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メテイの夢  作者: 月寄れい
第一部
17/19

第十六話 メテイという星

「名前とか書かなかったけど、血判だけで良いの?」

 

 絵里香の問いにルアンが答える。


「うん。この魔法具は、魔力で契約者を判別しているから問題ないよ。魔力っていうのは、自分の体を構築している全てのものに含まれているんだ。特に他に多く含まれているからね、こういう系統の魔法具だと血が使われるんだ」

「へえ、そうなんだ」


 


「契約も終わったことだし、そのあたりも含めて一から説明させてもらうよ。準備は良い?」

「はい!」


 背筋をピンッと伸ばして、元気よく返事をする絵里香を見て、ルアンは満足げにうなずいた。


「まず、僕たちが住んでいる世界の話をしよう。僕達は、いくつか存在する世界の内の一つから来た」

「いわゆる異世界だよね」

「そう。で、僕たちの世界、というか、住んでいる星の名前はメテイっていうんだ」

「メテイ……?」


 聞いたことのない単語を、絵里香は不思議そうに復唱する。


「そう、メテイ。メテイの名前は、世界を作ったとされる創造神メテイの名前から来てる。そして、その創造神が生きる術として、生き物に魔力を上手く扱い、魔法を生み出す力を授けたんだ。詳しいことはわかってないけどね。でも、調べた限りじゃ、この世界にそんな伝承はない。でしょ?」

「多分いないと思うけどなあ。ちょっと待ってて」


 絵里香は、テーブルに置いてあるスマホを取ると、トトトッと軽いタッチで画面を叩く。

 ネットを使って検索してみるも、『メテイ』という名前の神は存在しなかった。


「うん、ないね」

「へえ、本当にそれで調べられるんだ。……じゃなくて、こんな感じで、多分『創造神』っていう存在が、二つの世界の違いを作っているんだろうね。文明の進歩や文化、考え方とかもこっちとは違うし」

「なるほど。じゃあ、星に住んでいる種族とかも違うのかな」


 絵里香の疑問に、ルアンが嬉しそうにパチンと指を鳴らす。


「その通り!メテイに住んでいる種族は、大きく分けると、二つに分けることができる。わかるかい?」

「魔法が使える種族と、魔法が使えない種族?」


 ルアンが親指と人差し指の先をつけて丸をつくる。


「そう、正解。例外もいるけどね。魔法が使えない種族はそのまま、こっちの世界にいる生物と同じだと思う。それから、魔法が使える種族も〝魔族〟と〝魔物〟の二つに分けることができるんだ。じゃあ、違いは何かって言うと、魔法を先天的に使えるか、後天的に使えるかってところ。魔族は生まれたときから魔法を使うことができるけど、魔物はある一定の条件に達することで魔法が使えるようになるのさ」

「意外と大きな違いがあるんだ。ルアンたちは魔族?」


 ルアンがマグカップで飲み物を飲みながら頷く。口に含んだ液体を飲み込むと説明を続ける。


「そうだよ。生まれたときから魔法が使える」


 ルアンが言った言葉に、絵里香は思わず溜息がでる。

 もう高校生だと言っても、魔法には憧れがあるのだ。

 魔法と言えば、やはり便利なイメージがあるので、使えて損はないものだろうなと思う。


「羨ましいなぁ。私も魔法つかってみたい。私にも魔力があればよかったのに」


 絵里香がたまらず口にする。すると、カナリーから衝撃の答えが返ってきた。


「ありますよ」

「今、なんて……?」

「絵里香さんも魔力、ありますよ」

「マジですか?」

「マジです。ほら、さっきルアンが言ってましたよね?魔法具は血に含まれている魔力を使っているって。それは、生き物には例外なく魔力が含まれているからですよ。この世界の人達からも魔力を感じられるので、絵里香さんも例外じゃないですよ」

「はへ?」


 絵里香が、思わず口をポカンと開けた状態で固まる。そんな絵里香を見て、ルアンとセレストは爆笑した。


「あはっ、あはははは!ねぇ、聞いた、マジですか?だって、あははっ!」

「あはははは!あの顔も傑作だね!あははははっ!」


 二人の笑い声を聞いてた絵里香はふくれっ面になる。


「ちょ、ちょっと!笑わないでよっ!」

「「いや、だってさ」」

「そこでハモるな‼」


 いつまでも笑っている二人に、絵里香は大声でツッコミを入れると、助けを求めるようにオーカーを見る。


「オーカー、皆ひどいよね!私、笑われるようなこと言ってないよね?」


 真剣に語る絵里香を見て、オーカーは耐えきれなかったのか、顔を背けてしまった。


「オーカー⁉」

「すまん、流石にこれは……」

「何がそんなに面白いの⁉」

「「顔」」

「こら」


 カナリーが笑いをこらえながら、セレストとルアンの頭に拳骨を落とす。

 それを見ながら、オーカーは言いづらそうに口を開いた。


「そもそも魔法という概念がない世界に住んでいるなら、知らなくても同然だと思うが、その、俺達からすると。やっぱり、当たり前のことだから」


 気を遣ったのだろうが、最後のほうを濁して言ったオーカーに、絵里香はズバリ聞いた。


「つまり、私は、1+1=2を初めて知って驚いている人ぐらいやばいってこと?」

「……まぁ」


 思ったよりも非常識なことを言っていたらしい絵里香は、恥ずかしさで顔を手で隠してしまった。

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