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メテイの夢  作者: 月寄れい
第一部
18/19

第十七話 属性

「穴があったら入りたい……」

「大丈夫ですよ、気にしないで」


 カナリーが優しく絵里香の背中をさする。


「慰めてくれるカナリーだけが味方だよー」


 絵里香がカナリーが座っている方にすすすと近づく。


(私にも魔力があるってなんか凄いなあ。二次元に来たみたい)


 そう思うと、ふと疑問が出てくる。

 私達にも魔力があるとすれば、魔法だって使えてもおかしくはないだろう。

 頭を捻っていると、カナリーが尋ねてくる。


「どうしました?」

「じゃあ、魔力があるのに何でこの世界の人達は魔法が使えないの?」

「魔法を使うのには、属性(センス)が必要なんだよ」


 ひとしきり笑ったルアンが、解説してくれる。


「属性は全部で十種類。光、闇、火、水、草、風、雷、土、氷、無。この属性の中からどれか一つが、個々の魂に刻まれているんだ。この属性が、創造神が生き物に授けた力ってやつね。で、その属性があると、それに対応した魔法が使えるってわけ」

「じゃあ、ルアン達にも魂に属性が刻まれていると」

「そう。ちょうど良かった。せっかくだし、僕達の属性も教えちゃおうか」


 ルアンはニコッとまるでいたずらを仕掛けた子供のように笑う。


「当ててみて?」

「えー、良いけど……。うーん?」


 絵里香は困惑する。

 当ててみろと言われても、なんせ情報がない。

 わかるとしたら、と絵里香はオーカーを見る。


「オーカーは火でしょ?昨日使っていたし」

「あってる」


 オーカーが手を開くのと同時に、手のひらの上に小さい火が生まれる。

 別に真偽を疑ったわけではないが、絵里香はついつい顔を近づけてしまう。

 真っ赤にゆらゆらと燃える火は、紛れもなく本物だった。


「触るなよ」


 オーカーが手を握って火を消す。

 気づかぬ間に思ったより身を乗り出していた絵里香は、ハッとして背筋を正した。


「じゃあ、僕は?」


 期待するルアンの顔を、絵里香はまじまじと眺める。


(光とか、闇って感じはしないし……。体格からして、肉弾戦とか得意そう)


「雷?」

「残念ハズレ。じゃあ、出血大サービスでヒントを教えてあげよう」


 ルアンがパチンと指を鳴らすと、机の上に、光が集まってきて、やがて光が消え、こぢんまりとした犬の人形が現れた。


「これがヒント?」

「よくみればわかるよ」


 絵里香が人形をつまんで手に置くと、まじまじと観察した。

 人形は、茶色一色で、とても精密な作りをしており、色さえ考えなければ、まるで生きているかのようだった。

 触ってみると、凹凸がなく、指がすっと表面を滑る。

 顔に近づけて匂いをかいでみると、先ほどの森の中を思い出すような自然の香りがした。


「これ、土の匂いがする!ということは、土の属性?」

「大正解!僕の属性は土さ。それ、良くできているでしょ」


 再びルアンが指を鳴らすと、犬の人形はどんどん砂になっていき、やがて消えてしまった。


「あっ、消えちゃった」

「ルアンが今度また作ってくれるよ」


 絵里香が、名残惜しそうに、人形をつまんでいた指を見つめていると、セレストがそう言って笑いかけてくれる。


「で、私は何だと思う?」

「セレストは自信ある。水でしょ」

「え、正解……」


 絵里香があっさりと答えてしまったからか、セレストは心なしかがっかりした表情になる。


「えー、なんでわかったの?」

「勘。なんか、雰囲気的に、水!って感じがした」


 自分でも何言っているか良く分からない絵里香の答えに、セレストは苦笑いになる。


「え、それって僕は、雷!って感じがしたってこと……?」


 そんな良く分からない答えに、なぜかルアンがショックを受けていた。


「あら、私が最後ですね」


 カナリーが楽しそうに言う。


「まぁ、当たらないと思いますけど」


 挑発するようにカナリーが笑う。

 こう言われると、意地でも当ててみたくなるのが絵里香なのである。


「うーん、草!」

「違います」

「風!」

「残念」

「じゃあ氷!」

「ハズレです」

「花!」

「そんなものありません」

「それなら無!」

「いいえ」


 絵里香が思いつくものをどんどん言っていくも、カナリーは全て首を振って否定する。


「ここにいる誰かと同じ属性?」

「誰とも同じではありませんよ」

「えー、後何があるっけ?」

「光と闇ですね」

「その中だと、光?」


 その答えにやっとカナリーが頷いた。


「ほとんど消去法でしたが、最後の二択を当てたので、正解にしておきましょう」


 そうは言いつつも、カナリーが勝ち誇った笑みを浮かべる。


「全然わからなかった……。というか、ねぇ、カナリー」

「はい、何でしょう」

「他の属性はなんとなくどんな魔法を使いそうかわかるけど、光と闇ってどんな魔法かイマイチ想像できないんだよね。やっぱり、珍しかったりするの?」

「その認識は間違っていないですよ。具体的にどのぐらい珍しいのかと言われると、わかりませんが、とても珍しいのは確かです」

「凄いんだね」

「はい、凄いです」


(自分で言っちゃうんだ)


 絵里香はついそう思ってしまう。しかし、自分で言えてしまうということは、本当に相当のことなんだろう。


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