くという約束をした私を。

「まぁ、随分と助かりましたけど」

まさか、こんな事を頼まれるだなんて。

「不確定が現れた。その退治を手伝えなんて」

この世界に現れる筈の無かった教団。

その教祖と黒幕の調査及び撃退、それが頼まれ事。

そして、その鍵を握るのが……。

「彼、大主 竜牙」

本来なら、二十まで親元で育てられ、その後両親の泪を受け継ぎ世界を回る。両親の過去を知り、対立していた竜と龍の架け橋として尽力したり様々な種族間の対立を解決していき最後には統一。

そして……。

「千年王国を造る」

理想的な世界として創られた。

しかし、不確定によって妨げられた。

「この世界外からの介入である不確定。一体誰がなんの目的で」

思案しても何も浮かばない。

赤い色に桜の模様をした浴衣を着た私は、客間に戻ることにした。








「おい、これで良いのか」

「うん、とても似合ってるよ」

不機嫌そうな声をする竜牙君に僕は褒め言葉を贈る。

恥ずかしさからか睨んできた。

まぁ、そんなところが弄りがいがあるんだけどね。

竜牙君をからかっていると、再び襖が開く音がした。

「これで宜しいでしょうか」

「うん、とても似合ってるよ」

ありがとうございます、と言って口元を隠して笑う狼牙君。

白に限りなく近いグレーの毛、長い鬣は後ろで軽く縛り一つに纏めて垂らしてある。彼自身が醸し出す空気も柔らかくなんと言うか。

「お母さん?」

近くにいた麟が言う。

そう、母親の様だ。

「今だけは、それで構わないですよ」

そう言って、麟の頭を撫でる彼は本当に母親にしか見えなくて。

「からかえない」

ちっとも面白くない。

しょうがないから竜牙君をからかおう。

見てみれば、物欲しげな目をして狼牙君達を見ている。

「母さん……」

こっちはシリアスか。

「ハイハイ、もう良いよ。さっさと本題入ろう」

面白く無くなった僕は話を進める事にした。

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