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かいどう……この道は何処へ繋がるか




こうして落ち着いてみると、自分が凄く遠い所に来てしまったなと、しみじみ思う。


過去に放り込まれてからは生きることに我武者羅だった。

身体が死んで、幽霊になってからは皆を豊かにするために悩んでばかりだった。




……それが気付けばどうだろう。




仲間も沢山できたし、いつの間にやら神様にまでなっている。

立派な御社も建ててもらったし、別荘(分社)まである有様だ。


これまでの道が正しかったかどうか判らないが、

少なくとも、そう悪くはなかったと思う。







さて、今日も今日とてお散歩日和である。


玄関に出て、指笛を鳴らす。


山犬は時間を問わず、呼ぶとすぐさま駆けつけてくれる。

初めて会った時は敵同士、それからは喧嘩相手、今では最も頼れる相棒。


普段は素っ気ないのだが、たまに甘えてくる姿が可愛くて、

つい毛をわしゃわしゃこねたくなる。


……やりすぎるとこうして噛付かれるのではあるが。











ここ数日、ただ単にぶらぶらしていたのではない。


実際に歩いてみて整備が必要な街道を確認していたのである。



商取引が活発になるには商人が安心して通る事のできる道が必要となる。

私の奉納品を巡って激しい技術競争があったので保存食関連の品質が高い。

現在、それらを都へ卸そうと商魂逞しい彼等が行き来してはいるが、獣などの被害は少なくない。


道を整備し、それにそって宿屋、飲食店ができれば新たな街が生まれ、

それによって街道が発展していけば物流がよりスムーズになり、

芋類などこちらで栽培できていない作物の入手や、各種技術が交流で進歩していく。



もっとも、戦争を考えるならこの整備計画は完全に失敗である。



道とは軍事の基本的な拠点と考えても言い過ぎではないだろう。

これまで何度もの戦いや山賊退治を繰り返した中で身を持って学んだ確かな事だ。

ある程度の行軍阻止力を維持していなければ、盾にも何もなれやしない。


まぁ、戦国の時代をどうしていくか……は正直まだ考えなくともよいだろう。


今回は私の国との交流が、日本全体の豊かさを上げる一助となることを考えている。

私は日本が好きだし、どうせなら皆で幸せになりたいものだ。








こうして小難しい事を考えるのにも慣れてきた。


しかし、いくら年月を重ねようと、知的労働は疲れる。

鶫鳴女も一緒に連れてくるべきだったか……いや、これ以上彼女に仕事を増やすのもなんだ。

彼女は新米神主と巫女達への教育も引き受けてくれている。

これ以上は酷だな。


息を深く吐き出し、山犬の背に顔を埋める。




うん、太陽の香りがする。




……実際にはダニだとかの匂いらしいけれど。


真実は時に残酷なのだと知った。

正直、知らなければ良かったトリビアだ。


こんなものよりもっと農業とかの知識があればな。



今度は寝返りをうって仰向けになる。

これは山犬との協力が必要な無駄に高度なテクニックである。



空の青さは、原始から21世紀に至るまで、変わらないな。



それから私は、山犬と共に日が暮れるまで気ままに歩いた。


※道の整備は戦国時代にも各武将が優先的に色々やってます。

戦争には道が必要なんですよね、空も海も。

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