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幸恵と実

 休憩室は会議室によくあるような長机と椅子、紅茶の葉が入れられた瓶とポット、それから小型冷蔵庫が置かれているだけの簡素な部屋だった。

 長机に僕とキタガミさんが並んで座り、僕の向かいに女性が座った。椅子は四つしかないため、これで三つが埋まったことになる。

「それで、何があったの? わざわざここを訪れるなんて……それも、タツくんと一緒に。なにか重大なことが起こったんでしょう?」

「タツ、お前が話せ。俺はお前から話を聞いただけだからな」

「……分かりました」

 思い出すのも嫌だったが、そんなことを言ってはいられない。真相に迫るためなのだ。

 僕は死体を発見したこと、発見する前にノリとすれ違ったことを話した。

「そして、殺されていたのは……たぶん、僕の母さん……だと思うんです」

「あなたの、お母さん……? と、いうと……」

「城戸幸恵です。あっ、今の名字は分からないんですけど……」

 僕がそう言うと、女性は、ふぅ、と息を吐いた。

 それからゆっくりと口を開く。

「今の名字は……たぶん再婚していないはずだから、盛田よ。盛田幸恵」

「えっ?」

 どうして彼女が、そんなことを知っているのだろう。

「あなたは……?」

「私は……盛田実。盛田幸恵は、私の姉よ」

 母の、姉――つまり、僕にとっての叔母さんだ。

 叔母がいたなんて、知らなかった。母は僕に自分の家族の話など一言もしなかったのだ。僕たちのことを嫌っている母が、身内の話など込み入った話を僕たちにするはずもないので、当然といえば当然なのだが。

「その顔……どうやら、初めて知ったみたいね。無理もないわ。私たち姉妹は仲が悪かったし……まあ、両親とも折り合いが悪かったから、家族みんな仲が悪かったみたいなものだけれどね」

「そうなんですか?」

「うん。……タツくんのことは幼い頃から見てるから、つい子供みたいに思っちゃうけど……タツくん、今、何歳なんだっけ?」

「もう、二十五です」

「そうかあ。二十歳もとっくに過ぎてるのね。……もう子どもじゃないんだし、話してもいい頃合いかもね。……あなたの、お母さんのこと。タツくんも、気になっていたでしょう?」

「……まあ……はい」

 本当は母のことは苦手だったし、思い入れもなかったから、今日まで母がどういう人で、離婚した後どこでどうしていたのかなんてまったく興味はなかった。しかし、仲が悪かったらしいとはいえ叔母の手前、そんなことは言えない。

 それに母は事件の被害者である可能性が極めて高い。どんな情報だって仕入れておくべきだろう。

「うちはね。さっきもちょっと言ったけど、家族仲も悪くて、あんまり良い家庭環境じゃなかったの――」

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