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竜の詩  作者: lyuvan
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始まりの悪夢 その二

暗転、そして場面は洞窟にうつる。

山腹にある開けた空間、目の前には別れ道がありそれぞれ、母の居る湖と父の居る宝物庫に繋がっている。

「僕」が鳴き声を発すると奥から「二人」がやって来た。

母は東洋龍の姿をした人で、父は西洋竜の姿をした人だ。

本来の姿だとこの空間に入り切らないので、「人型」をとっている。

毎日、こうして「二人」と「一匹」で魚を分けて食べていた。

カゴの中には十匹の魚が入っていたはずだ。

父と母に三匹づつ、「僕」が四匹。

父は口の中で魚を焼いてから丸呑みに、母は生のまま丸呑みに、「僕」は、細かく噛みちぎりながら食べる。

食事を終えると、母は湖に帰ってゆく。

父は、「僕」に竜の力の使い方と知恵を教える。

真剣に聴いている「僕」の隣で「俺」は父をみる。

あの日は、竜の泪について教えられた。


家督を継ぐ者が両親から受け取る力の塊。

血や脂だけでも不死身になれるのだから、その力は推して知るべしだろう。

ただ、一人前と認められなければ意味は無いが。


座学の次は実技訓練、外に出て高く飛ぶ訓練や、火を吐く訓練を日が暮れるまで行った。


そして夜、母の湖で寝物語を聞きながら眠りについた。


何時もならば……。


洞窟に音が響く。

剣戟と罵声と咆哮と、様々な音。

一体何が起きたのか、理解できない「僕」は、音の方へと進む。

何が起きたのか、知っている「俺」は、目を閉じた。


目を開くと場面は、開けた場所に変わっている。

そこに居るのは、松明と武器を持った「毛無し」達。

そして、傷だらけになって横たわった父の遺体。


「僕」は、目の前の光景が信じられないのか呆然としていた。

そんな「僕」を見て近づいてくる「毛無し」達。その口からは、「売る」や「調教する」等の言葉が漏れる。


「僕」は、怖くなって湖に逃げ出した。

それを見て「俺」は、「毛無し」達の前に立ちはだかるも所詮夢、「俺」の身体を通り抜けて「毛無し」は奥へと進んでいった。


聞こえてくる母の断末魔。 「俺」は、己の無力を嘆きながら夢から覚めた。


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