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それぞれの再会

 僕たちは長期戦になることを覚悟して、コンビニで大量の食料や水などを買い込んだ。

 しかし結果として、それらはほとんど使われることはなかった。

「城戸さん!」

 時刻は深夜二時になり、僕は伊東さんと見張りを交代したばかりだった。疲れからくる眠気で船を漕いでいると、伊東さんに肩をゆすられた。

「どうしたんですか?」

「今、ノリさんらしき人が家に入りました!」

 その一言で、僕の目はすぐに覚めた。助手席のシートから慌てて体を起こし、ドアを開けて外に飛び出した。走る僕を、伊東さんが追いかけてくる。

 実家まで、歩いて一分というところだ。走る必要もない距離だろう。けれども、気が急いて仕方なかった。ずっとずっと会いたかった、もう一人の僕。数日会えないだけで、胸が張り裂けそうなくらい痛かった。ノリは人を殺したのかもしれない。けれど、そこには必ず理由があったはずだ。僕は、それを知りたい。知らなければならない。

 実家に辿り着き、ギシギシうるさい階段を駆け上り、粗末なドアを叩いた。ガンガンと、大きな音が響き渡る。

「ノリ! いるんだろう! 僕だ!」

「何よ! またあんたなの! もう来なくなったと思ったのに! 帰ってよ!」

 祖母のヒステリックな叫び声が聞こえたが、引き下がるつもりはなかった。ドアを蹴破ろうかと思ったとき、部屋の中から聞き慣れた声が聞こえてきた。

「いいよ、おばあちゃん。……僕、出るから」

 思わず息をのむ。立ち尽くしていると、ゆっくりとドアが開いた。

「タツ。……この前来たのは聞いてたけど、もう諦めたのかと思ってたよ」

「……諦めるものか……どれだけ探したと思っているんだ。会いたかった……!」

 感極まり、涙が出てくる。抱きつこうとすると、手で制して止められた。どうやら、感動の再会だと思っているのは僕だけらしい。ノリの表情は、能面のように無表情だ。

「そこの人は?」

「あ……彼は、ジャーナリストの伊東さん。僕の手伝いをしてくれてて……」

「どうぞ、あとはお二人でごゆっくり。私がいては邪魔でしょうから。……城戸さん。何かあれば連絡してくださいね。私はすぐに駆けつけられるところにいます」

「ノリと話をするんですから……助けが必要な何かなんて、万が一にも有り得ませんよ」

「……そうですね。でもまあ、一応です。心配ですから。それでは」

 伊東さんは頭を下げ、そのまま階段を降りていった。

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