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竜の詩  作者: lyuvan
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一週間の道のり 四日目 夜



日が沈んで間もなく、雲一つ無い見事な夜空の下、とある宿屋の一室にカミナリが落ちた。

「何をしているのですか!

まったく、まるで新しいオモチャを手に入れた子供のように見境無く物を作った挙句それに埋れるだなんて!

妾は、そんな事をさせるために教えた訳ではありません!」

ガミガミと小言は続く。

その発生源は、一人の狼女。

彼女の顔の上顎から背中にかけて艶のある黒い毛に覆われている。顔の下顎から腹にかけては黒に近い灰色の毛が覆っている。その大半は衣服に隠されているが。

そして、叱られているのは仁王立ちしている彼女の前に正座をさせられている竜人の男。

彼は爬虫類の顔を尖らした様な突起に顔と背中全体を覆う赤い鱗を持ち、手の指は四本ある。

しかし、腹部には鱗は無く保護しているのは衣服のみである。

そして、今はきまりの悪さから彼女を直視できず背を曲げて俯いている。

「……聞いているのですか竜牙さん!」

「ハイ!」

彼こと竜牙は背筋を伸ばして応えた。

「もう、こんな事はしませんね?」

彼女が尋ねるように問うが。そこには、拒否する事を許さない迫力があった。

「絶対にいたしません」

竜牙の言葉に彼女が頷く。

「今回はここまでにしましょう」

「ありがとうございます」

既に限界なのだろう、竜牙の声は喜びにみちていた。

直ぐに彼は、正座を解き足を揉みほぐし始めた。

「反省もしたようですし、約束通りお土産をあげましょう」

ハイどうぞ、と彼女が彼に何かを手渡した。

「ありがとう……それでコレは何だ?」

彼に渡されたのは、黒い鉱物で出来た短い円柱形の棒。

「ふふふ、コレはですねぇ。槍なんですよ」

楽しそうに笑いがら彼女は言う。

「コレが槍? そうは見えないが」

竜牙は黒い石、もとい槍を手で弄ぶ。

うむ、どう見てもただの石だ。

「まぁ、持っていて下さいな。きっと何時か役に立ちますから」

「……まぁ、折角の土産だ。有難く頂戴するよ」

そうして彼は、槍を懐にしまった。

少しの間、会話が途切れる。

竜牙が、口を開いた。

「そう言えば、村はどうだったかな?君も麟も楽しめたか? 」

「えぇ、とっても。麟も楽しんでいましたよ」

「それは、重畳。よければ教えてもらえないかな?村での出来事を」

「もちろん、構いませんよ」

では、本日の出来事を語らせていただきます。


そう言って、彼女の語りが始まる。









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